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第62話 信じてくれるの?


「…………信じてくれるの?」



 お父ちゃんは、わたしが魔族から聞いた話を信じてくれた。



「娘の言うことを信じない親がどこにいる?

 アイビーは、ウソをつくような子じゃないだろ?」



 ポロポロと、涙が次から次に出てきた。



「だって……勇者さまは、信じてくれなかった……。

 ……わ、わたしが…………【ガーゴイル】が来るって言ったら……追放されたもの……」



 〔追放〕という言葉は、口にするとやはり重たいものがある。

 勇者さまは、ものすごく怒っていたし、わたしも感情に任《まか》せて言い返してしまった。

 もうあそこに戻れない。



「なんで、こんないい子を追放したんだ!!

 お父ちゃんが今からでも国王に言って、勇者パーティーに戻してもらおう!!」


「ううん。いい……」


「いいわけないだろう!?」


「……山小屋の三階部分を吹き飛ばしてしまったから、気まずいし……もういいの」



 わたしは、お父ちゃんにぎゅ~っと抱きついて、お父ちゃんで涙を拭いた。



「や、山小屋を……吹き飛ばしたのか。

 ま、追放されるなら、それぐらいやり返してもいいさ」


「……この話も、信じてくれるの?」



 山小屋の三階部分を吹き飛ばした話の方が信じられないと思うのだけれど、お父ちゃんは信じてくれた。



「そりゃ、信じるさ」



 お父ちゃんはキッパリと言った。

 そして、なぜか、わたしの後ろを見た。



「さっきから、黒い翼の巨大な犬が、お前を心配そうに後ろからペロペロなめている」



 フェンが大きいままだった。



「どう見ても魔獣じゃないか。

 お父ちゃんとお母ちゃんも短期間で色々と変わったけど、アイビーの方がもっと変わったんだろうな。     

 お父ちゃんガクブルだよ」


「そんなことないよ。

 ちょっと、戦い方を覚えたぐらいだよ?」


「いや、お前……そんな金の剣とか持ってなかったろ?

 鞘《さや》は普通の物だが、重いだろう?」


「占い師のおじいさんがくれたの。ちょっと重いぐらいだよ。

 フェンは山の中を歩いてたら、甘いモノにつられてついてきただけ。

 ウイロウが好きなの」


「まぁ! そうなの!?

 なら、いっぱいあげなきゃね!!

 夏ミカンのゼリーとか、食べるかしら?」



 フェンがウイロウ好きと聞いて、お母ちゃんがフェンにあげる気満々だ。

 たぶん色んな甘いモノを出してくれる。

 フェンは喜んでお母ちゃんについて行った。



「お母ちゃんは、受け入れるのが早いな。

 あの魔獣、絶対強いだろう?」


「わかる?

 そう! フェンは強いの!!

 【漆黒《しっこく》の羽交《はが》いフェンリル】っていうらしいよ?」


「名前も強そうだな。

 お父ちゃん、怖くて近寄れないよ。

 アイビーの受け入れの早さは、お母ちゃんゆずりだな」



 そこからは、慌《あわただ》しかった。

 お父ちゃんが、王様に救援要請を出し、それからギルドに冒険者の募集をかけた。

 わたしは、多くの人を雇えるように、魔石を換金しに町に行ったり、村の壁の作りを確認したりした。

 【ガーゴイル】を迎え撃つため、村のみんなが走り回った。






***



「勇者殿! 大変じゃ!!」


「どうした!? じいさん!」


「アイビーちゃんがフェンと飛んで行ってから、水晶が赤く点滅しだした!

 とりあえず、町に逃げるべきじゃ!!」



 見ると、確かに占い師が手にしている水晶が「ボワンボワン」と一定のリズムで赤く点滅していた。


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