第61話 家も変わってました
「お、お母ちゃん!? ねぇ、いったいどうしたの?
“家のドアの修復にちょっとだけお金を使わせてもらいました” って、手紙に書いてあったけど、ドアどころか家が建てかわってるよ?」
「ほ…………ほほほほほほ」
お母ちゃんが何かをごまかすように笑いだした。
「アイビーがね、大金を送ってくるものだから、泥棒が心配になってね? ドアを立派なものにかえたらたら、家にヒビが入っちゃって……。
その……せっかくだから、家を建てかえたのよ」
「うちだけじゃなくて、村全体が、何か……キレイになってるよ?
村を囲むあの壁、何?」
「家の前に埋めたらどうかって、お前がキラキラ光る魔石を送ってくれたでしょう? あれを埋めたら、“うちにもほしい” って皆が言うから村全体に埋めたの。
そうしたら、村の皆も泥棒が心配だって言いだしたから、思い切って村に壁を作ったのよ」
「なんていうか……仕事が早いね」
家を出てから一か月もたってないのに、家は建てかわっているし、村の道は整備され、村を囲む壁ができてる。
そして、お母ちゃんはドレス姿。
この変わりよう、誰でも驚くんじゃないかな?
「全ては〔金〕の力よ」
お母ちゃんがマジメに言った。
低い声でマジメに言ってるあたり、本当にそうなのだろう。
お金の力ってスゴイね。
「それにしても、送ったお金で、ここまで変わるモノなの?」
お金は送ったけど、ちょっと村が変わりすぎだと思う。
「……お父ちゃんが、特許を取ったのよ。
あ、いけない! お父様ね」
「特許?」
初めて聞く言葉だった。
お母ちゃんは何を言っているのだろう?
「【灰色ドシニア】の魔石で道を作るアイデアの権利よ」
お母ちゃんは、わたしにもわかるようにポツポツと説明してくれた。
どうやら、わが家を建てかえるため、金の延べ棒で一級建築士をよんだらしい。
そして、魔法の力で家を建てかえたあと、わたしから手紙が届いて、お父ちゃんが家の前の道に【灰色ドシニア】の魔石を砕いて埋めた。
夜、忘れ物をした一級建築士が、家を見に来てビックリ。
家の前が、かすかに光っている。
月の光を反射して、かすかに光っているのが幻想的で「これは、貴族に売れる!!」と一級建築士が、お父ちゃんにやり方を聞いたらしい。
「お父ちゃんはね、すぐに教えず、『まず特許を取ってから教える』って言ったの。
そうしたら、一級建築士が早く知りたいから、色んなところに手を回してくれたのよ。
本当なら半年はかかる特許の手続きが半日で済んだわ。
よほど素晴らしいアイデアだったのね。
お母ちゃんも、未だに何がなんだかわからないわよ?」
すると、お父ちゃんが立派な家から出て来た。
「おぉ! アイビーよ!! よく帰った!!」
「お父ちゃん!」
「はっはっは。お父ちゃんではなく〔お父様〕だ。
我が家は〔貴族〕になったんだからな?」
「貴族!?」
「ん? お母ちゃんから聞いてないのか?
____あ、いけない。〔お母さま〕だった。
我が家は、特許の金で爵位を買って〔子爵〕になったからな!!」
「貴族!?」
「そうだ!
アイビーが帰って来るまでに色々と整備して、驚かせてやろうと思ったんだがな。
帰って来るの早かったな。休みが取れたのか?」
お父ちゃんに言われて、本来の目的を思い出した。
「お父ちゃん! 大変なんだよ!!
【ガーゴイル】が、またこの村を襲いに来るんだよ!!」
「何!?」
「魔族が言うには、この村の周りにある石が【ガーゴイル】の好む石らしいの!」
言いながら、不安になった。
魔族から聞いた話を、勇者さまは信じてくれなかった。
お父ちゃんは信じてくれるだろうか?
「娘よ、よくぞ知らせてくれた!
領主としての腕の見せ所だ!!
全力で【ガーゴイル】を迎え撃つぞ!!!!」




