第60話 村が変わってました
ポイント評価、ブックマーク登録、ありがとうございます!!
おかげで、慌てる心を落ち着かせて書くことができます。
「じゃから、アイビーちゃんが犬を飼いたいと言ったとき、言うたじゃろ?
あの犬は、ワシらがダンジョンで戦った【フェンリル】じゃ」
「そんなの信じられるか!」
「【翼の生えたフェンリル】は、珍しかろう?
そもそも、〔翼の生えた模様の犬〕なんてのも、珍しい。
フェンリルが姿を変えたんじゃ。
それに、アイビーちゃんは強い。
一人で【ユニオンスライム】を倒してしまうほどにのう」
「はぁ!?
【ユニオンスライム】は最低でもベテラン冒険者三人は必要だぞ!?」
驚く勇者に、ヒーラーは言った。
「わたしも見ました。
マシロ王国の舞踏会に参加した時、アイビーさんと王子の二人で【ユニオンスライム】を倒していました」
窓の外には、山小屋の三階部分の残骸が飛び散っている。
これは、さっき雑用係がやった。
目の前で呪文を唱えるのを見たが、勇者は信じられなかった。
(俺たちは一階にいて、三階が吹き飛ぶのを直接見ていない。
何か……何かカラクリがあるはずだ!!)
「王子が強かっただけだろ!!」
勇者は、仲間の証言でさえも、信じることができなかった。
*****
「…………何あれ」
フェンに乗せてもらったら、ひとっ飛びで〔ペラルゴニウム村〕に着いた。
着いたんだけど、空から見てもわかるほど、村の様子が変わってた。
「壁?」
山の中にある小さな村を囲む高い壁。
(いったい、何があったんだろう!?)
地面におりて村の入口に行くと、頑丈そうな扉がしまってて、横の小窓から硬そうな帽子を被った人が顔をだした。
「魔獣を操る悪魔か!?」
フェンを見て脅えているようだったので、フェンには犬の姿になってもらった。
「この子は、わたしの犬です。
ちゃんと言うことを聞くので、害はありません……って、隣の兄ちゃん!?」
門番の兵隊っぽい人は、よく見ると、隣の家の兄ちゃんだった。
小さいころから、よく遊んでもらったり、めんどうを見てくれたり頼りになる兄ちゃんだ。
「アイビー! なんだ、アイビーか!!
ちょっと待ってろよ」
隣の家の兄ちゃんは、そう言うと後ろを向いて叫んだ。
「お嬢様がお戻りになられたぞ!!」
(お、お嬢様!?)
何を言っているのだろう?
重い扉が開き、村の中に入る。
すると、馬車が止めてあった。
「よくぞ、お戻りになられました」
「さ、お嬢様。馬車にお乗りください」
「お父上と、お母上には伝令をやりました」
隣の家の兄ちゃんだけでなく、向かいの家のおじさんと村長も出迎えてくれるの?
村長、何やってんだろ? 何の冗談かな?
三人は丁寧な言葉遣いながらも、わたしを馬車に押し込み、馬車は出発した。
そして、すぐ止まった。
そりゃ、そうだ。
村だもの。
家まで歩いても、そんなに時間はかからない。
「お嬢様、到着しました」
「え!? これ、うちじゃないよ!?」
家に着いたと言われて馬車から降りると、そこには立派なお屋敷があった。
うちじゃないどころか、村を間違えたかなと真剣に考えた。
「ねぇ、お父ちゃんと、お母ちゃんの所に早く行きたいの。
変な冗談やめてよ」
困惑しながら、馬車の運転をした向かいのおじさんに抗議したら、重そうな屋敷の扉が開き、聞きなれた声が聞こえた。
「これ、アイビー!
“お父ちゃん”“お母ちゃん”じゃありません!!
“お父様”、“お母様”と言いなさい!!」
そう言って現れたのは、キラキラと豪華なドレスを身にまとった“お母ちゃん”だった。




