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第59話 追放されました


 追放と言われて、初めて気がついた。



(わたしに求められていることは雑用だから、雑(・)用(・)だ(・)け(・)やっとけばよかったんだわ……。変に気を使うことなんてしなければ、こんなことにならなかったかもしれない。

 わたしは、なんてバカなの!)



 深く深く後悔した。



「だいたいなぁ、俺たちは慈善家じゃねぇんだ!

 国に所属しているわけでもねぇ!!

 金がもらえない人助けなんかに、命かけたりしねぇよ!

 国に言え、国に!!」


「お金は、あとでなんとかしますから!」



 泣きながらお願いしたけど、「今、ここにないモノを信用できるか!」と怒鳴られた。


 ジージエおじいさんとフィリアさんが何か言おうとしてくれたものの、勇者さまがあまりに怒鳴っているので何も言えないようだった。



(人が代わっても、勇者さまは勇者さまだと思ってたけど、そうじゃないのね)



 全ては、お金なんだわ……。


 そうよね。

 見ず知らずの人のために、タダで命をかけられない。

 それが普通。普通なのよ。



「言っとくが、さぼってばかりのお前に払う金なんかねぇからな!

 今すぐ出ていけ!!」



 “勇者さまの力になりたい”

 “魔物に家族を殺される人を減らしたい”


 そう思って雑用係になったのに、ちゃんと面接でもそう言ったのに、わたしは楽してお金を稼ごうとしたサボり魔みたい。

 涙がどんどん出てくる。



(……一生懸命やってたのにな)



「勇者殿! 言いすぎじゃ!!

 アイビーちゃんはがんばっとる!!」

「そうです! アイビーさんはよくやってます!!」

「うるせぇ!

 甘ちゃんのお前らの言うことなんか聞けるか!!」



 ジージエおじいさんとフィリアさんが、かばってくれたけど、勇者さまは何一つ聞き入れなかった。



「勇者パーティーに入りたいだなんて、勇者の力になりたいだなんて、あの時のわたしは本当にバカだった!

 こんな山小屋、意味がないから壊れてしまえばいい!!」



 わたしは悔しい思いを込めて叫んだ。






「正義の星屑《ジャスティス・スターダスト》!!」






 すると、空からたくさんの星屑が降ってきて、山小屋の三階部分を吹き飛ばした。

 三階には、わたしと武闘家のアムールさんの部屋と物置があるだけなので、吹き飛ばしても問題ない。






「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?

 ウソだぁろぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!」


「ちょっと!

 これって、勇者だけが使える魔法じゃない!?!?」






 一階の食堂にいても、三階が吹き飛んだ衝撃は伝わるし、窓の外を見れば魔法が発動したことがわかる。


 気付いてほしい。

 山小屋の結界は、たいしたことないと。




「いや、俺、こんな魔法知らないぞ!?!?

 うわぁぁぁぁぁ! 俺のコテージがぁぁぁぁぁ!!!!」


「何が“コテージ”よ!

 オシャレに言ったって、山小屋は山小屋よ!!」




 わたしは山小屋をとび出した。


 夜にスライムが排水管を伝って入ってくるし、わたしごときの魔法も防げない。

 こんな所にいたら危ない。

 わたしがいなくなれば、誰かが夜に魔物と戦わなければならない。

 夜での戦いに疲れた仲間を連れてのダンジョン攻略は大変だと思う。


 話を聞いてくれない勇者さまに説明する時間がないので、これで気付いてほしい。

 そう思いながら、わたしは〔ペラルゴニウム村〕へ走った。



「ウォン!」



 フェンが黒い翼を広げ、小さな犬の姿から【漆黒の羽交いフェンリル】の姿に戻り、その大きな背中に乗せてくれた。




「お、おい!

 なんだ、アレ!? 犬が魔獣になったぞ!!」




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