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勇者パーティーの雑用係  作者: 葉桜 笛


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第4話 さっそく寝坊しました


「――――……きて……きてください」



 誰かが、わたしを呼んでいる。

 その声に答えたいけど、体が思うように動かない。

 誰なんだろう。

 そんなに、わたしを呼ぶのは、きっと何かあるよね――――――。



「アイビーさん、起きてください」



 突然、目の前にキレイなお姉さんの顔。


 頭が混乱する。

 何!?

 何なの!?

 あ!!




「寝坊した!!」




 朝は誰よりも早く起きて、勇者さまたちが気持ちよく出発できるように準備する予定だったのに!!

 昨日、マクラフィッシュと戦った疲れと、夜のおいしいごはんで熟睡してしまった。



「大丈夫です。

 あなたの大事な役目は、アイテムが減った時の買い出し係です。他の雑用はキチッとできなくても、誰かがカバーできます」



 優しい!!

 確か、このお姉さんはヒーラーのフィリアさん。



「エスメラルダさんが朝食を作ったので、起こしにきました」


「ありがとうございます!」



 三階から一階へと一緒に階段を降りると、いい匂いがしてきた。

 これは焼き立てのパンの匂い!



「雑用係ちゃん、おはよう」



 魔法使いのエスメラルダさんが、笑顔で迎えてくれた。



「おはようございます。

 すみません、エスメラルダさん。

 早起きしてお手伝いするつもりだったのに、寝坊しました」


「うふふふ。

 良いのよ。料理は趣味だから」



 趣味!

 趣味というより、プロの技と思うほど、昨夜のごはんはおいしかった。


 ワインで煮込んだ鶏肉。

 ほんのりと甘い、きのこのスープ。

 オリーブオイルを使ったサラダ。

 そして、デザートにフルーツの盛り合わせ。

 どれも、村では食べられない上品なものだった。



「趣味で、こんなにおいしいごはんが作れるなんて、スゴイです!

 昨日は、おいしいごはんに感動して、眠れませんでした!!」


「あら、嬉しいこと言ってくれるわね」



 エスメラルダさんが微笑みながら、パンをもう一個わたしの皿に追加してくれた。



「水場を探したり、マクラフィッシュを一人で倒した疲れもあるんだ。

 そこに、おいしい料理が加われば、誰もが寝坊するさ」



 占い師のジージエおじいさんが、ニコニコしながら席についた。



「そう! そうなんです!!

 まさか、おいしい料理を食べられるとは思っていなかったので、嬉しくて、嬉しくて。

 食べたものを、何度も思い出したりして、幸せ気分にひたってました」


「初めての冒険に興奮して眠れなかったのか?

 お子さまだな」



 先に席についていた勇者さまに、少しあきれられてしまった。

 勇者さまを見て、昨日の会話を思い出す。

 わたしが倒したモンスターの魔石は、全部、自分のものにしていいとのことだった。

 魔石の価値はよくわからないけど、本当に40個ももらっていいのかな?

 確認しなくちゃ。



「だって、自分で倒したマクラフィッシュの魔石ももらえたんですよ?

 興奮せずにはいられません!

 4――――――」


「マクラフィッシュの魔石ぐらいで、喜びすぎだ。

 お前が倒した魔物の魔石やアイテムは、お前のものだ。

 報酬がほしけりゃ、魔物を倒すしかない。

 がんばれよ」


「は、はい! ありがとうございます!!」



 やっぱり、一人で全部もらっていいんだ。


 報酬がほしくて、雑用係になったわけじゃない。

 人々を魔物の脅威から救う勇者さまの役にたちたいだけ。

 と、いうことは、昨日マクラフィッシュを倒したから、これからは仕事がスムーズにいくんじゃないかな?


 今日からは、洗濯物もある。

 干して乾く時間も考えると、水汲みの前に洗濯しなくちゃ。

 昨日、マクラフィッシュをがんばって倒しておいて、良かった!






 朝食を終えて勇者さまたちを見送ったあと、わたしは洗濯物をおけに入れてルンルンで川へ向かった。



「バシャバシャバシャバシャバシャバシャバシャバシャバシャ!!」



 そこでは、マクラフィッシュが川で元気にねていた。


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