第53話 挟み撃ちにあいました
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やる気が出ます!!
「なんじゃ!? ありゃ!?」
「ゴブリンじゃ!!」
「ゴブリンの群れじゃ!!」
「なんか多いぞ!!」
「わしら、ワナに嵌められた」
草原の中の道の向こうに、ゴブリンの群れがいた。
人間のこどもぐらいの身長で、大きく尖った耳、土の色に近い苔と同じような色の皮ふ。腰には、ボロボロの何かの動物の皮を引きちぎって巻いている。手にはこん棒。
不気味で下品な笑い声。
もう駄目だと嘆く、おじいちゃんおばあちゃん。
そうだよね。
不気味で怖いよね。
わたしも、そう思うけどアムールさんに任されたんだもの。
やれるだけ、やってみる!
「みなさん、わたしが〔正義の星屑〕を使って敵を混乱させるので、その間に草原に隠れてください」
わたしはとても冷静に説明したつもりだった。
それはもう、マジメに。
なのに、みんなからツッコミが入った。
「「「「「ふざけるな! 勇者が“そんな魔法はない”と言うとったじゃないか!!」」」」」
説明している間にも、ゴブリンの群れはどんどん近づいてくる。
説明するのは、諦めよう。
実際に見てもらえれば、わかってもらえるよね。
おじいちゃんおばあちゃんが「マジメにせい!」とか「現実を見ろ!」とか言っているのを全て無視して、わたしはゴブリンの群れに向けて魔法を使った。
「正義の星屑!!」
すると、空からたくさんの星屑が降ってきてゴブリンたちに命中。
次から次になぎ倒されるゴブリンたちが、魔石に変わっていった。
それでも、生き残ったゴブリンがたくさんいる。
「さぁ! 今のうちに、草原に隠れてください!!」
「「「「「はいぃぃぃぃぃ!!」」」」」
おじいちゃんおばあちゃんは蜘蛛の子を散らすように、草原に隠れた。
できれば、一か所に固まっててほしかったけど、ま、いっか。
「……ウォン」
フェンが足元でお座りをして、右手を「ちょいちょい」と動かして何かを主張してくる。
(これは……おねだりだわ)
「いいよ。
帰ったら、ウイロウね。この間の分も買いに行こう」
「ウォン♡」
嬉しそうに返事をすると、小さなフェンの背中に黒い翼が生え、本来の大きな体になった。
【漆黒の羽交いフェンリル】
フェンは、そう呼ばれる魔獣。
とってもいい子なのに魔獣だなんて、未だに信じられない。
わたしにとって、フェンは甘いモノ好きの可愛いワンちゃんだ。
フェンは翼を羽ばたかせて、ゴブリンの群れの中に降り立ち、まるでじゃれるように次々とゴブリンを倒していった。
わたしは、フェンから遠い所のゴブリンを狙って「正義の光」で数体ずつ倒していった。
……それにしても、ゴブリンって挟み撃ちしてくるほど知能が高いの?
うちの村には出たことないけど、弱い魔物って聞いたことがある。
「フギャギャギャギャ……」
ゴブリンたちの最後尾から、大きく低い声が聞こえた。
道を開けるゴブリンたち。
現れたのは、三倍の大きさの太ったゴブリン。
どう見ても、この群れのボスだった。
そしてこの大きさで予想されることは…………。
「ゴブリンも、いっぱい集まれば、スライムみたいに合体するの!?」
(魔物って、不思議な生き物だね)
と思ったら、草原に隠れたおじいちゃんおばあちゃんが「違う違う!」と言った。




