第51話 王宮からの手紙
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「でもねぇ……やっぱり、アイビーちゃんもいた方が良いと思うのよ。
こどもだと言っても、早い子は十歳で冒険者見習いになるじゃない?」
ダンジョンに向かう途中、武闘家のアムールが勇者に納得できないと話した。
雑用係のアイビーは戦力になる。
連れていけば、ダンジョン攻略が進むに違いないと。
「いい機会だから言っておこう。
あいつのレベルは〔6〕だ。
雑用係の面接のときに、いちおうギルドで計測した数字だ」
「え? レベル6なの?
でも、その時と今とじゃ、違うでしょ?」
毎日、魔物と戦っていればレベルは上がる。
アムールは、アイビーが気付かぬうちに成長したのではないかと主張した。
「そうは言ってもなぁ……」
勇者ガイツは、ため息をついた。
「あいつが俺らの仲間になって、まだ二週間もたってないんだ」
「……え?」
「そんな短い時間で、いったいどれだけのレベルが上げられると思う?
せいぜい〔レベル10〕ぐらいまでだろう?」
レベル6。
勇者が言うことが本当なら、確かに二週間足らずで急激なレベルアップなんてありえない。
勇者以外はアイビーのレベルを知らなかったらしく、占い師のジージエや、ヒーラーのフィリアも驚いた。
魔法使いのエスメラルダは、あまり興味なさそうだった。
「もしかしたら、強い武器を拾うか、もらうかして、本来は倒せない魔物を倒せているかもしれないが、あきらかに経験不足だ。
何かの拍子に武器を落としたら、終わりだぜ」
それを聞いてジージエが顔を青くしたので、この老人が武器をあげたに違いないとアムールは思った。
勇者の言葉に皆が納得し、それ以降、アイビーのダンジョン攻略参加を薦める者はいなかった。
(あれ? でも、アイビーちゃん武器を使ってたかしら?)
何か引っかかると思いながら、雑用を始めて二週間の子を冒険に参加させるわけにはいかないので、アムールは考えるのを止めた。
***
「いやぁ、やっぱり王宮で活躍している人は強いなぁ」
勇者さまが、ご機嫌でダンジョンから帰って来た。
アムールさんがいるおかげで、さらに攻略が進んだらしい。
王都の人って凄いな。
一方、わたしは、いつもの洗濯と水汲みとそうじの一日だった。
変わったことといえば、王宮から手紙が届いたことぐらい。
手紙は町に行かないと受け取れないのに、弱い魔物しか出ないとはいえ、山の中まで手紙を届けにくるなんて珍しかった。
「…………【ゴブリン行軍】が、アムールの実家がある方向に向かっているらしい……」
それを聞いて、アムールさんが悲鳴をあげた。
「いやぁぁん!!
パパン!! ママン!!」
涙を流し、絶望しているアムールさん。
「あの、ジージエおじいさん。
【ゴブリン行軍】って…………?」
「アイビーちゃん。
【ゴブリン行軍】とはのぅ、武装したゴブリンが遠距離を移動することじゃ。
おおかた、どこかの町を廃墟にして、次の狩場となる町を探しておるのじゃろう」
それを聞いて、幼いころに村が襲われた日の事を思い出す。家が焼け、畑も焼け、家畜を食い荒らされ、村人も大勢死んだ。両親は自らを犠牲にして、わたしを逃がそうとしてくれた。でも、一人で生きていくことを思うと怖かったし、両親と離れたくなかった。
あの時の自分と同じようなことが、アムールさんの実家に襲い掛かろうとしている!!
「勇者さま!!
みんなで助けに行きましょう!!」
「そうだな! 行くか!!」
せっかくダンジョン攻略が進み始めたのに、中断なんてできないと言われると思ったのに、勇者さまが賛成してくれた。
やっぱり勇者さまって、人を思いやる仲間想いの人がなる職業なんだわ!!
「う゛わぁぁぁん!!
みんな、みんな、ありがどう゛~♡」
涙でグシャグシャのアムールさん。
わたしは感動して、このとき勇者さまとエスメラルダさんの〔ヒソヒソ話〕に気付かなかった。
「______ま、王宮からの助っ人に恩を売っとくと、後々、良さそうだからな」
「______ガイツって、頭の回転早いのね♡」




