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第48話 山小屋に帰ります


 え?

 みんな、王子さまと結婚したくて舞踏会に参加したのだろうに、どうしたんだろう?

 復興作業で、結婚どころではなくなったのかな?


 きっと、そうだわ。

 貴族の人って肉体労働は嫌いそうなのに、それでも女の子も手伝わないといけない事態なのね。



 でも大丈夫。

 ソラル王子に魔石を渡したから、あれをお金にえれば心配ない。

 なんてたって、王妃様が呼び出したほどの魔獣だもの。



「良い心がけじゃ。

 じゃあな! お主たち!!」



 ウイロウを我慢できなくなったミクちゃんが話を打ち切って、わたしたちを魔法陣に放り込んだ。






 山小屋に戻ると、勇者さまたちは寝てしまったようで、真っ暗だった。

 窓から月明かりが入ってたので、明かりがなくてもなんとか歩けそう。



「では、フィリアさん。

 わたしは、二人にお礼のウイロウをあげてから寝ます」


「あの……、アイビーさんのお友達のかた。

 私達を含め、多くの人の命を救ってくださいまして、ありがとうございました」



 フィリアさんは、二人から話を聞きたそうだったけど、夜だから遠慮したみたい。

 軽く挨拶をした後、部屋へ戻った。

 わたしは外の倉庫にミクちゃんとフェンを連れて行って、ウイロウをあげた。



「おぅおぅ。

 これほどに隠し持つとは、お主も悪よのう」



 ミクちゃん上機嫌。

 換金所のおじさんが、サービスで五箱もくれたんだよね。

 ミクちゃんは遠慮なく四箱抱きかかえて「ふふふふふふ」と悪だくみをしてそうに笑った。



「これでしばらくは、おやつに困らん」


「なんで、ミクマリの方が取り分が多いんだよ。

 (ムシャムシャ)」


「漆黒の。

 お主はアイビーから、いつでももらえるじゃろ?

 (ムシャムシャ)」



 二人共、さっそくウイロウをムシャムシャしながら、文句を言ってる。

 甘いモノ好きなんだね。



「フェン、町に行くとき買うから、ミクちゃんにあげて」


「……絶対だぞ?」



 次に町に行った時、たくさん買うとフェンに約束した。



「うっふっふっふっふ。では、帰るかのう」



 両手でウイロウの箱を抱きかかえたまま、ミクちゃんはフワッと体を浮かせた。

 魔法陣は使わず、空を飛んで帰るつもりらしい。



「【テンジン卿】から聞いておった通り、面白き娘じゃな。

 また、共に戦おう!!」



 そう言って、ミクちゃんは夜空に消えていった。



(【テンジン卿】とミクちゃん知り合いなんだ)



 そっか。

 あらかじめ、わたしのことを聞いてたのもあって、味方してくれたのかも。



「アイビー。

 もう遅いから、早く寝ろ」



 フェンは、人から小さいワンコに姿を変えて、トトトトトトトと、山小屋に入って行った。



「保護者みたいだね」



 クスクス笑いながら、わたしも後をついて行った。


 この日も、夜に魔物は出なかった。

 フェンがいると、夜に魔物が出ない。

 おかげで、ぐっすり眠れた。






 次の日、朝食で魔法使いのエスメラルダさんに舞踏会の事を聞かれた。



「すごいんですよ!

 みんな、すぐ、わたしが田舎者だって気づいたんです!!

 おかげで何も気にせず、ごはんに直行できたんです!!」


「え? おかしいわね。

 ちゃんとメイクもセットもしたのに」


「ははははは! 良かったな!!」



 不思議そうにするエスメラルダさんの横で、勇者さまが大笑いした。



「見慣れないアイビーさんを見て、貴族が警戒したんです」



 フィリアさんが説明してくれた。



「途中から、強い魔物が出て大変でした。

 アイビーさん、大活躍したんですよ」


「おぉ! アイビーちゃんは強いからのぅ」



 占い師のジージエおじいさんが強くうなずいてくれて嬉しい。

 山小屋に来てから、毎日がんばってるもんね。



「フィリアと、じいさんは甘いからな。

 全く信じられん」


「その様子じゃ、王子さまとの素敵な出会いはなさそうね。

 王子さまでなくても、従者の人と恋に落ちれば良かったのに」


「エスメラルダさん!

 わたし、ソラルと友達になりました!!

 あと、ミクちゃんって言う魔族の______」


「友達だけ増やして帰ってくるなんて、雑用係ちゃんはまだまだこどもね。

 ____でも、ま、あたしとガイツの邪魔をしないならいいわ」



 王子さまと魔族と、スゴイ友達ができたと自慢しようとしたら、エスメラルダさんに「まだまだ」と言われてしまった。


 そっか。

 友達の自慢より、自分を磨くのが大事。

 そういうことね。


 勇者パーティーは意識が高いな。

 がんばらなくっちゃ!

 じゃないと、一緒にダンジョンに行ってお手伝いなんてできないね。



「王都から〔武闘家〕が来ないから、今日も休みだな」



 勇者さまが言った時、「トントン」と山小屋のドアを叩く音が聞こえた。

 出てみると、ドアに入りきらなさそうなムッキムキの男の人がいた。


 オールバックの黒髪。

 光っているように見える金色の瞳。

 肩からそでの破れた白い道着。

 カーキ色のゆったりとしたズボン。

 黒いブーツ。


 間違いなく、王都から来た〔武闘家〕の人!!

 彼は、わたしをギロリと見下ろしたあと、笑顔で言った。



「あら! カワイイお出迎えの子ねぇん♡」






_______________________


 アムール(24歳)     Lv70

  HP 3745    攻撃力 2800

  MP 100    防御力 220

 【職業 武闘家】  〔特技 愛の抱擁(ブレイク・ブレイク)


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