第46話 友達が増えていく
とりあえず、また魔獣に戻っては大変なので、【アッフェクトゥス・オーロックス】の魔石を回収して、ソラル王子とフィリアさんを探した。
ソラル王子は、王妃様とは反対側の城壁に流れ着いていた。
騎士の人達も一緒にいる。
みんな流されたときに、あちこちぶつかったんだと思う。
うなりながら地面に片膝をついていた。
「ソラル王子!!」
「アイビー殿。無事でよかった」
そう言って王子は立ち上がった。
「君が戦っているのが、ここからでも見えたよ。
暗殺を阻止してくれてありがとう!!」
「いえ、ミクちゃんとフェンのおかげです。
わたしは……」
返事に詰まってしまった。
本当なら、わたしが王妃様を気絶さていれば、ミクちゃんが最小限の被害で魔獣を倒してくれていたはず。
それが出来なかったので、お城がボコボコの上に、ちょっと崩れてしまっている。
修繕代が、めちゃくちゃ掛かるに違いない。
しかも、途中から王子の存在を忘れていた。
申し訳ない。
「お、王子……」
わたしは、そっと、【アッフェクトゥス・オーロックス】の魔石を、ソラル王子に手渡した。
「これを__________」
これを売って、お城の修繕費用に充てて欲しい。
そう思って渡したのだけど、王子は立派な人なので「いいのかい?」と受け取ることをためらった。
城が壊れたのは、作戦に失敗したわたしのせいでもあるから気にしなくていいのに。
「ぜひ、受け取ってください」
「……ありがとう!!」
王子さまは、わたしを抱きしめて感謝してくれた。
こんなに喜んでくれるなら、きっとかなりの額になるに違いない。
良かった。
わたしの失敗をもみ消せそうだ。
「大事にする!!」
大事にする?
売り飛ばして、修繕費にするのに「大事に使う」じゃなくて、「大事にする」?
言い間違いかな?
感情が昂ると、言い間違うことってあるよね。
「ありがとう。アイビー」
いつも「アイビー殿」だったのに、急に呼び捨てにされてびっくりした。
でも、これって心の距離が縮まったってことだよね?
「アイビーも、僕の事はぜひ呼び捨てで〔ソラル〕と呼んでほしい」
ミクちゃんだけでなく、ソラル王子とも友達になれた。
今日はなんてスゴイ日なんだろう。
王子さまと友達って夢のようだ。
「あれ? 靴はどうしたんだい?」
ソラル王子が、わたしが靴を履いていないことに気づいた。
長いドレスだから、わからないと思ったのにな。
歩いた時に、ちょっと、つま先が見えたみたい。
「走りにくかったから、途中どこかで脱ぎました」
「そうか。
それは確かに走りにくかったろうね。
貴重なものだし、すぐに騎士に探させよう」
なんだろう?
何だか靴の事を知っていそうな口振りだ。
「あの靴はジージエ殿からもらったんだろう?」
「そう! そうなんです!!
よく、ご存じで!!」
「あの靴は、昔、父がジージエ殿に魔獣を追い返した褒美としてあげたものなんだ」
知らなかった。
おじいさん、この国に来た事あったんだ。
勇者パーティーのみんなで来たのかな?
あ!
だから、舞踏会の招待状が届いたのか。
「必ず、探し出すよ」
そう言ってくれたけど、たぶん、あれは王妃様に取られて、もう無いと思う。
✽✽✽
ソラル王子は密かに決意していた。
(さっきの【ユニオンスライム】の魔石に続いて、【アッフェクトゥス・オーロックス】の魔石までくれるなんて、これは愛の誓いで間違いない!!
この魔石は、僕の宝物だ。
だって!
僕とアイビーが、愛を誓った証なのたから!!)




