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第35話 秒で田舎娘とバレました


 フィリアさんと大広間に入ると、華やかなドレスで着飾った若い御令嬢がたくさんいた。



「フィリア様よ」

「勇者パーティーのフィリア様だわ」

「ヒーラーのフィリア様だわ」

「なんてお綺麗なのかしら」

「フィリア様がいらっしゃるなら、王子様は諦めるしかないわね」



 フィリアさん、みんなから憧れの眼差しを向けられている。

 もともとキレイな上にドレスを着て、今日はお姫様みたいだもんね。



「一緒にいらっしゃる方はどなた?」

「初めてみるわ」

「エスメラルダ様はいらっしゃらないのかしら?」

「ちょっとドレスが大きんじゃないかしら?」

「フィリア様にれ馴れしいわね」




「「「「「どこの田舎娘かしら?」」」」」




 みんなが、わたしを見てヒソヒソ話をした。

 しかも、何人か立ってる警備の男性の人なんかは、わたしの足元を見て「おい、アレ」「まさかな」「そんな、まさかだ」とか言ってる。


 ドレスは借り物。

 靴は貰い物。


 わたしのためにあつらえたものじゃない。

 似合わなくて当たり前。

 ぶかっこうで当然。



「気にしちゃダメです。

 アイビーさんはとっても可愛いです

 みんな、嫉妬しているだけです」



 フィリアさんは優しい。

 ドレスに着られているわたしに「可愛い」と言ってくれる。

 わたしは、震える手でフィリアさんの両手を掴んだ。




「スゴイです! フィリアさん!!

 みなさん、一目でわたしが田舎者だと気づきました!!」




 興奮が止まらなくて、全身が震える。

 飛び跳ねてしまいたいほどに!!



「パッと見ただけで気づくなんて、〔貴族〕ってスゴイですね!!」


「!」



 フィリアさんが目を丸くした。

 なぜだろう?

 御令嬢方も目を丸くしている。



「ちょっ、ちょっと本当に田舎娘だったわ」

「なんてメンタルなの」

「早くフィリア様から離れてくれないかしら?」

「一人でフィリア様を独占するなんて」

「どうして舞踏会に呼ばれたのかしら?」



 みんな、まだヒソヒソ言ってるけど、何か問題があるなら直接言いに来るよね?

 来ないということは、わたしが紛れ込んでも特に問題は無いということ!



「もうバレてるなら、バレる心配いらないですね!

 心置きなく料理を食べられます!!」




「やだ、あの子、料理狙いよ」

「どれだけ食べるつもりなの!?」

「しかも、フィリア様も一緒に!?」

「と、いうことは、もしかして……」

「私達にも、王子様と結婚するチャンスが消えてない!?」




 よくわからないけど、料理が置いてあるテーブルまでの道が一気に開けた。

 みんな笑顔で迎えてくれる。

 おかげで、最短コースで料理にたどり着いた。



「わぁ! キラキラの食器です!!」



 輝くガラス製の食器に、ちょこんとオシャレにのせられた数々の料理。

 うちの木の皿とは大違い。


 お父ちゃんと、お母ちゃんが手紙で心配していたのはコレだったのね。

 このキラキラの世界にはまったら、確かに元の生活に戻れないかも。

 ダンジョン攻略が終わったら、わたしの仕事も終わり。

 こういう体験ができるのは、今だけ。

 それを肝にめいじて、さあ!



「さぁ! 食べるぞぉ!!」



 わたしは両手の握りこぶしを上げて、気合を入れた。

 隣ではフィリアさんが微笑んでいる。



「ははは。

 おもしろいお嬢さんだね」



 振り向くと、サラサラの金髪にあおい瞳の、キラキラ王子さまがいた。


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