第31話 両親に荷物と手紙を送れました
「他に客がいないからといって、お店が暇なわけじゃないのよ。
こう見えても忙しいから、冗談に付き合えないわ」
受付のお姉さんが、申込用紙を取り上げようとしたので、慌てて〔金の延べ棒〕を見せた。
「さっき、換金所のおじさんに魔石を交換してもらったんです。
そしたら、これをくれて______」
「あなた、もしかして〔勇者パーティーの雑用係〕!?」
なぜ、受付のお姉さんが、わたしの事を知っているのだろう?
よくわからない。
とりあえず「はい。そうです」と答えた。
「この間、ひったくりを捕まえた子ね!!
あいつには、みんな困ってたのよ。
ありがとね!」
どうやら、わたしのことがウワサになっているらしい。
「私、あの日もここで仕事だったんだけど、しっかり聞いたわよ。
雷の音!
晴れてたのに、スゴイ音だった。
あなたの剣が、雷を落とすんだってね。
見たかったわぁ」
受付のお姉さんはご機嫌になった。
ひったくり騒ぎを目撃したお客さんに、色々と聞いたそうだ。
「これは、お金じゃなくて〔荷物〕として送るといいわ。
ひったくりを捕まえてくれたことだし、今日は無料で送ってあげる」
「あ、待ってください。
これも一緒にお願いします」
荷物として送れるなら、普通の荷物も一緒に送りたい。
手のひらサイズの包みもお願いして店を出た。
「魔石を交換して、お父ちゃんとお母ちゃんに手紙を出したら……ごはん!
今日は、何を食べてみようかな!!」
前回は、魚の串焼きとパンを食べたので、今日は肉を食べたい。
あぁ、でもデザートも気になる。
迷いに迷って、肉の串焼きにした。
「あ!
ポーションと聖水を買わなきゃ!!」
食べ物のことが気になって忘れてた!
急いで換金所に行って、ポーションと聖水を買った。
「この間、あんなに買ったのに、もうなくなったのかい?
まぁ、あれだけの魔物を倒したなら、不思議じゃない」
エリクサー2本、ハイポーション4本、ポーション50本、聖水10本を買った。
たった二日で、ポーション50本入荷している。
前回おじさんが言ってたことは本当だった。
すぐ納品されるんだね。
エリクサーやハイポーションは作るのに時間がかかるので、あまり入荷しないらしい。
聖水は作れる人が少ないから、在庫を抱えるのが難しいそうだ。
覚えておこう。
無駄遣いできない。
「ウイロウはよかったのかね?」
「はい。あれはまだあります」
わたしは、ポケットに入れてあるウイロウを見せた。
ダンジョン近くの山は、いつ魔物に襲われても不思議じゃない。
いちおう持ち歩いている。
「そうかそうか。
お嬢ちゃん、また来てね。
今度はもっとポーション入れとくよ」
「うん。おじさん、ありがとう!」
帰ったら、お昼すぎかな?
山小屋に着いたら、水汲みができるなぁ。
とか、考えながら町を出て、荷車を引きながら山道に入った。
***
午後。
アイビーの両親に荷物が届いた。
『お父ちゃんと、お母ちゃんへ。
またお金が入りました。
手元に困らないだけのお金もあるし、お父ちゃんとお母ちゃんが言うように贅沢に慣れては困るので、家に送ります。
PS.魔石を一緒に送ります。
聖水をかけてあるので、たぶん魔物に戻ることはないと思います。
夜、月の光を反射して、微かに光るのがとてもキレイです。
家の前に何個か埋めてみるのもいいかもしれません』
「へぇ、この石、夜に光るの?
集会に参加して遅くなったときとか、家の前が少し光ってたら安心して帰れるわね。
もう一つの荷物が、お金かしら?
え?
……お、重いわ…………って、これお金じゃなくて 〔金の延べ棒〕じゃない!
あなた! あなたぁぁぁぁぁぁ!!
村が買えるわ!
爵位が買えるわ!!
今日から、あなたが村長よぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!」




