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第30話 両親からの手紙

「え!?

 国がひっくり返るんですか!?」



 何がいけないんだろう?

 荷車には、灰色ドシニアの魔石が約二千個、マクラフィッシュの魔石が約四十個、ユニオンスライムの魔石が一個、スライムの魔石が約二十個ある。


 もしかして、保存方法に問題があるのだろうか?

 やっぱり、スコップですくって、土まみれではいけなかったのかな?

 それとも、魔石に聖水をかけたのがいけなかったのかな?



「この量の魔石……確実にこの国が変わる。

 最低でも、この町が大きく変わるよ、お嬢ちゃん」



 そう言って、おじさんが金のぼう一つと交換してくれた。



「大きく発展するに違いない。

 お嬢ちゃん、ありがとね」



 涙目になって喜んでくれた。

 何か、やらかしてしまったわけでなくてよかった。


 金の延べ棒は両手で持ってもズッシリと重かった。

 その重さの分、感謝されたような気持になる。

 でも……



(どうしたらいいの? コレ)



 金の延べ棒なんて、買い物に使えないよね?

 お会計の時、こんなの出してる人を見たことがない。

 とりあえず、家に送ろう。

 現金書留で家に送ることにした。



「手紙が届いてますよ」



 郵便屋さんに行くと、両親から手紙が届いていた。




『アイビーへ


 元気そうで何よりです。

 とつぜん大金が送られてきて、びっくりしました。

 お父ちゃんとお母ちゃんで話し合った結果、とっておくことにしました。


 こんな大金が送られてくるぐらいだから、きっとアイビーは今、家にいたころより良い暮らしをしていると思います。

 家に帰って来たときに、薄い布団では寝られないかもしれません。

 人は生活レベルをなかなか落とせないといいます。

 お前が帰って来たとき、そこでの暮らしとあまり変わらない生活ができるようにするための資金にすることにしました。


 体に気を付けてお仕事がんばってください。

 もし、やめたくなったら、いつでも帰って来てください。



PS.泥棒が入って来てはいけないので、家のドアの修復にちょっとだけお金を使わせてもらいました』




 目頭が熱くなった。

 わたしが使う分のお金はとっておいたので、全部使ってよかったのに。

 両親は、わたしが家に帰った時のことを心配してくれている。


 たしかに、家のベッドより山小屋のベッドはフカフカだ。

 エスメラルダさんの作るご飯はおいしい。

 “都会の料理”って感じがする。


 もしかして、おかずにあまり具が入ってないのは、そういうことを心配してのことだろうか?

 そうかもしれない。

 エスメラルダさんのごはんが日常的になったら、家に帰ってから味気ないと思うかもしれない。



(ありがとう。

 エスメラルダさん。

 あなたのおかげで、贅沢にならなくてすみます)



 心の中でエスメラルダさんに感謝しながら、両親に手紙を書いた。

 ダンジョン攻略のための拠点だから、そんなに贅沢な暮らしはしていないので心配いらないよ。

 自分でもいくらか持っているので、気にせず使ってね。

 そもそも金の延べ棒の使い方がわからない。

 と、いったようなことを書いた。



「ここに、送る金額を書いてください」


「はい」



 申込用紙に金額を書く。



(“金の延べ棒、一本”っと______)



「は?」


「え?」



 窓口のお姉さんが険しい顔をした。

 何か間違えただろうか?

 そういえば「送る金額を書いてください」と言われたから、“一本”じゃダメなんだ。

 じゃあ、これはいくらなの?



「すみません。

 “金の延べ棒”っていくらって書けばいいですか?」


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