第21話 それって、どんな魔物ですか?
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とても、ありがたいです。
「おぉ、いいじゃないか」
ダンジョンから帰って来た勇者さまは、ご機嫌だった。
テーブルの上のエリクサーとハイポーションを見て「うん、うん」と頷いている。
「お前にしちゃ、今日はちゃんと働いた方だな」
ここには、エリクサーとハイポーションしかないけれど、倉庫にポーションが80個ある。
説明しようとしたら、勇者さまは手際よくエリクサーとハイポーションを抱えて、自分の部屋に行ってしまった。
そのあとを、エスメラルダさんが追いかけた。
「――――ねぇ、お金払わないんだ」
「――――払えと言ってこねぇから、いいだろ」
「――――まぁ! 悪い人。ふふふ」
二人で肩を寄せ合って何か話してる。
美男美女って、後ろ姿も絵になるなと思った。
ポーションは、明日でもいっか。
「ガイツさん、ご機嫌ですね」
「フロアボスの【ブラック・アイベックス】が、なぜかおらんかったからのぅ」
フィリアさんとジージエおじいさんは、今日のダンジョンの話をしていた。
「おかげで、ポーションはそんなに減りませんでしたけど、不思議ですね」
「うむ。
ワシにもようわからんが、水晶の力はスゴイのぅ」
「そうですね。
おかげで、今日は次の層に行けました」
「まさか次の層で【灰色ドシニア】がいるとは思わんかった。
しかし、【ブラック・アイベックス】よりは戦いやすかったのぅ」
「山の中のダンジョンに、海の魔物がいたのは驚きでした」
「川を上って来たんかのぅ?」
魔物の名前を聞いても、一般人にはよくわからない。
ダンジョン攻略に疲れているところ、会話に割り込んでいいのかためらわれたけど、ちょっと聞いてみた。
「それって、どんな魔物ですか?」
「おぉ、アイビーちゃんは冒険者じゃないから、わからんよのぅ」
フィリアさんとジージエおじいさんは、親切に教えてくれた。
「【ドシニア】は、〔貝〕の魔物です。
海に生息しているので、珍しかったんです」
「ちなみに、【ブラック・アイベックス】は〔ヤギ〕の魔物じゃ。
こいつは、大きくてのぅ。
山の中を駆け巡るから、足の筋肉がスゴイんじゃ」
貝の魔物が山の中のダンジョンに現れたら、確かに驚くなぁ。
それより、【ブラック・アイベックス】が〔ヤギ〕の魔物と聞いて気になった。
(きのうの夜、〔黒いヤギ〕と戦ったけど、まさか、あれが【ブラック・アイベックス】?)
まさかね。
勇者さまたちが警戒する魔物に、わたしが勝てるわけない。
「さ、夜ごはん作るから、雑用ちゃんは準備を手伝って!」
「は、はい!」
エスメラルダさんが二階の勇者さまの部屋から、食堂に戻ってきた。
エスメラルダさんのこだわりで、料理はいっさい手伝えない。
なので、お皿や飲み物の準備を手伝った。
今回も、わたしのスープには具材がないけれど、お昼にたくさん買い食いしたので、このぐらいで調度よかった。
食事が終わると、みんな部屋に戻る。
わたしは洗い物をして自分の部屋に戻る前に、外にある倉庫へ向かった。
明日、勇者さまに何本か渡そうと思って取り出すと、山小屋の結界が揺れていることに気づいた。
「何、あれ……貝?」
結界の下の方から「スススっ」と手のひら大の貝が入ってきた。
「え…………?」
わたしは、ソレから目が離せなかった。
だって、弱い魔物なら、山小屋の結界が弾いてくれる。
入ってくるということは、弱くない魔物。
でも、もしかしたら、普通の貝かもしれない。
どっちだろう?
じぃっと見つめていたら、貝がどんどん増えてきた。
それは、さざ波のようだった。
(これ、魔物だ!!
よく考えれば、ここは海から貝が来られるような距離じゃない!
川だってそうだ)
足元がどんどん水で濡れていく。
(なんで、こんなに水が!?
とりあえず、勇者さまを呼ばなくちゃ!!)
叫ぼうとするわたしに、貝が一斉に飛びついてきた。
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【灰色ドシニア】
HP 3000 攻撃力 1020
MP 450 防御力 460
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