第20話 買い出し完了です
「何が“助けてくれ!”だ!
お前が、人の大事な金を盗ったりするからだ」
おじさんが言うには、ひったくりは常習犯だったらしい。
誰かが騒ぎを見て、すぐに町の警備隊をよんでたみたい。
ほどなく、ひったくりは逮捕された。
「服装からして田舎娘だったから、ちょっと小遣い稼ごうと思ったのに、本格的な田舎娘だったとは――――――なんだ、あの動き。普段から魔物と戦ってる動きだぜ」
田舎娘、田舎娘と、なんだかバカにしたような言い方で、失礼な人だな。
えぇ、えぇ。
わたしは山の中で走り回るタイプの田舎娘ですよ。
家の手伝いで、畑を荒らしに来るキツネやイノシシを追いかけまわしてましたとも。
家のことを思いだしたら、両親のことも思い出した。
手紙を書くと言ったのに、まだ書いてない。
換金所のおじさんがポーションを準備してくれるまで時間があるし、その間に書こう。
「ありがとね、お嬢ちゃん。
あいつには困っていたんだ。
店に戻ってポーションを準備するから、お嬢ちゃんは屋台で何か食べておいで」
そうだ。
屋台で、魚の串焼きを食べるんだった!
わたしは、両親に手紙を書いたあと、屋台を見てまわった。
「うぉいひぃ~」
魚の皮の塩味と、焼きすぎない絶妙のやわらかい食感。
ちょっと焦げた所の苦みに、炭火焼の深い味わい。
換金所のおじさんの言ってた通り、おいしい!!
他にも、鶏の骨付き肉や、ジャガイモと枝豆のサラダも食べた。
「う~ん。
どれもこれもおいしかったぁ!」
お腹がいっぱいになったので換金所に戻ると、おじさんが町中のポーションを集めてくれていた。
山の中の小さな町だから、出来たことだろう。
「荷車はサービスだ!」
運ぶために荷車まで用意してくれた。
「エリクサー3本、ハイポーション10本、ポーション80本ある」
「こんなに買い占めてもいいんですか?
困る人が出てくるんじゃ――――――」
「明日にはまた納品されてくるから、気にしなくていいよ。
もし、今日どうしても必要になったら、〔ウイロウ〕を使えばいい。
それか、近所の人から買い置きのポーションをもらえばいいのさ。
そうだ、〔ウイロウ〕も入れておいたよ」
「〔ウイロウ〕って、お菓子だと思ってました」
たまに、お母ちゃんが「もらった」と言って、くれることがある。
ずっと、お菓子だと思ってたけど、回復薬だったの?
「わらび粉を使っているお菓子だよ。
実は回復効果もあってね。
薬を作っている人が考えたお菓子で、なぜかポーションに近い効能がある。
もしかしたら、薬を作っている人は聖女かもしれないというウワサさ」
聖女。
そうか。
伝説だと思ってたけど、本当にいるんだな。
そんなことを考えながら、わたしは荷車を引いて山小屋に帰った。
「ん~。
ポーション80個をどこに置くかな?」
エリクサーとハイポーションは、食堂に置いておけば良い。
勇者さまたちが帰ってきたら、すぐに見せられる。
ポーション80個はテーブルの上に乗りきらない。
倉庫にとりあえず入れておくかな?
それでも入りきらないものは、わたしの部屋だ。
***
その日の夕方、アイビーの両親の元に手紙が届いた。
『お父ちゃん、お母ちゃんへ。
お元気ですか?
わたしは元気です。
洗濯はなかなか大変ですが、毎日がんばって雑用をやってます。
魔物も倒しました。
スライムと、黒いヤギと、マクラフィッシュです。
お金も、もらいました。
持ってても使い道がないので、家に送ります』
「あの子、元気にやっているのね……」
母は手紙を読んで、一安心した。
そして、気づいた。
「一緒に送られてきた包みが重いわね。
お金の他に何か入れて……は、ない!
お金だけでこの重さ!?」
まさか、娘からお金が送られてくるとは思っていなかった。
山小屋近くで見つけた、珍しい形の石か何かだと思っていた。
なので、母はとても驚いた。
「き、ききききききききききききき、き、金貨が20枚も入ってる!!
家が建て直せるわ!!!!
畑も買えるし!!
家畜も殖やせる!!
どうする!? どうするの!?
あなた! あなたぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」




