第19話 おじさんが何か叫んでます
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やる気が出ます。
(追いかけなきゃ!!)
一瞬、頭の中が真っ白になったけど、気を取り直して走った。
ボロボロの服を着たひったくりが、二つ目の路地を右に入って行く。
「頑張れ! お嬢ちゃん!!」
換金所のおじさんも、後からついて来てくれている。
「絶対、逃がさない!!」
ひったくりの後を追い、二つ目の路地を右に入る。
必死で追いかけた。
木材ブロックで敷き詰められた道は、山道とは違い走りやすかった。
(体が軽い)
少ししか寝てないけれど、実家にいた時より体がよく動く。
落ち着いて前を見れば、ひったくりの足はそんなに速くない。
弱い魔物が相手でも、毎日戦っているからレベルが上がったのかもしれない。
「マクラフィッシュの方が、速いわよ!」
ひったくりの服をよく見ると、冒険者っぽかった。
服がボロボロなのは、魔物との闘いのせいだろう。
あんなにボロボロなら、冒険者レベルは高いに違いない。
わたしは念のため、身体強化の魔法を使って戦いに備えた。
体に流れる魔力を感じて、それを中心に〔身体強化〕をかけていく。
「はぁ、はぁ……お嬢ちゃんの足が、めちゃくちゃ速くても、もう驚かないよ」
換金所のおじさんが路地を入ってきて、息を切らしながら何かつぶやいている。
「金貨22枚でポーション買おうとしたって、驚かなかっただろ?
なぜか?
そりゃ【ブラック・アイベックス】を〔弱い〕と言うからさ。
お嬢ちゃんたちは想像を絶する戦いを日々…………って、うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉい!!!!」
おじさんがなぜか突然叫びだしたけど、確認している場合じゃない。
わたしは、ひったくりを止めるべく、走りながら構えた。
「逃げろぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!」
特に周りに異常は見当たらない。
逃げろと言われても、そういう訳にはいかない。
ポーションを買うお金を、取り戻さないと!!
「ひったくり犯!
金を置いて、逃げろぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!」
おじさんは、なぜかひったくりの心配をし始めた。
ひったくりの知り合いなのかなと思ったけど、ひったくりはおじさんの話を聞かなかった。
知り合いではないらしい。
完全に無視している。
よくわからないけど、わたしはひったくりに向かって後ろから一歩踏み込んだ。
おじさんは、まだ何か言っている。
「鞘が普通のものだから気がつかなかった!!
柄の輪のデザイン!
黄金作りの、そのひと振り!
禍の剣!!
〔シーガルスホルムの剣〕だぁぁぁぁぁぁぁ!!!!
死ぬぞぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!」
何を言っているのだか。
お金を取られても、さすがに殺しはしない。
動きを止めるだけ。
ケガを負わす気さえないのに。
(あ、そういえば…………)
「ぜぇ、はぁ……!
〔禍〕とは、これすなわち〔神の怒り〕!!」
換金所のおじさんの言葉で、昨夜〔護身用の剣〕から〔シーガルスホルムの剣〕に変えたことを思い出した。
そして、この剣は鞘から抜くと――――――
「ピカッ!!!!」
鞘を抜くと、雷が空から降ってきた。
昼間でも眩い光と同時に、割れんばかりの雷鳴が轟く。
(いけないっ!)
慌てて剣を振り下ろすのを止めたけど、ひったくりを上手く庇えたかな?
わたしが上になるようにして、雷はわたしに落ちるようにしたつもりなんだけど……。
〔身体強化〕をかけているので、わたしは無傷。
フィリアさんに教えてもらったやり方は、ホントに頑丈。
一方、ひったくりは、ちょっと焦げてた。
雷の直撃はくらってないものの、わたしを伝って、ちょっと雷がひったくりの服を焦がしていた。
「ひぃぃぃぃぃぃ! 助けてくれ!!」
お読みくださりありがとうございました。
次回は、5/16㈯までを目標に投稿したいと思います。
今日はアイスの日。
何アイスを食べようかなと、考えてます。




