第18話 換金所のおじさんに、また驚かれました
そうだよね。
弱い魔物の魔石ばかり持ってこられても困るよね。
ここに来るまでは、特に何も気にしてなかった。
換金所のおじさんが叫ぶのを見て、初めて迷惑だということに気づいた。
本当に申し訳ない。
「すみません。
弱い魔物の魔石ばかりでは迷惑ですよね—————」
「イヤイヤイヤイヤイヤイヤイヤイヤイヤイヤイヤイヤ。
お嬢ちゃん!
迷惑ではないから、片づけないで!!!!」
もっと強い魔物を倒せたら出直そうと、マクラフィッシュ約70個、スライム20個、大きいスライム1個、黒いヤギ1個の魔石を持って帰ろうとしたら止められた。
「二日前に換金したばかりなのに、また百個近くの魔石を持ってくるとは思わなくて、びっくりしたんだよ。
――――――しかも、【ブラック・アイベックス】と【ユニオンスライム】の魔石なんて、図鑑でしか見たことがない……これはまた美しい魔石だ………………」
どうやら、持ってきた中にキレイな魔石もあったみたいで、おじさんがブツブツ言いながら見入っていた。
「勇者さまが相手にする気にもなれない魔物の魔石ばかりだけど、迷惑じゃないなら良かったです」
「……え?
勇者さまが、相手する気にもなれない!?
じゃ、誰がこの魔物を倒したんだね?」
「わたしです」
「ぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶブブブブブブブブブブラブラブラブラブラブラブラブラブラブラブラブラブラブラ【ブラック・アイベックス】をお嬢ちゃんが倒したのかね!?」
換金所のおじさんがものすごく驚いている。
「はい。
ザコを倒して、ちょっとずつでもレベルを上げないと洗濯もまともにできません。
わたしはまだマクラフィッシュに翻弄されます」
「わけがわからない!
【ブラック・アイベックス】に勝てるのに、マクラフィッシュに翻弄される!?
マクラフィッシュこそ、ザコじゃないかね?」
おじさんが大きく腕を振り上げ、頭を抱えた。
それはきっと、マクラフィッシュが一度に一匹や二匹しか現れないと思っているからだよね。
「洗濯するとき、川にマクラフィッシュが30匹ぐらい一度に現れます。
半日かけて倒していますが、勇者さまは一突きです。
わたしは一突きで、三匹しか刺せません」
「さ、30匹を、一突き!!
今回の勇者さまは、そんなにも強いのか…………」
やっと、おじさんにおわかりいただけたようだ。
「これは、歴代最強の勇者かもしれん!!」
おじさんが鼻息を荒くして、拳を握った。
興奮するのも無理はない。
マクラフィッシュ30匹を一度に刺すなんて、一般人にはできないもの。
勇者さまはスゴイ!!
「では、今回の魔石の代金だよ」
そう言って、おじさんは金貨22枚くれた。
「き、金貨!?
初めて見た。キラキラのお金だ!」
山の中の村に住んでいると、金貨なんて見ることがない。
銀貨は幼いころ、村の復興のお金が国から出たと言って、村長が集会でみんなに説明した時に見ることができた。
金貨は、今日初めて見た。
「ぐぅぅっぅぅぅぅぅぅぅ」
突然、お腹がなってしまった。
最近、あまり食べれてないからだろう。
はずかしい。
「強敵と戦えば、お腹もすくさ。
店を出て、右に行くと広場に出る。
そこには屋台が出てるから、食べていくといい」
はずかしくて顔をふせたわたしに、換金所のおじさんが教えてくれた。
おすすめは、魚の串焼き。
ただ焼いただけだけど海の魚なので塩がきいていて、さらに炭火の香ばしさと混ざり合い、サッパリしていながら深みのある味なんだそうだ。
「でも、このお金でポーションを買いたいのですが――――」
「ははははは。
この町のポーションを全て買いしめても、金貨1枚にもなりゃしない。
ポーションを用意している間、食べに行っておいで」
「はい! ありがとうございます!!」
魚の串焼きを楽しみに店を出ると、ボロボロの服の人とぶつかった。
「あぁ! お金盗られた!!」
ウソでしょ!?
勇者さまにポーションを買うように言われているのに!!
お金を全部取られた。




