第17話 あの日の魔法
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浅瀬に落ちただけなので、すぐに体制を取り直して〔黒いヤギ〕を確認すると、マクラフィッシュたちが〔黒いヤギ〕の頭にそっと寄り添っていた。
足取りがふらつく〔黒いヤギ〕。
眠そう。
「あの変な人が言ってたのは、本当だったのね」
“マクラフィッシュを〔枕〕にする魔物がいる”
そう言ってた。
だから、もしかしたら魔物を眠らせる特殊効果があるのではと思った。
予感が的中してよかった。
そうは言っても眠らせるだけでは、倒せない。
水しぶきをあげながら、わたしは〔黒いヤギ〕の元へ走った。
気持ちが高まっているせいか、力が湧いてくる。
今なら、あの魔法が使えそう。
あの日、勇者さまが使った魔法。
「正義の光!!」
夜の河原に光が広がっていく。
光は〔黒いヤギ〕とマクラフィッシュたちを包み込んだ。
次々と魔石に変わるマクラフィッシュたち。
だけど、〔黒いヤギ〕は眠いながらも耐えた。
わたしは、エプロンを使って四角になるときに鞘におさめた〔シーガルスホルムの剣〕を再び抜いて、〔黒いヤギ〕の胴体に刺した。
雷が再びわたしに落ちたけど、気にしなかった。
フィリアさんの身体強化はまだ効いている。
「はぁ、はぁ、…………倒せた……」
復活されては困るので魔石を回収していたら、朝に会った変な人が現れた。
「マクラフィッシュで動きを止めて倒すとは、面白い。
〔面白き娘〕、名は何は?」
「……アイビーです」
「私はテンジンという。
また会おう! 面白き娘、アイビー!!」
上流階級の人っぽいのに変な人は、黒いコウモリのような羽根を出して飛んでいった。
(あの人、魔物だったの!?)
だから、マクラフィッシュにも詳しかったのかな?
よくわからないけど、〔テンジン〕と名乗った人は行ってしまったし、川に落ちてびしょ濡れになったから寒いので、急いで山小屋に戻った。
「……眠い」
山小屋に戻ると、安心して疲れが「どっ」と出た。
みんなはもう眠りについて静かな食堂に入ると、フラフラの足で今夜も暖炉の灰の中にもぐりこむ。
「やっぱり、ここは暖かい……」
灰はまだ熱を持っていて暖かく、わたしはそのまま眠りについた。
(みんなが起きる前に部屋に戻れば大丈夫――――)
「おい! いつまで寝てんだ、灰かぶり!!」
勇者さまの声で目が覚めた。
結局、今日も寝坊してしまった。
「すみません。
昨晩は〔黒いヤギ〕と戦って――――――」
「あぁ? 黒いヤギぃ!?
俺たちはこれから〔ブラック・アイベックス〕という強敵と戦うのに、ヤギ!!
レベルアップなんていいから、雑用やれよ。
本来の仕事をな!!」
「まぁ、まぁ。勇者殿。
アイビーちゃんは、ちゃんと洗濯も水汲みもしてくれとる」
占い師のジージエおじいさんが、勇者さまに怒られるわたしをかばってくれた。
「今日はアイテムをたくさん消費するだろうから、ポーションや薬草の買い出しに行っとけよ?」
洗濯よりも買い出しに行けとのこと。
洗濯!
洗濯で昨夜の戦いを思い出した。
「勇者さま!
強敵にはマクラフィッシュを投げつけると良いですよ!!
実は、きのう――――――」
「バカか!
“マクラ”が名前に入って、形も“枕”に似ているからって、魔物がそれで寝るわけないだろう!!
しかもザコ!
川にいる魔物を陸に上げたら、ダンジョンに入るころには死んでるぞ」
盲点だった。
魚の魔物は陸では生きていられない。
昨夜の経験が勇者さまの役に立つと思ったのに、残念。
エスメラルダさんの作った朝食を食べて、みんなを見送ってから買い出しにでかけた。
町に行く道中、お腹がなった。
「朝ごはん食べたのに……」
今朝もスープには具がなかった。
パンはみんなのより小さい気がする。
(昨日のお昼を食べ損ねたのが響いているのかな)
そんなことを考えながら、まずは魔石の換金所に行った。
「なんじゃこりゃぁぁぁぁぁぁ!!」
換金所のおじさんが、わたしがカウンターに出した魔石を見て驚いた。
アイビー(14歳) Lv15→38
HP 750→1900 攻撃力 60→152
MP 22→57 防御力 18→43
【職業 雑用係】 〔特技 ジャスティス・ライト〕




