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勇者パーティーの雑用係  作者: 葉桜 笛


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14/17

【魔法使い〔エスメラルダ〕視点】


 ヘラヘラ笑って腹が立つ。

 何が「わたし、強くなります!!」よ。


 一般人が私たちと一緒にダンジョンに行けるわけがないじゃない。フィリアが〔身体強化〕なんかをかけるから、素質があると勘違いしちゃってる。

 ちょっと、ガイツのパンツを洗ってるからって、いい気になりすぎよ!



 水は四杯しか汲めないし、毎日寝坊する。

 そして何より、ガイツに媚び売ってんのが一番腹立たしい!! ガイツのパンツが破けたら縫えるように、裁縫道具を買ったですって!?

 「奥様気取りか!」ってんのよ!!



 ガイツの奥様ポジションは私のもの。

 あの、たくましいイケメンは、私のごはんで作り上げられているのよ!

 色々とガイツに気を配って、料理してきたの!!

 努力もしない子に取られてたまるものですか!!






 ガイツは私の男よ!!

 誰にも渡さないわ!!!!






「ブシュッ!」




 怒りのままにプチトマトにフォークを刺したら、中の水分が飛び散った。

 占い師のジージエが「うぉっっ!」と驚いたので「ふふふ。このプチトマトかたくて困っちゃう」と言っといた。



「そ、そうか。

 フォークになかなか刺さらんもんは、噛めやせんじゃろう。食わん方がえぇんじゃないかの?」



 じいさんが何か言っているけど、それどころじゃない。

 私の怒りが止まらない。


 絶対に雑用係をダンジョンに連れてかないんだから。

 結界にはじかれる程度の〔ちょっと大きいスライム〕を見ただけで騒ぐ子なんて、足手まといにしかならない!

 私たち、〔勇者パーティー〕なのよ!?



 しかも、私の部屋に入ってきてスッピンを見るし!

 ガイツにも見せたことないのに!!

 私の素顔すがおが平凡な顔だったから、勝てると思ったのね。

 だから、ダンジョンに行きたいとか言い出したのよ!!


 ダンジョンに入ったら、魔物を見て「きゃっ、怖い。勇者さま!」とか言って、勇者に抱きつくに決まってる。

 許せない! 許せないわ!!




 パーティーから追い出してやる!!




 今までも、ガイツに媚び売る女は追い出してきた。

 たいていの子は、自分だけスープに具が入ってないと知ると出ていった。

 ちょうど今、雑用係が自分にだけスープの具が無いことに気づいたところ。

 あとは、これを二、三日続ければ出ていくわ。











 今週中に雑用係を追い出すと心に決めて、私は仲間たちとダンジョンに入った。


 ついに30そう


 占い師のジージエが〔ワープ〕の魔法陣を展開できるので、魔法陣を残しておけば続きから冒険できる。

 毎日、1層目から潜る必要がないのがとても助かる。

 ガイツの隣に駆けよった。



「昨夜は、騒がしかったわね」


「雑用係か?」


「ちょっと〔大きなスライム〕を見ただけで、あの驚きよう。一般人は平和で良いわね」



 ガイツが雑用係をどう思っているのか、ダンジョンの廊下を歩きながら探りをいれた。



「あぁ。そうだな。

 もし、〔ユニオンスライム〕が出たなら、俺たちが戦わなければならないが〔大きなスライム〕で騒がれちゃ、夜寝れなくなるな」


「まぁまぁ。

 アイビーちゃんは、がんばってくれとるだけじゃ」


「だいたい、あいつ入れることになったの、じいさんの占いのせいだぞ?

 もう一人応募に来てた婆さんのほうが、まだましだったんじゃないのか?」


「ワシの占いは、絶対じゃ。お主らもわかっておろう?」


「えぇ? でもなぁ……」



 良かった。

 いい感じに不満を抱いてる。



「うわっ! 敵だ!!」



 広間に入ると、大きな魔物が一体。


 黒くて、バサバサの毛。

 大きくカーブしている立派なつの

 足の筋肉がしっかりついている、たくましきヤギの魔物。

 大きすぎる体は、ぶつかっただけで骨折しそう。






「〔ブラック・アイベックス〕だわ!!!!!!」


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