第10話 巨大なスライムとの戦い
「……ぜぇ、はぁ、……ぜぇ、はぁ、…………疲れた……」
どれぐらい戦っただろう?
夜の闇は深くなり、周りの森の木ですら見えにくくなってきた。
わたしの実家は隣の山にあって、標高も同じぐらい。
同じ山の夜なのに、こっちの方が暗い。
月や星の光で、夜も明かりが無くても歩けるものなのに、それがない。
森の木が月明りを遮っているとか、そういう問題じゃない。
(黒い霧が出てる?)
空が見えるのに星が一つも見えない。
ダンジョンが近くにあるせいで、魔物が多いからなの?
これって〔瘴気〕っていうやつかな?
時間がかかりすぎると、何も見えなくなりそう。
わたしは、力を込めて巨大なスライムに切りかかった。
「ぼっや~ん」
軽い傷を負わせはするが、ぷにゃぷにやしてて、剣が跳ね返る。
しかも、小さな傷でも、魔法ですぐ全回復する。
「良いわね、魔法が使えて!」
わたしは、簡単な〔火の魔法〕と〔水の魔法〕が使える。
でも、〔火の魔法〕で森を焼いては困るし、〔水の魔法〕は巨大なスライムに効かない気がする。
どちらかというと、吸収して大きくなりそう。
(もっと工夫しないと、いつまでも終わらないわ)
「う~ん」
巨大なスライムをジィっと見る。
――――――体の中に流れている〔血〕の巡りを意識して、全身にかけます。
なぜか、〔身体強化〕を教えてもらった時のフィリアさんの言葉を思い出した。
巨大なスライムにも、「〔血〕の巡り」があるのかな?
そう思うと、何か見えそうな気がしてきた。
見えそうだけど、暗くていまいち見えない。
目を凝らして見ようとしてたら、巨大なスライムが体当たりをしてきた。
(これって、剣を相手に向けるだけでいいんじゃ……)
切りつけてもダメなんだもの。
体当たりしてくるなら、その力を利用してみる!!
わたしは女性用の剣を、お腹の前で構えた。
刺さりやすいように角度だけ気を付ける。
すると、キレイに剣が巨大なスライムに刺さった。
刺さったのに、巨大なスライムは特に苦しむ様子はない。
わたしの体は激しく木にぶつかり、木と巨大なスライムに挟まれた。
痛くない。
(フィリアさんの〔身体強化〕があれば、死ぬことはない!!)
長期戦、どんとこいと思っていると、うっすら光っていたわたしの体が光らなくなった。
効果が切れた!!
急がなくてはいけない。
次の攻撃で確実に死ぬ。
とりあえず、巨大なスライムに剣を刺したまま、血の巡りを見ようとがんばった。
(あとちょっとで何か見えそうなのに、暗くて見えにくい!!)
光。
光が欲しい。
巨大なスライムの〔血〕の巡りの感触が、剣を伝ってくるような気がする。
もしかしたら、筋肉(?)か何かかもしれない。
見えないから、感覚が研ぎ澄まされて、何か掴めそうな気になっているのかもしれない。
でも、見たい!
光が欲しい!!
(光さえあれば、こいつが倒せそうなのに!)
そのとき、一つの言葉が頭に浮かんだ。
「ライト!!」
すると、今まで暗かったのに、突然〔光の柱〕が巨大なスライムの体を照らした。
「ここね!!」
巨大なスライムの体内の左下に〔核〕を見た気がした。
きっと、あれに違いない。
(あそこを攻撃しよう)
そう思ったら〔光の柱〕が細くなり、巨大なスライムの〔核〕を光で刺した。
「ブッシャァァァァァァァァァァァン!!」
巨大なスライムがはじけて、水が飛び散った。
近距離の真正面から、それを浴びる。
い、息ができない!!
「ぶぅはぁっ!!!!」
スライムの体液で、全身びしょ濡れになった。
アイビー(14歳) Lv9→15
HP 450→750 攻撃力 45→60
MP 13→22 防御力 14→18
【職業 雑用係】 〔特技 ライト〕




