↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
snow drop  作者: ふぁーむ
11/15

ある少女-6

 『これは夢か、はたまた催眠の類か。眼が覚めたら知らない場所。赤い矢印に誘導され、この穴に入ってみれば、見せつけられたのは血肉の洪水と自分の死体。

 あまりに非現実的な惨状に、脳はまともな反応を止めてしまったのか、嫌に冷静だ。尤も体は馬鹿正直に、震えと嘔吐を演じているが。しかし、それでも私は進むしか無いようだ。こんな物を見つけてしまっては。

 そこにあったのは真っ赤な血文字。震えるような走り書き。



未来の私へ あなたはループしています。死ぬとやり直し。

二時五十分 轟音が鳴る、この穴に潜れ

      音が止んだらすぐに出ろ、景色が変わる。白い奴を何とかしろ

三時二十分 には眼を抉られて殺される、それまでに 

      もし私が穴の外で、眼だけを抉られて死んでいたら

立ち向かってはいけない。ほかの方法を考えて     


       今はここまで      どうか生き延びて  憂より


   現在二時四十二分。後八分で何かが起こるということか。

 それにしても、眼を抉られるというのは、恐ろしいことをさらりと言うものだ。後ろに転がる悲惨な死体を一瞥する。ループするにしても死に方くらいは選びたい。

 今の私がループしているという事を自覚していないという事は、死ぬと記憶を消されるという事だ。

 つまりこれは所謂生きるための情報掲示板。ここを活動の拠点として、新しい情報が分かり次第書き込む。そしてこれを信じて行動する以上、最も大切な事は、「誤った情報を書かない」という事。

 もちろん私自身がそうするのは当然だが、気になるのはこの「白い奴」。こいつに限らず、この世界にどうやら第三者がいる以上、それにここを見つかり消されたら、いや、誤った情報を書き加えられたのでは堪らない。早いうちに何か対策を講じなくては。

血文字を指でなぞる。血液は完全に乾燥して硬化しており、指に付着することは無い。爪を立て擦るとガリガリと粉が散った。せめて書けるものがあれば良かった。この様子では新しく書き込むのも難儀しそうだ。


轟音が鳴り響く。時間が来たようだ。


  あなたかあなたか解からないけど信じるよ、過去の私。二つの死体を一瞥し、身を低くした。

  私は生き延びて見せる。例え何回死ぬことになろうとも。






      ……駄目だ。やはり本物でなければ満たされることは無い。』


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。