[ガンマン]
「急いで招集を!!急いで!!」
ウェイドは大きい声で叫んだ。
足音はどんどん強くなり、唇を噛んでいる。
唇からはタラーッと血が垂れているが気にしないで嚙む力は増していく。
「くそ...ヤバいぞ...!」
ドアを思いっきり開けて赤いスイッチを押し込んだ。
無機質な機械音が流れてウェイドは声を張り上げた。
「今すぐ本部へ来い!!ダッシュでだ!!」
「集まったか...?」
ウェイドはハンターらを全員呼び寄せた。
知っているハンターもいれば知らないハンターもいる。
18人しかいないので結構簡単に繋がれるだろう。
(焦ってる...ウェイドが...)
ルード・ホワイトはすでに違和感を覚えていた。
ウェイドは基本冷静だが今回ばかりは焦っている。
「いいかニュースなどで見ている奴らもいると思うが...副官房長官が殺された...」
「内閣官房副長官では...」
「名前は変わった!今更当たり前なことを聞くな!!」
ウェイドの顔色は酷く悪い。
肌色感は消えて氷のような冷たさが全身を襲っている。
「事の重大さが分からないか...そうか...まだ話してないもんな!!バグに殺されたことを!」
ライル以外のハンターは一斉につばを飲み込んだ。
逆にライルは眉を潜める。
「バグ...正確にはバグと思わしきものだ。副官房長官は頭をほぼ削り取られて殺されていた。直前には銃声が聞こえた。そんなに破壊力を持つ銃はこの世に存在しない...!組織で只今銃は調べ中だ。」
クレイドが手をあげる。
「銃があるなら指紋認証を...」
「指紋は一切検出されていない」
クレイドは黙り込んだ。
「良いかバグの可能性が出てくれば世間にバグが知れ渡る!昨日の記者会見でさえ疑い者たちはいた...」
ライルは眉を潜める。
「良いか...全員戦闘準備をしておけ...誰を呼ぶかはその場で決める...4人だ!大規模になると...意味は通じるな??」
大規模になると混乱を招く。
バグの存在はついにバレてしまう。
そういう意味だろうか。
「分かったか!!」
「はい!!」
ハンターたちは声を合わせて言った。
本部全体にその声は響き渡る。
雨の外まで...
ライルは本部内の連絡通路を通っている。
ここをまっすぐ行くと出口だ。
「銃を扱うバグか...しかも当たると体が破損する...でもバグと決まっているわけではないし...」
ブツブツと言いながらライルは足を止めた。
真横にある真っ暗な部屋が目に入る。
「...」
好奇心に負けてライルは足を踏み入れた。
足を踏み入れると少しだけほこりが舞い上がる。
部屋は真っ暗で外の光を頼りにしなくちゃいけない。
部屋の中には無数の本棚がある。
本棚はかなり詰まっており、クリアファイルの中にテープが貼ってある。
ライルは一番左のファイルをとってみた。
テープには入隊者名簿と書かれてある。
ライルはパラパラとめくり、自分とラッチが同じページにいることに気が付いた。
自分は昔の不良時代の写真が貼ってある。
よーく目を凝らすとスピードやエリックが映っていた。
「!」
ライルは少しだけ固まってしまった。
胸の中から昔の事が思い浮かんできて涙が出てきそうになる。
「何してるんだ?」
「うわぁ!」
ライルは急いで涙を拭き後ろを振り向いた。
ウェイドだ。
ライルは半分口をあけながら汗をかく。
(ウェイドさんに見られた...怒られる...)
ウェイドはライルが持っている名簿のファイルを見て言った。
「名簿ファイルが気になったのか...?」
「いえ...少々本棚が気になりまして...このファイルたちは全部資料ですか...?」
ウェイドは本棚を見つめて言う。
「...そうだ。撃破報告書まとめや過去の被害者の記録...色々あるぞ」
「...」
「見たければ見ててもいい。だが汚しすぎたりするなよ?」
ライルは咄嗟に時計を見た。
本部に来てから1時間もたっていない。
ライルはファイルを少々見ることにした。
「少しだけ見させてもらいます...」
"撃破報告"
No1.ヘイベリック・アース
No2.フルディック・メタルマン
No3...
それぞれ討伐者が書かれている。
初期の討伐者は"ガミアン・ハイブリッジ"...
ハイブリッジ?
ライルは見た瞬間ファイルを落としてしまった。
目は大きく開きゆっくりと落ちらファイルを見つめる。
「ハイブリッジ...?あ...あいつらの...家系...」
ライルは急いで落ちたファイルを棚に戻し駆け足で部屋を出た。
通路を猛スピードで駆け抜ける。
「うわぁ!」
地面に滑り、転んでしまった。
膝は赤くなり、少々血が出ている。
「いてぇ...くそぉ!」
入り口をこじ開けてやっと落ち着いた。
外は少し雨が降っているが気にしない。
「はぁ...はぁ...!」
ライルはまた足に力を入れて駆け始めた。
ネオンの光さえも感じない。
湿気と血生臭ささえも感じない。
光のように何も思わず走って行った。
「はぁ...はぁ...ここは...」
気が付くと路地裏の真ん中に立っていた。
無意識だろうか。
ここには見覚えがある。
「ここは...」
ライルの視線の先にはタバコが一本落ちている。
「ここは...!」
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「おいライル!おめえ、ブツ持ってきたんか?」
「勿論。親父からパクってきたぜ、タ・バ・コ」
エリックが言った。
「ナイスゥ!でもBPバーチャルポリスが黙ってないぜ?俺ら捕まったらどうするんだよぉ、」
「大丈夫!アプリケーション覚醒装置も持ってるから、これで暴ればいいんだよ」
スピードはテンションを高めて叫んだ。
「さいこー!」
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懐かしさが胸に来る。
ライルは目の前のタバコを拾った。
すると憎悪の記憶がよみがえってくる。
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白い煙を吐きながら、リーダーが言った。
「俺、頂上目指したい。トップへ駆け出したい。」
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ローラーの口にあるタバコ...
白い煙を吐いている...
ライルの手は震えてくる。
自分が持っているものを睨みつけて握りつぶす。
[成長と、努力を、皆様の元に]
ライルの上を飛行機が通る。
飛行機にはでかく"ハイブリッジ"の文字が。
飛行機からは無数の紙が落ちてきている。
紙には...ハイブリッジ社の宣伝が書かれていた。
「WE MAKE NEW・WORLD!!」
「あ...あぁぁぁぁぁ...!」
ライルの頭の上に落ちてきた紙は地面に滑り落ちた。
風で揺れる紙はライルに不快感を与える。
ライルは全身を震わせる。
心は燃え上がり口が大きく開いた。
「ああああああ!」
勢いよく後ろを向き腕に力を入れる。
「あああああああああ!!」
思いっきりタバコを壁にぶち当てた!
地面の紙を拾い手に力を入れる。
「ああああ!!」
そして真っ二つに引きちぎった。
ビリビリという音を何度も鳴らす。
何度も何度も。
(秘密のアプリケーションて知ってる?)
「はぁ...はぁ...!」
ライルは気が済んだのかビリビリに破いた紙を捨てる。
雨がライルを濡らしていく。
そしてもう一度家へ歩いて行く。
濡れた地面はグチョグチョと靴を汚す。
ライルは完全に気力を無くしている。
何も思えなくなっていた。
バン!
いきなり鼓膜が破れそうなくらいのデカい音が聞こえた。
ライルは瞬時に辺りを見渡す。
銃声でもない、不思議な音。
ライルは再度歩き始めた。
するとガラスの瓶が暗い道へ入っていくのを見かける。
ライルはそれを眉を潜めながら見る。
バン!
さっきよりも音はでかい。
ライルは固まってしまった。
「なんだよ...」
暗い道からは一つの光が見えた。
光は...銃口だ。
「あ...!!」
銃口からは不思議なチャージ音が聞こえる。
グルグルとSF映画のワープ音のように。
住民は続々と窓を開けてその光を見つめている。
「うるせえなぁなんだよっ!」
「パーティーならどっかでやれ!ここはマンション地帯だよ馬鹿垂れが!」
「パパぁ...怖いよぉ...」
「子供が泣いている!やめてくれ!」
様々な声が飛び交う。
だが光はどんどん大きく鳴っていく。
「うるせえよ!」
ライルはアプリをセットする。
覚醒アプリ...覚醒アプリ...
見つからない...?!
「どこだよクソが...!」
チャージ音はますます大きくなっていく。
「うるせえんだよ!言葉分かるか?!」
「えーんパパーママー!!」
「騒がしいわよ!やめてちょうだい!」
ライルは顔をしかめながら大きい声で言った。
「皆さん窓を閉めて!急いで家から出て!!逃げて!!」
住民たちは聞く耳を持たない。
そして...
「何度言ったらわかr...」
青い光が辺りを両断する。
マンションは壊れて瓦礫が雨のように降ってくる。
血も同時に降ってくる。
「バグ出現だ...例のバグだ!」
ウェイドは叫ぶ。
辺りは騒がしくなり足音がでかくなっている。
ウェイドは汗をかきながら呟いた。
「...あいつらがこの状況に最適だ...」
そう言うとカメラでハンターを選んだ。
選ばれたのは見知らぬ顔の3人組だ。
ウェイドはスイッチを押す。
「お前ら!今すぐ該当の場所に行け!バーチャリアリティーに送る!」
[分かったか?!]
「焦んなよウェイドさん」
いかにも暴力団風な顔をした男がバーチャリアリティーに向かっていった。
彼のバーチャリアリティーにマップが示される。
中心が赤く染まっている。
「...レッカー!ブェリオ!」
「依頼か?!」
「おうよ...すぐスーツを着て出るぞ!」
3人組は急いで服を脱ぎスーツを履いていく。
「怖えなぁ...そんな焦ってるなんてよっぽど強い奴じゃあないの?」
「俺らより強い奴らなんているか?いねえだろうがよ!」
「いるかもしれないじゃんかよぉヘイド兄さん...レッカー兄さん...」
ブェリオはずっと弱音を吐く。
体格がでかいレッカーはブェリオの肩を叩く。
「いいか俺らは3人で1人だ。こんなどうしようもない臆病者じゃぁ欠けてしまうじゃねえか!」
「俺らは無敵だ...良いか」
「はぁ...」
思いっきりドアをこじ開けた。
奥の方で見える惨状を眺めながらヘイドは言った。
「俺らは最強なんだよ」
サイレンが街全体に響き渡る。
雨は更に増していくのであった...




