[ヘビ]
「いくぞぉ!」
ライルは堂々と大声を上げ銃口をブランヴァンサーへ向けた。
全員は不思議そうな顔でライルを見つめ、男は無表情のまま腕をライルの方へと動かしている。
「おらぁ!」
パァン!
激しく辺りが光り、ライルも反動で吹き飛ばされそうになる。
そして銃弾は、男の方へと飛んでいく。
キン!
男の腰にあったナイフに銃弾が命中した。
嫌な鉄の音が鳴り響き、ライルは大声を上げた。
男は少し唖然として立っている。
「今だぁあ!」
ライルの声を聴き、咄嗟にガイアンは気づく。
男の腕力は無いに等しいくらい弱まっていたのだ。
するりと抜けることができる。
ガイアンは気づくとすぐさま行動に出た。
「ふん!」
腕を大きく振り、男に向かって進んでいく。
アームの形がグルグル変わり、装甲部分は回転し重々しく動く。
そして思いっきり拳を振り下ろした。
バン!
男の顔はめり込み形が変わるように吹っ飛んでいく。
リーダーとアドナスも唖然としたままガイアンの後ろに回る。
ラッチは瓦礫の中から飛び出してライルの方へと駆け寄って行った。
「どういうことだ??」
「金属の音の事だよ」
「金属?」
ライルは指を動かしながら説明する。
「あいつはあのキーンとした音に弱いんだ。リーダーが机を鳴らした時...ラッチがナイフを弾いた時...まるで人形みたいに突っ立ていて、その時は必ず反撃されているんだ。」
ラッチはゆっくりと男の方へと振り向きながら言った。
「なるほどな...それじゃあ後は楽勝だな」
他のメンバーも納得したかのような顔で前進していく。
前には倒れてよろけている男がいる。
メンバーの影は徐々に大きくなっていき、男は必死に立ち上がった。
リーダーが止まり、メンバー全員止まる。
そしてライルが口を開けて言い放った。
「反撃開始だ」
男は足を踏み、風となり消え去った。
素早くて冷たい風がメンバーの横を通り過ぎる。
メンバーは四方八方を向き、武器を構える。
「用意しておけぇ!」
アドナスの元にものすごい風が来た。
振り向くと男が今にも腕を出して攻撃しようとしている。
「うわ!」
咄嗟に下にある机の破片に爪を当てた。
そして思いっきりひっかいた!
嫌なキーーンという音が男の体内にしみこむように響き渡る。
「どうだ!」
男は頭を抱え、その場で苦しむように動いていた。
アドナスはその隙を見てソードを出そうとする。
「おら!」
赤色のソードが光り輝き振り下ろす。
だが、男は間一髪で風となり移動した。
「あ...おい!」
またメンバーらは周囲を見渡す。
そして今度はラッチの元に風が飛んでくる。
ラッチはガンを持っていたから瞬時に鉄の物...金属の物を見渡す。
男の腰にはすでにナイフは消えていた。
だが見回しても机しか無い。
机は銃弾を貫くから駄目だ。
「あぶねえラッチ!」
再度机をひっかくが男は2秒程停止したらまたすぐ風になった。
「ちくしょうあいつほぼ無効かじゃねえのか?!」
ラッチが眉をひそめて絶望的な顔をしていった。
リーダーは歯を鳴らしながら考える。
(もっと音を大きくしないとかじゃないと無理なのか...?!いや...)
すべて鳴らしている音は短い。
机をひっかいたりナイフを弾いたりするのは短いだろう...
(長くすりゃあいいんだな...!!)
そう思ったとたんリーダーの元に風が舞い降りる。
リーダーは咄嗟に両腕からソードを出した。
「これでどうだよバケモノが!」
そういうと両方のソードをくっつかせ、凄まじい鉄の音を鳴らせた。
キーーーーーーーン!と長く鉄の音が鳴り響き、赤い光がクロスしている。
赤い光はいつか神々しい光を放っていた。
男は苦しそうに藻搔き、頭を抱えている。
そして男の影が少しずつ薄くなって行っている。
思わず男は声を上げた。
「gbtw/:r]jt[0u53]!!!!!!!!!」
機械音のような人間の声のような、ミックスした声は不快感と気持ち悪さを植え付けている。
そろそろリーダーが辛そうだ。
火花がとびから顔が焼けるほど暑い。
男は必死にこらえて苦しみながらも動き回っている。
「う...うぉおおおおおお!」
「w8y9pp0i4j5[gt7p54w8yh3luqigh3fqlby43q8y43;lq43iuhgp;!!!!」
バタン!
男はその場で倒れこみ、動かなくなった。
静かで、脈も動いている気配はない。
「はぁ!はぁ!」
「リーダー!大丈夫ですか?!」
ライルは心配そうにリーダーの元による。
リーダーは大丈夫そうに立ち上がり、他のメンバーは男を見つめている。
辺りは静かになり、皆は黙って立っていた。
「終わったのか...?」
ラッチは口に出す。
ガイアンが男の方へとより、脈を確かめる。
男はじっと動かず、静かに倒れているだけだ。
ガイアンが眉をひそめながら耳をかすめる。
確かに脈を感じることはなかった。血の気が引いた顔で確定に変わった。
真っ青な肌。真っ青な顔。
それは言葉で言わなくても"死"を表現していた。
暗くて静かになったビル内には、メンバーしか生きている者はいなかった。
「...終わったな...」
アドナスは不審そうに言い放つ。
「中の寄生虫は??」
リーダーが返す。
「死んでるだろう。皮がこんなんじゃ中身も死んでるさ」
ガイアンはそっと顔を離し、何とも言えない表情で男を見る。
「...」
「撃破報告をして戻るぞ。ガイアン」
リーダーは後ろを向きながらガイアンに言う。
ガイアンはゆっくりと後ろを向く。
「こいつをちゃんと弔いたいんだ」
「なぜ」
「元々こいつは生きていたのに、寄生されて挙句の果てに職場仲間を自分の手で殺されたんだろ?」
皆はガイアンが何を言いたいのか分かった。
同感だったし、哀れだとも思った。
「可哀想だぜ。このままは」
リーダーは少しの間無言になり、ガイアンの元へ歩き出し始め、優しそうな表情でガイアンの方を見つめている。
そして他のメンバーも同時に歩いてきている。
「それもそうだな」
メンバーらはじっと男を見つめ始めた。
じっと。
暗い闇の中で。
静かなビルの中で。
そして手を合わせ...ようとした。
バタン!!
皆は一斉に男から退けた。
男は急に足を痙攣させたかのように動かしたのだ。
「ぅぅあおdjdぅっぅ」
今度は頭を揺らし、全身が震え始める。
まるで陸に挙げられた魚のように。
途端に叫び始めた。
それは男の地声で。
「うううううううう!」
足をドタバタとさせて頭を掴む。
同時に喉も掴んでいる。
腹部分が急激に膨らみ始め、徐々に上へと膨らみがゆっくり進んでいく。
メンバーは恐怖でじっと見つめているしかできない。
「あああああああああああああ!ぎゃあああああああああああ!うぉおえあああ!」
男は猛烈な痛みを感じ叫び続ける。
静かなビル内にものすごいドタバタと音が鳴り響く。
膨らみは喉辺りまで来ていた。
「ぎあああああ!」
ブチ!ブチ!
喉の皮膚に所々穴が開き始めた。
穴からは少量の血と悲鳴が鳴る。
男はずっとジタバタと猛烈に足と腕と頭...全身を動かす。
「ああああああ!ううううう!ぎゃああああ!はぁ!ぎゃあ!」
徐々に声が小さくなると同時に膨らみも喉を通っていく。
声にはフィルターがかかるように低音が増していく。
「あああうううう...!!ぎゃあううう!」
膨らみは顎まで達した。
同時に男は口から大量の血を吹き出した。
地面は血の洪水となり、中から何かでかいものが見える。
「うぉえええええええおおおおお!」
頭が裂けそうになると同時に口から巨大な下のようなものが出てきた。
「おおおおおおお!!!!!...」
グシャ!
体から出てきた物はとても長い。
まるでヘビのようだ。
顔は目が一つ。
「...おでましかよ...!」
ガイアンは睨みながら言い放った。
ヘビの喉からは機械音が鳴り続けていた。
そしてゆっくりとメンバーらの方へと顔を向けた...
「やっと...」
ブランヴァンサーだ。
「ご本人登場だ...」
リーダーは苦笑いをしながら言った
「qqqqqqqqqqq...」




