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98話 シーファン7


彼が一言呟いた。




瞬間。




王都や【魚人族】の島。そして『シーファン』国全ての空気が変わった。




岬の先に立っている貴方の正面に、一人の女性が現れる。



3mはある。



青色の髪をした、とても美しい神秘的な女性。




絶対的。




絶対的な存在感がそこにはあった。




・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



・・・・・・・えっ?



はっ?



ん?



はぇ?



ほっ?




アルファン王やレミリア。


ここにいる全ての者が、時が止まったかのように固まって自然と変な声を出している。






「ソラぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!会いたかったわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」






目の前にいる青い髪の美しい女性は、叫びながら僕をつかまえて、ギュッと抱きしめる。



【ディーレ】さん?



ご褒美ですが、顔が胸の谷間にうまって息が出来ません。



助けてください。



「プハァ!」


僕は何とか引きはがすと、今度は嬉しそうに屈んで、僕の頬に自分の頬をスリスリしてくる。



「ハハッ。やっぱり【ディーレ】いたんだ。」


「いるわよ!いるいる!!!ソラから離れないって決めてるのぉ!・・・・・・・あぁ!名前を呼んでくれて嬉しいわ!!!こうやってソラを直接感じる事が出来る!!!」



ずっとスリスリしている。



ちょっと【ディーレ】さん?



そんなにスリスリすると、僕の顔がすりきれちゃいますからやめて下さい。



「まったく。・・・・・・・ほとんど毎日夜にお話ししているでしょ。」


「それだとだめなの!ソラを感じられないし、邪魔者もいっぱいいるし、霊体でしか会えないから!!!」


「さいですか。」



僕は屈んでアピールしている【ディーレ】の頭を撫でてあげる。


めちゃくちゃ嬉しそうだ。



「ん?」


僕は後ろを振り返る。



そこには、アルファン王とレミリアを先頭に、『シーファン』国の大臣やアーミット将軍達。他の要人達や警備兵達。


親友達を除く、会食に参加していた数百人全ての人達がひれ伏していた。



「レミリア?・・・・・・・王様?・・・・・・・どったの?」



アルファン王はひれ伏しながら叫ぶ。


「この御方は!!!・・・・・・・我が『シーファン』・・・・・・・いや!【海人】と【魚人族】の神。・・・・・・・【ディーレ】。・・・・・・・【ディーレ】様、私はこの国を治めておりますアルファンと申します。」


「私は【魚人族】の女王。レミリアと申します。」




僕に頭を撫でられて嬉しそうにしていた【ディーレ】は、邪魔をされてムッとした様な顔で言う。


「・・・・・・・・何だお前達は。・・・・・・・私とソラの時間を邪魔するな。・・・・・・・消えろ。」


「こら。」


「いたっ。」



僕は振り向いて【ディーレ】の頭にゲンコツする。



「ダメだろ?そう言う事言っちゃ。」


「ごっ!ごめんなさぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁい!!!」



まったく。



【グリーン】もそうだけど、僕以外の人達にはホント冷たい。



レミリアとアルファン王が顔を上げて、その光景を唖然としながら見ている。


すると、ソイレンが僕の方へと近づき、片膝をつく。



「【ディーレ】様。お久しぶりでございます。」



十分撫でてあげた【ディーレ】は、気分を良くして立ち上がる。



「何だ・・・・・・・・お前(人形)か。そうか。ここにいたのだったな。」




僕は海を見る。


もう巨大津波は間近まで迫ってきていた。



僕は津波を指さして【ディーレ】に言う。



「ねぇ、【ディーレ】。あの津波をどうにか出来る?」


「ん~?ソラ何~?♡・・・・・・・あら。あの子達。無理やりやらされているのね。海は私の寝床・・・・・・・いや、何でもないわ。・・・・・・・あれをどうにかしたら、ソラは嬉しいの?」



「あぁ!もちろん嬉しいさ!あの津波をどうにかしてくれたら、後でいっぱい頭を撫でてあげるよ!」


「えっ?!ほっ、本当?!約束!約束よぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」



僕は笑顔で頷く。



すると【ディーレ】は、僕を後ろから優しく抱き上げると、そのまま宙へと浮く。


そして右手を横に広げた。



もう目の前まで迫って来ている巨大津波に向かって【ディーレ】は一言呟いた。




「止まりなさい。」




言った瞬間。




青い光が海へと広がる。




・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・




皆静まり返っていた。



声を発する事が出来ない。



信じられない光景が、目の前に広がっていたからだ。



全員が見上げる。




止まっていた。




海が。




津波が。




時間が停止した様に。




宙に浮いている【ディーレ】は呟く。


「凍らせる事も出来るんだけど、凍らせちゃうと、海の中にいる者達が死んじゃうしね・・・・・・・さぁ、お前達。お帰り。」



広げた右手を前に出す。



すると、止まっていた巨大津波が来た方へと戻って行く。



徐々に低くなりながら。




ゆっくりと。




ゆっくりと。




自然法則を無視して。





【ディーレ】は抱きしめている僕の方を向くと、嬉しそうに言う。



「ソラ。これで終わったわよ♪」


「本当?ありがとう!【ディーレ】!」



「これで今度いっぱいなでなでしてもらえる~♪・・・・・・・フフフフフ・・・・・・・あっ!【エリア】!・・・・・・・ちょっ!ちょっと!何で邪魔するのよ!こっ!こら!引っ張んないで!」


気づくと、【ディーレ】の上空にいつもの半透明の女の子。


その女の子は優しく僕を掴んで岬の上に降ろすと、【ディーレ】をヘッドロックする。すると【ディーレ】も同じ様に半透明の女の子に戻り、そのまま消えていった。




シーーーーーーーーーーーーーーーーーーン。




暫くの静寂。



皆、茫然としてこっちを見ているので、僕は音声を切っていたカメラをオンにする。


「皆さん!すんまそん!音声を切ったけど何となく画像で分かりましたよね?そうです!そうなんです!またあの方達の一人です!今度は何と巨大津波を静めてくれました!!!」




<コメント>


■フォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォ!!!


■ヒャァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!


■すげぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!


■次元が違いすぎる!!!


■何じゃありゃ!!!


■津波が止まったぞ!!!


■意味が分からん!!!


■もう完全に神の所業じゃん!!!


■また『司る者』来た!!!


■すんまそんってwww


■くだらないギャグは置いといて・・・・・・・ソラ。お前何なん?


■ソラの言葉。マジでグッと来たわ。


■王様に啖呵きったり、レミリアちゃん励ましたり。


■ソラ!お前最高!!!


■ソラ!お前マジでカッコ良すぎ!!!


■ソラさん!私はエイセイ一筋なの!!!何度も言うけど惑わせないで!!!


■ソラ先輩!!!好きでごわすぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!!!




めちゃめちゃ盛り上がっている。


あの高層ビルよりも高い津波が止まったんだ。


そりゃビックリするわ。


僕もビックリしたしね。



「たす・・・・・・・助かったのか?」



ひれ伏していたアルファン王は、ゆっくりと立ち上がる。


それに合わせて、全員が信じられない顔をしながら立ち上がる。



アルファン王は叫ぶ。


「【ディーレ】様が降臨し、この国は救われたぞぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!」



「「「「「「「 オォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォ!!!!! 」」」」」」」



全員が歓喜の雄叫びを上げる。



「ソラ様!!!」



人間になっているレミリアが僕に抱きつく。



おっふ。




・・・・・・・先程までの、絶望の、悲しみの涙ではない。


喜びの涙を流しながら、私はお仲間様の女性達に剥がされるまで、ずっと貴方の胸で泣いていた。






アルファン王は頭を下げる。


その後ろで合わせる様に、大臣や幹部達が頭を下げている。



「レミリア女王。そして【魚人族】よ。すまなかった。・・・・・・・そなた達を滅ぼそうとしたのだ。この裏切りは、生半可な事では償う事は出来ないだろう。・・・・・・・今後、『シーファン』国は、貴方達の要望は全て受け入れる。それで何とか許してはくれないだろうか。」



レミリアは、後ろにいるアーミットとローレットを手で制しながら言う。


「アルファン王。・・・・・・・貴方は何故、私達をここへ招待したのですか?・・・・・・・もし、【魚人族】全てを滅ぼすなら、呼ばずにいた方が良かったのでは?」


「・・・・・・・出来なかったのだ。私は貴方と出会ってしまった。そして知ってしまった。貴方の人となりを。だからせめて貴方だけでもと・・・・・・・・。」




レミリアは一度黙ると、チラリと僕を見る。




そして続ける。




「忘れました。」


「何?」


「忘れたと言っています。津波が来たのも。裏切られたのも。・・・・・・・私達ここにいる者達が忘れれば、民も今まで通りです。それでいいのではないですか?」



笑顔でレミリアは手を差し出す。



「ううっ・・・・・・・レミリア女王・・・・・・・・ありがとう。・・・・・・・・本当にありがとう。」



アルファン王は涙を流しながらレミリアと握手した。






☆☆☆






「行かれるのですか?」


「あぁ!」



城の前。



レミリアを先頭に、アーミット将軍やローレット隊長。他の兵士や文官達、城にいる全ての人達が揃っていた。



あの巨大津波から既に二週間が経った。



もうね。



凄かったのよ。



一週間は『シーファン』国の王都で、僕達【星空】中心にお祭り騒ぎ。


もう一週間は、【魚人族】の島でまたお祭り騒ぎ。


この二週間、ずっと至れり尽くせりで、人間ダメになっちゃうから、そろそろ次の探索に行こうと思っている。



「兵達を鍛えてくれて助かった。今度来た時もまた頼む。」


「楽しかったぞ!また戦おうぜ!」



アーミット将軍とローレット隊長が、親友達と談笑している。



レミリアが僕に向かって呟く。


「・・・・・・・寂しくなりますね。」



僕はレミリアの頭を撫でると言う。


「ハハッ!僕達は友達だ。絶対また来るよ!」



「本当ですか?約束ですよ?」


「あぁ!」



「あっ。ソラ様。靴紐が。」


「ん?」



チュッ。



僕が下を向くと、レミリアが僕の頬にキスをする。



「ずっと待ってます。・・・・・・・気を付けて行って来てくださいね。」




笑顔で言うレミリアの青い頬が、少しだけ赤く見える。


親友の女性陣からは何故が殺気がする。




「皆さん!見ましたか?・・・・・・・ごちそうさまです!」




<コメント>


■マジか!!!


■レミリアちゃん!!!


■チューしたぞ!!!ほっぺにチューしたぞ!!!


■羨ましい!!!


■レミリアちゃん!僕もお願いします!!!


■俺もお願いします!!!


■ソラ!お前ぇ!!!


■ソラ!てめぇ!!!


■ソラ!ゆるせん!!!


■ソラ!お前だけおいしい思いしやがって!!!


■くぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!俺達と同じ一般人のくせにぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!


■この普通顔がぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!


■許さないでごわすぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!!!




フフフ。羨ましいだろう。


これも仲良くなった特権さ!


画面で悔しがってなさい!


ハ~ハッハッハッハッ!



「さて、行くか!それじゃ、よろしくソイレン!」


「あぁ。主から言われた。・・・・・・・ソラの言葉は全て【ディーレ】様のお言葉。これからもずっとソラに従おう。」



そう言うと、女性の姿から龍へと変わる。



何か後で【ディーレ】に言われたらしい。



従わなくていいからね?



でも、送ってくれるのは助かる。




僕達はソイレンの頭に乗ると、レミリア達に向かって言う。



「「「「「「 んじゃ!まったね~♪♪♪ 」」」」」」




アーミット将軍が、レミリアの前に出ると大きく叫んだ。



「皆の者!!!【解放者】・・・・・・・【英雄】ソラ様・・・・・・・そして【星空】に・・・・・・・礼!!!!!」




ここにいる、レミリア含む【魚人族】全てが片膝を付いた。






数日後。



【魚人族】の島は、『シーファン』の多大なる援助もあり、大きく発展を遂げる。



そしてレミリア女王が国を宣言する。



海に生きる民。



【魚人】。



その【魚人】を解放し、更には、滅亡の危機を救ってくれた者の名を入れた国の名。






『シースカイ(海空)』国と。






S級クエスト 『海神』。



達成したのは、『A』ランク冒険者パーティ【星空】。



【司る者】の使徒『海神』ソイレンに到達し、『シーファン』国と『シースカイ』国の守護を約束させた。



これにより、世界中で更にその名前が有名となる。



そしてそのリーダー。



ソラ。



『シーファン』と『シースカイ』が信仰する、司る者【ディーレ】を召喚した者。



そして国を沈める程の大津波を静めた者。



彼の名前は、世界中に広まり、駆け巡る。




そして『シーファン』国と『シースカイ』国では、海人、魚人、全ての民が彼を敬い・・・・・・・そして言う。






英雄。






ソラと。





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