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84話 アルフリーン5


『何でソラがここにいるんだ!』


「それはこっちのセリフだよ!」



僕とハクが言い合っていると、王城を守っている大勢のエルフの衛兵や、門に並んでいた多くの人達が、何事かとこちらへやってくる。



「・・・・・・・えっ?・・・・・・・テルミ様?」


「ちょっ!ちょっと待て!テルミ様だと?」


「嘘だろ・・・・・・・本物だ・・・・・・・。」


「・・・・・・・テルミ様。」


「テルミ様。」



皆、信じられない様な顔をしてテルミを見ている。


テルミは、集まって来た人達に笑顔で答えた。



「皆様。只今帰りました。」


「「「「「「「 テルミ様!!!!! 」」」」」」」



王城の周りにいた全ての衛兵やその場にいた一般の人達が一気に押し寄せる。


テルミを見て、大声をはりあげる者。泣き崩れる者。歓喜する者。様々だ。


あっという間にテルミの周りには多くの人だかりが出来た。



それに弾かれる様に僕はその輪から距離を置く。


「・・・・・・・すげぇな。まるで超有名人がいきなり街中に現れて、周りからサインをねだられているみたいだ。」



僕がその様子を見て感想を言っていると、ハクが答える。



『その表現は分からないが、当たり前だ。何故なら、三年間囚われの身でいなかった、この国の王女が突然現れたのだからな。』


「ん?・・・・・・・おっ!王女ぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!???」



思わず叫ぶ僕。



「なんだとぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!?」


「まぁ。そうだよね。」


「流石に気づくだろう。」


「・・・・・・・うん。」


「はぁ。・・・・・・・ソラとクウガは鈍感過ぎよ。」



えっ?



何、みんな気づいてたの?テルミが『アルフリーン』国の王女様だって!



僕は信じられない様な顔をして、同じ様な顔をしているクウガと見つめ合う。


「・・・・・・・クウガ。」


「・・・・・・・ソラ。」




「「 同志よ!! 」」


僕達は抱き合った。




王城の前は凄い事になっていた。



『テルミ王女の帰還』。



一気に話が駆け巡り、どんどんと人が集まってくる。



僕達は完全に蚊帳の外状態なので、どうしようか迷っているとハクが言う。


『王女様が突然現れたのだ。この国の民は皆、王女を・・・・・・・テルミ様を愛している。テルミ様は、暫くは民の対応で動く事も無理だろう。・・・・・・・ソラと久しぶりに会えたのだ。私がいれば、この王城に入れる。積もる話もあるからな。・・・・・・・この城を案内しながら話をしようではないか。』


「えっ。いいの?サンキュー!」



僕達はどんどんと膨れ上がる人だかりを抜けて、王城の門をハクとくぐる。



優しい風が吹き、目の前の花が揺れた。



「・・・・・・・すっご。」



思わず声が漏れる。



城門の中へと入った先には、広がる様に咲き乱れる真っ白い花。


城に続く一本のレンガ造りの道以外は、全てが真っ白い花に埋め尽くされていた。



「すごいな!」


「あの時の花だね。」


「圧巻だな。」


「・・・・・・綺麗。」


「まるで白い海ね。」



親友達もその光景に圧倒されている。



「ハク。この白い花は、エイセイと一緒に見た花と同じだよね。」



【下層】でハクの居た所だけに咲いていた花。



『・・・・・・・あぁ。この花はテルミ様がとても好きでな。テルミ様が小さい頃からずっと植えてて、気づいたらこの城の庭園は全てこの花になってしまったのさ。』


「そっか。」



僕はカメラを美しい城にアップしてから、ゆっくりと引いて、広がる真っ白い花を映す。




<コメント>


■はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!


■すっげぇな!!!


■真っ白!ちょ~真っ白!!!


■とっても綺麗ね!


■真っ白の花の海に建っている城みたい!素敵!!!


■エルフの国は、すげぇ綺麗な場所が多いな!ここも行ってみたいし、ソラ達が行ったとこ全部行きたい!!!


■これ。観光で儲かるんじゃね?


■俺達の世界と行き来出来る様になったら、観光客が凄い事になりそうだな。俺も行きたいもんw


■あ~マジでソラ達が羨ましいわ。


■エイセイと二人きりで歩きたいわ!!!


■スクショ撮っとこ!


■私も!


■俺も!




王都『アルフ』も水の都『リレイン』もそうだけど、この『アルフリーン』国は全ての景色が抜群に綺麗だ。


視聴者の気持ちがとてもよくわかる。



「王!王妃!待ってください!」



僕達はハクと話ながら一緒に城へと歩いていると、王城から大勢の人達がこちらへと走ってくる。


先頭にいるのは、豪華な服を着た美男美女。



男性が僕達とすれ違いながら言う。


「ハクよ!そこのヒューマン達も含めて後で説明を!」



そう言いながら真っすぐに城門へと駆ける。



鎧を着た兵達が二人を止めると、人だかりの方へ向かって叫ぶ。


「王の御前だ!皆の者!下がれ!!!」



城門には数千人に膨れ上がっている民達が、その声で道を空ける。


その中央にはテルミが。


ゆっくりと近づき二人が言う。



「テルミ・・・・・・・テルミなのか?」


「本当にテルミなの?」



テルミが笑顔で答える。



「はいっ!お父様!お母様!只今帰りました!」


「「 テルミっっっっっっっっ!! 」」



二人はテルミに抱きつきながら涙を流している。


僕はその様子を、ズームしながらカメラでアップする。




<コメント>


■良かったな~。


■良かった。良かった。


■まさかテルミちゃんが王女だったなんてな。


■私は途中で、もしかしてって思ってました!


■僕も何となく気づいてました!


■マジかよ。俺全然気づかなかったわw


■俺も。・・・・・・・もしかしてソラと同類?


■やべぇ。ソラの事バカに出来ねぇw


■幼女で王女。最強!!!


■おじちゃん、後で何でも買ってあげるからね。一緒に住もうね。




テルミ人気は凄いな。


エルフで幼女はやっぱり最強らしい。


犯罪臭のするコメントがたまにあるのは気になるけどね。



「ソラ様!」



ハクと一緒にそのまま城へと向かおうとすると、呼び止められる。



テルミだ。



テルミは走って僕達の前まで来ると謝る。


「ソラ様。クウガ様。エイセイ様。アカリ様。ココセ様。スピカ様。・・・・・・・黙っててごめんなさい。私の名前は、アルフリーン=テルミ。この国の王女です。あまりにも皆様が優しくしてくれて、中々言い出せなくて・・・・・・・。」



今にも泣きだしそうな顔で僕達に言う。



僕は屈んでテルミの頭を撫でる。


「何言ってんの?テルミはテルミじゃん。王女だろうと何だろうと僕達には関係ないさ!言いたい事は言う。言いたくない事は言わない。それでいいんだよ。」



皆も笑顔で頷いている。



「・・・・・・・ソラ様!皆様!ありがとうございます!」


テルミが僕に抱きつく。



「ハハハ。よしよし。とりあえず、ハクに城の案内をしてもらうからさ、テルミは久しぶりなんだから、ゆっくりお父さんとお母さんと話をしてきな。・・・・・・・ね?」


「はいっ!・・・・・・・ハク!城の案内が終わったら絶対に謁見の間に連れてきてね!・・・・・・・それではまた後で!失礼します!」



そう言うと、王と王妃の元へと走って行った。






☆☆☆






数時間後。



謁見の大広間。



そこには、『アルフリーン』国の王、王妃、テルミが玉座に座っていて、その周りを重鎮達が立ち並んでいる。


僕達はその前に、片膝を付いて頭を垂れた。


すると、王自らが普通にする様言われたので、僕達は立ち上がる。



「ソラ殿。私はテルミの父であり、この国『アルフリーン』の王。アルフリーン=レイン。まずはとにかくお礼を言わせてくれ。・・・・・・・我が娘を救ってくれてありがとう。」



そう言うと、レイン王は頭を下げる。



それにならう様に、この謁見の間にいる全ての人達が、僕に向かって頭を下げた。



「いやいやいやいや。王様も皆様も頭を上げてください。今回テルミを助けたのは、たまたまなんですから。」


「フフッ。」



テルミが笑う。



「たまたま・・・・・・・か。娘の言う通りの青年の様だ。しかも、君達はヒューマンでいて【異界】の者と聞いた。衰弱していた娘を【異界】まで連れて行って看病してくれたそうだな。」


「レイン。私にもお礼を言わせて。・・・・・・・ソラ様。テルミを助けてくれてありがとう。」



話を遮る様に、隣にいる王妃が僕に言う。



「フフフッ。娘は面食いだから、どんな御仁かと思っていたのですけど・・・・・・・ソラ様。この子ずっとソラ様の話ばかりするのですよ♪」


「お母様!」



テルミが顔を赤くして抗議している。



うん。やっぱり可愛いな。



でも、面食いで・・・・・・・・あれ?さり気なくちょっとディスられた?



すると手を上げてレイン王が制すると、並んでいる重鎮達を見る。



その内の一人が前に出ると、深々と頭を下げた後に言う。


「私はこの国の最高責任者の一人。『三大老』のサミュエルと申します。以後、お見知りおきを。・・・・・・・それでは褒賞に移らさせていただきます。今回、王女・・・・・我が国の未来の女王を救ってくれた【星空】の功績はあまりにも大きい。よって褒賞として、この国を無条件で入国でき、王城を自由に行き来できる権利を。・・・・・・・そして、20億ギルを授ける。」


「ほえっ?」



思わず変な声をだす。



「ちょっ、ちょっと待ってください!流石にその報酬は貰いすぎです!僕達は既に王女救出の『フリークエスト』を受けています。このまま冒険者ギルドに行けば達成として10億ギルが貰えてしまいます!」



合わせて30億ギルだ。



テルミを見ると、いたずらっ子の様な顔をして僕を見ている。



テルミ。



それで『フリークエスト』を受けろと言ったのか。



これじゃ詐欺もいいところだ。



王が笑顔で口を挟む。


「『フリークエスト』は、我々が冒険者ギルドに依頼した物。もちろんこの報酬も冒険者ギルド経由で払おう。ソラ殿。それとも何か?我が国の王女は、30億ギルの価値もないと?」


「いやいやいや。そう言う事を言っているわけじゃないんだけど・・・・・・・はぁ。分かりました。ありがたく頂戴いたします。」


「そうしてくれ。」



そう言うと、レイン王は立ち上がり大きな声をあげる。



「さぁ!今日は我が国にとって特別な日となった!『アルフリーン』国全ての民にテルミが戻って来た事、そして【異界】の冒険者【星空】が助けた事を伝えるのだ!ソラ殿。今日は祝賀パーティーだ。ゆっくりしていってくれ。」






『王女が帰って来た。』



その一報が『アルフリーン』中に一斉に広まった。



それを聞きた国民は歓喜し、仕事も何もかも放棄して、その日から三日間宴が続いた。



その時、全てのエルフが話題に出し、心から感謝する。



【異界】からやって来た冒険者。



【星空】を。






☆☆☆






「いや~♪もう飲めねぇし、食えねぇ。」



その日の夜。


城の中でのパーティーに参加した僕達は、様々な料理とお酒を堪能していた。



「ソラ様!この料理も美味しいですよ!あっ、あっちの料理も結構いけます!」



僕の隣で可愛らしいドレスを着たテルミが、嬉しそうに僕にこの国の料理をどんどん持ってくる。


ずっと飲み食いしているので、もうお腹がパンパンだ。



この国の料理は、水の都『リレイン』の時もそうだったけど、日本料理に似ていてとても美味しい。ただ、僕達の世界で食べたケーキやスイーツなどの甘い食べ物はあまりないらしく、テルミがあの甘い食べ物をまたいつか食べたいと言っていたので、後で買ってきてあげようと思っている。



お腹をさすりながら一休みしていると、レイン王が僕の方へとやってくる。



「ソラ殿。楽しんでいるかな?」


「はい。ここの料理とお酒はとても美味しくて、食べ過ぎてお腹がパンパンです。」


「ハハハ。そうかそうか。・・・・・・・ソラ殿。娘から色々と聞いた。・・・・・・・奴隷としてどこかの貴族に売られる所を助けてくれて、【異界】に連れて行ってもらって、苦しかった思い出を忘れる位に、凝縮した楽しい日々をおくらせてもらい、更には解除不可能と言われている【隷属の首輪】をも外してくれた。・・・・・・・ソラ殿。一人の父親としてもう一度お礼を言わせて欲しい。・・・・・・・最愛の娘を救ってくれて本当にありがとう。」


「それじゃ、王じゃなくてテルミの父親として返事をしますね。・・・・・・・どういたしまして!」



笑顔で僕はレイン王と握手をする。



その様子を見ていたテルミが近づいてくると、レイン王が言う。


「そういえばテルミ。何だその恰好は。その恰好は他国用・・・・・・・ぐほっ!」



テルミが言いかけたレイン王の脇腹にボディブローをしている。



テルミちゃん。



お父さんを殴っちゃだめですよ。



何故か親子喧嘩が始まった二人を置いて、僕は外が見える広いベランダへと出る。



夜空を見ると満天の星空が輝いていた。


周りを見て何かに気づくと、僕は視聴者に断りを入れてから、カメラをスタンバイモードに切り替える。



「・・・・・おう!・・・・・・・ああ!こっちは大丈夫だ!・・・・・・・うん?『空ちゃんねる』を観てるから大丈夫だって?・・・・・・・そうか!」



クウガが携帯で電話をしていた。


親友達も今回は長い遠征なので、携帯を使ってたまに親に連絡をしている。もちろん僕もそうだ。


しかし、あれは十中八九、恋人のスズさんだろう。



クウガが高校を卒業して、何と僕にスズさんと付き合える様に力を貸して欲しいと頼んで来たのだ。・・・・・・・僕は恋愛初心者である。もちろん断ろうとしたのだが、【深層】でゲットした『何でも頼める券』をここで使いやがったのだ。


僕は今までの恋愛ゲームやアニメを駆使して、色々とアドバイスをしたのを思い出す。




・・・・・・・まさか上手くいくとは。・・・・・・・僕、ビックリである。




「おっ!ここにいたんだ。」


「ソラ。このお酒美味しいぞ。」


「あ~♪ ソラ休んでる~♪ 私も休も~♪」


「ちゃんと食べてるの?肉ばっかり食べないで野菜も食べるのよ。」




親友達がやって来たので、戻りながら、まだ楽しそうに話をしているクウガを見る。




「・・・・・・・ケッ。このリア充が!爆発しろや!!!」




思わず心の声が出ていた。




ちくしょぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!




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