83話 アルフリーン4
「どうですか!これが『アルフリーン』の中心。王都『アルフ』です!」
テルミが自信満々に言う。
僕達は、『アルフリーン』第二の都市『リレイン』で、温泉や観光を兼ねて二泊した後、キングバードに乗って王都へと向かった。
王都は単独の結界が張られている為、上空からは入れないので、手前の町でキングバードを降りると、そのまま王都行きの馬車で約30分かけて王都へ。馬車に降りて入口にある大きな門の前で、テルミが僕達に説明していた。
見ると、模様の入った芸術的な高い木造りの壁が王都を守っている。
「凄いなぁ。」
思わず僕は呟く。
「ソラ様。この高い壁は全て木造りなんです。数千人の彫刻家が長い年月をかけて模様を施したんですよ!」
エイセイが、壁を見上げながらテルミに質問する。
「芸術性が高くて、とても凄い木の壁だけど、これだと簡単に破壊されたり、燃やされたりしないのかい?」
「エイセイ様。大丈夫です!ここの王都を守る壁は、全て魔力で覆われていて、鉄よりも硬くなっています。そして、更にこの国を守っているのと同じ結界が、この王都『アルフ』には張られています!・・・・・・・これも、この王都内にある【神樹】の恩恵なんですよ!」
テルミは嬉しそうに僕達に色々と説明する。
良かった。
自分の住んでいる所に帰れて、とても嬉しそうだ。
僕達は、そのまま王都へ入る為に、大きな門をくぐろうとするとエルフの衛兵に止められる。
「君達。・・・・・・・君達はヒューマンだな。ここは王都『アルフ』だ。エルフ以外の者は検査が必要でな。王都に来た目的と何か証明書はあるか?」
僕は冒険者証を出すと衛兵に渡して言う。
「僕達は冒険者です。王都にある冒険者ギルドに用があって来ました。」
「ふむ。・・・・・・・確かに冒険者の様だな。しかし・・・・・・・この小さな子はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ?????」
衛兵は、僕の後ろにいる深くフードを被ってるテルミの前まで来ると、屈んで下から顔を覗き込んで、突然素っ頓狂な声を出す。
「いいですか?・・・・・・・・。」
屈んだ衛兵に、テルミは何か耳打ちをしている。
「はっ、はっ、はいっっっっっっっ!!!りょ、了解致しました!!!でも・・・・・・・でもっっっっっっっっ!!!よっ、よくぞっっっっっっっっっ!!!よくぞ!!!ご無事で!!!」
その衛兵は、涙を流しながら敬礼している。
「あの~。僕達は入っていいんですか?」
「あっ、ああ!問題ない!問題ないぞ!!!・・・・・・・君達を心から!・・・・・・・心から!歓迎する!!!」
エルフ式の敬礼をした衛兵は、僕達を涙を流しながら最後まで見送っていた。
「うぉ~!こりゃすげぇ~!」
王都へと入った僕は、カメラを右から左へと景色を撮影しながら叫ぶ。
街道を歩く人達。
エルフ。エルフ。エルフ。エルフ。・・・・・・・たまに別の種族。
とにかく人の多さが凄かった。
そして、レンガ造りの道路以外の建物は、全て木造りのオシャレな家や店が建ち並んでいる。
ずっと先には大きな城の様な建物と、緑色に光り輝く【神樹】が見える。
<コメント>
■すっご!!!
■すご!すっっご!!!
■こんな街初めて見た!
■道路以外、全部木造りみたい!何か凄くオシャレね!
■何か街全体がクオリティ高ぇw
■エルフの住んでいる所って、木をあまり伐採しないで、自然と生活しているイメージなんだが、全然違うなw オシャレな街じゃんw
■そういやテルミちゃん、普通に肉食ってたな。エルフって、菜食主義じゃないんだね。
■しかも、街のつくりがとても綺麗。
■すげぇエルフがいっぱいいる!!!
■これは感動だわw
■あの高い城みたいな建物が王城かな?
■ソラ!手を出すなよw
テルミは僕のカメラを覗き込むと、笑顔で答える。
「フフッ♪ 驚いていますね!皆様が住んでいる鉄と機械を中心とした世界とは違って、確かに私達エルフは自然を大事にする種族です。でも、ここの国は【神樹】の恩恵で、木を伐採してもすぐに生えてきますので、感謝の祈りを捧げながら様々な生活に使っています。あの遠くに見えるのが、この国の王と王妃が住んでいる王城ですね。あと、私達も普通に皆さまと同じ様に、肉も食べますし、魚も食べますよ!」
<コメント>
■テルミちゃん、説明ありがと!!!
■テルミちゃん、可愛い!!!
■テルミちゃん、その笑顔サイコ~!!!
■テルミちゃん、大きくなったら僕と一緒になろう!!!
■テルミちゃん、年齢差なんて関係ないさ!!!
■テルミちゃん、大好き!!!
■テルミちゃん、おじちゃんいつか会いにいくね!!!
コメントが滝の様に流れている。
僕はカメラを見ているテルミに言う。
「さて、すぐにテルミの家に行きたい所だけど、冒険者ギルドが近くにあるんなら先に寄って行っていい?」
「はいっ!もうここは家みたいなものですから、ソラ様の用事を優先してください!」
「ありがと。」
基本的にモンスターを倒したドロップアイテムは、いつもの様に僕のリュックサックに入れる。そして宿屋に着いてから、エイセイがまとめて日本の星空オフィスへと転移しているのだ。
それをスズさん達スタッフが、査定して現金化してくれているだろう。
ここの異世界のギルは、スタートから結構軍資金をゲットできた。暫くは今持っているお金で、この世界の探索が出来るだろう。でも、各国で冒険者ギルドがあるのなら、一回は顔をだしていきたい。やっぱりゲームのRPGもそうだけど、行った先の拠点には、とりあえず行きたいもんね!
やっぱりコンプリートはしないと!
ゲーマーとしてな!
僕達はテルミの案内の元、冒険者ギルドアルフリーン支部へと向かった。
冒険者ギルドへと入ると、大勢の冒険者で賑わっていた。
テルミ曰く、この『アルフリーン』国は広大で自然が多い為、未知なる場所やダンジョンなどが沢山あり、様々なモンスターがいっぱいいるらしい。
だからなのか、世界中の冒険者がこの国へと来て冒険をしている。
大きな掲示板を見ると、沢山貼られているクエストも、『F』級から『S』級まで幅広くあった。フリークエストもある。
「へぇ~。ここのギルドはいっぱいクエストがあるのな。」
「そうなんです!『アルフリーン』は、まだまだ未知な場所が沢山あります。そういった所も、冒険者様には人気があるみたいですね。・・・・・・・あっ!これはっ!!!」
テルミが掲示板を見上げて、一つのクエストを見て驚いている。
「ん?どったの?」
僕は一緒にそのクエストを見る。
フリークエスト 『王女救出』。
囚われた王女の救出。
報酬金額:10億ギル
依頼条件:ヒューマン限定
へぇ~。ここのお姫様が、どこかに攫われたか何かしたのか?
それにしても報酬金10億は凄いな!
ユニティ支部で受けた『フリークエスト』の報奨の10倍だ。
でも、一国の王女ならこの位は妥当なのかな。
僕はその『フリークエスト』を見ていると、前にいるテルミが振り返って僕に言う。
「ソラ様。・・・・・・・この『フリークエスト』を受けてください。」
「へっ?何で?」
「何でもです!お願いします!」
突然、突拍子もない事を言うテルミ。
どこに攫われているのか分からないが、『フリークエスト』で、しかもこの報酬金額だ。かなりハードルの高いクエストなのだろう。流石にテルミのお願いでも、僕一人で勝手に決める事は出来ない。
僕は後ろにいる親友達を見る。
すると、ポケっとしているクウガ以外、みんな笑顔で頷いている。
「・・・・・・・まったく。本当に鈍感なんだから。」
何故かスピカが呆れた顔をして、訳の分からん事を呟いている。
「・・・・・・・まぁ。皆がオッケーなら受けるけどさ・・・・・・・。」
何か僕だけ置いてけぼりをくらっている様な感じが否めないが(クウガもだけど。)、テルミの頼みだし、アルフリーン支部でも何か一つクエストをやりたかったから・・・・・・・まっ、いいか!
僕はその『フリークエスト』の用紙を取って、受付へと出す。
エルフの受付嬢は、それを受取ると驚いた様に僕達を見て話す。
「あっ、あの!このクエストを受けて頂けるのですか?」
「はい。受けたいんですけど大丈夫っすか?」
「大丈夫も何も・・・・・・・この三年間、ヒューマンの冒険者で誰も受けてくれる方がいませんでしたので・・・・・・・気が変わらない内に説明しますね!」
そう言うと、すぐに『フリークエスト』の内容を教えてくれた。
三年前。
王族が、親交のある隣国の『ユニティ』に訪問した際に、突如『魔国』の者が現れ、この国の王女が攫われてしまった。
数日後、そのまま『ファイン帝国』へと引き渡されたという情報が入り、『アルフリーン』国は『ファイン帝国』に何度も外交交渉を行ってきたが、返してくれる事はなかった。この三年間は、『ファイン帝国』に王女が囚われている為、こちらからは何もする事が出来ずにいたと言う。そして同時に、冒険者ギルドで多額の報酬金を出して『フリークエスト』を募ったが、ヒューマン至上主義の『ファイン帝国』の為、他の種族は基本入国する事さえ出来ない。その為にヒューマン限定とした。・・・・・・・しかしかなり困難なクエストの為、結局三年経った今でも受ける冒険者はいなかったそうだ。
「なる程ねぇ~。」
「それでは、受理する前に冒険者証を見せてください。」
僕は冒険者証を受付嬢に出す。
「ありがとうございます。・・・・・・・!!!・・・・・・・【星空】???・・・・・・・そうですか。貴方達が【異界】の冒険者。・・・・・・・分かりました。それでは受理致します。まずはこの『フリークエスト』を持って、王城へと行ってください。先にこちらから連絡しておきますので、止められる事なく入城出来ると思います。この『フリークエスト』はデリケートな問題ですので、詳しい話はそこでお聞きください。・・・・・・・【星空】様。どうか・・・・・・・どうかよろしくお願いいたします。」
エルフの受付嬢は、深く、深く僕達に頭を下げた。
僕は冒険者ギルドから出ると言う。
「何か結構なクエストを受けちまったな。さて、どうしたもんか。・・・・・・・まぁ~とりあえずはテルミを家に帰してからだな。」
みんなが頷く。
テルミを帰してから、王城に行って話を聞けばいいか。
「よっし!僕の用事は終わったから、テルミの家に行こっか!テルミ!案内よろ!」
「はいっ!ソラ様!」
笑顔のテルミと手を繋いで、僕達は家へと向かった。
☆☆☆
「あれ?・・・・・・・ここ?」
「はい!」
僕は巨大な王城を見上げる。
ここからだと少し時間がかかるからと、馬車に乗って来た先は、何と王城だった。
その周りには多くの店や家が密集している。
流石王都。
中心に近づけば、近づく程に、行きかう人達が多い。
嬉しそうに王城を見て返事をしたけど、きっと家はこの辺りの城下町にあるのだろう。
すると、テルミは僕の手を引っ張る様にどんどんと王城の門へと進む。
先には、王都『アルフ』の入口並みに、王城の門に様々な人達が多くの列をなしていた。
ドンッッッッッッッッッッッッッ!!!!!
僕達は王城の門へと向かっていると、空から突然モンスターが現れた。
7m以上はある巨大なモンスター。
真っ白い毛並み。そして狼の様な姿。
僕はすぐにテルミを後ろへとやると、呆れた顔でそのモンスターに言う。
「オイオイオイ・・・・・・・何でここにいるんだよ。ハク。」
そこにいたのは、日本ダンジョンの【下層】や【深層】の時に出会ったハクだった。
僕は周りを見渡す。
こんな大きなモンスターが王城の前に突然現れたのに、騒ぎのひとつも起きていない。門の入口に並んでいる人達も、ハクを一目見て、そのまま変わらずに並んでいる。
どういう事なんだ?
するとハクが僕をじっと見てから言う。
『・・・・・・・貴方は・・・・・・・貴方は・・・・・・・主なのか?』
僕の後ろにいたテルミは、ヒョコッと顔を出すと、ハクに向かって笑顔で言う。
「ハク。・・・・・・・久しぶり♪」
『主っっっっっ!!!!!』
「うおっ!」
僕の横に一気に顔を近づけるハクに、恐れる事なくテルミは、ハクの顔を愛おしそうに抱いた。
深く被っていたパーカーのフードがとれる。
『主よ・・・・・・・私はこの城へと戻ったら、事情を説明してすぐに救いに・・・・・・・『ファイン帝国』へと行こうとしたのだが・・・・・・・主に何かあるといけないからと、王に止められてな。私は帰ってくるのをずっと・・・・・・・ずっと待っていたのだ!!!』
テルミは大きなハクの顔を撫でながら言う。
「フフッ♪♪ 心配してくれてありがとう。でも大丈夫よ。ソラ様が私を救ってくれたから。」
そこで初めて気づいたかのように、真横にいる僕を見て驚きながら叫ぶ。
『・・・・・・・ソラ??? 何故ここにいる!!!』
「今かよ!!!」
思わずツッコんだ。




