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72話 異世界へ


「ソラ。設置完了したよ。」


「サンキュー♪ サンキュー♪」



ここは『名もなき島』。



【ゲート】前。



異世界探索の準備を終えた僕達は、スピカの空間移動魔法で瞬時に『名もなき島』へと飛んだ。



スピカの空間移動魔法は、視界に見える範囲と、マーキング(記録した場所)した所のみ移動できる。


10ヶ所だけしかマーキング出来ないとスピカが不満をこぼしていたが、それだけあれば十分だ。



今はエイセイが、僕のライブ動画が出来る様に、巨大な【ゲート】にエイセイ特製の大きな【ホール】を設置していた。



『ファイン帝国』に【ホール】を付ける事は了解をもらっているので、これで準備万端だ!




あぁ、そうそう。


余談だけど、先月『ファイン帝国』に行った時に、僕達がこの世界にある各ダンジョンの【深層】の結界に穴を空けて、そこにいた魚人族を勝手に逃がした事がバレたみたいで、帰りにローガン宰相に怒られた。レミリアが魚人の国を復興させるって言ってたから、少しでも手伝えればって思って攻略ついでにやったんだけど、あれ、マズかったらしい。異世界へ行けなくなるのはヤダから、今後は気を付けないといけないな。後、探索でどれだけ日数がかかるか分からないから、大学はスズさん達に頼んで休学届を出してもらった。両親は、もう大人だから好きにしろと言われている。まぁ、妹達には絶対にお土産を買ってこいと言われているけどな!



僕は撮影準備を終えると立ち上がり、巨大な【ゲート】を見上げると、親友達とテルミを見る。



そして僕が右手を前に差し出すと、皆がよってきて同じ様に右手を僕の手の甲の上にのせる。テルミが見よう見まねで一緒に右手をのせた。




「さぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!皆ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!とうとうやってきました異世界探索ぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!これから探索する全ての場所が初めての場所だ! さぁ皆!・・・・・・・思いっきり楽しもうぜ!!!」



「「「「「 オ~♪♪♪!!!!! 」」」」」




一斉に手を上げてジャンプした。




「うぉぉぉ!マジで楽しみだな!」


「だな!僕達が初の異世界探索者だ!」


「あ~!ワクワクするわね!」


「どんな世界なんだろうね~♪ 楽しみ~♪」


「フン!・・・・・ほら!ソラは一番後ろにいるのよ!」



流石に皆も興奮している。



そりゃそうだ。



『異世界』という未知の探索が始まるんだ。



僕達人間だけじゃない、テルミやレミリアみたいに他の種族にも会える。



マジで楽しみでしかたがない!





「さて・・・・・っと。」


いつもの様に、カメラを片手に持ってリュックサックを担ぐ。



初の異世界探索の感動を、一緒に視聴者さんにも届けないとね!



スタンバイ状態のカメラを僕は見る。


「うぉ。・・・・・・・マジか。」



思わず呟く。



・・・・・・・僕のここ一年間のクリエイター活動は、数ヶ月に一回、この世界にある別のダンジョンの【深層】攻略に行って、一週間ほど連続のライブ動画。帰った後、週一でその【深層】の編集動画を小出しでUPしていた。大体、その時のライブ視聴者数は200万人位。そして現在、チャンネル登録者数は7,000万人だ。



僕はもう一度、カメラを見る。


まだ始まってもいないのに、既に一億以上の数字が表示されていた。



すげぇな。



僕は、SNSと編集動画の最後に今回の探索告知をしていたんだけど、腐れ縁の大学仲間の三人曰く、世界中のネットやテレビでは、常にトップニュースで注目度は半端ないらしい。



そりゃ、そうか。



まだ見た事のない、現実に存在する『異世界』がライブ動画で生で観れる。僕だって視聴者の立場だったら絶対に観たい。



予想以上に多かったが・・・・・フフフフフ。・・・・・計画通り・・・・・計画通りだ!!!




「それじゃ皆!初めてもいいかな?」



「「「「「 オッケー♪♪♪ 」」」」」



親友達は笑顔で答える。


テルミだけが頭に?マークが付いている。



さぁ!久しぶりのライブ動画だ!気合入れていくぜ!!!



僕はいつもの儀式の様に大きく深呼吸をする。



「すぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ。はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ。」






そして配信をスタートさせた。






「みなさぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!観てますかぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」






☆☆☆






<コメント>


■うっひょぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!


■うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!


■きたぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!


■きたきたきたぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!


■待ってましたぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!


■おっせ~ぞ!ソラぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!


■間空きすぎだ!ソラぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!


■観てるぞぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!


■観てますぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!!


■ソラぁぁぁぁぁぁぁ!今回は許してやる!特別だぞ!!!


■異世界の準備だから時間がかかりますもんね!!!


■ごぉぉぉぉぉぉぉぉぉわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁすぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!!!!




めっちゃ盛り上がっている。


それだけ楽しみにしてくれてたんだ。


ホント。ありがたや。ありがたやである。



「皆さん!今日もご視聴ありがとうございます!そ~れ~で~は~・・・・・『空ちゃんねる』スタートです!!!」



いつものオープニング曲を流す。



僕は巨大な【ゲート】をバックに、メンバー全員が映る様に撮影しながら言う。


「どうもこんにちワイ!!!ソラです!今回は前から告知している様に、世界初の【異世界探索】をしていきたいと思います!ガチです!ガチガチです!!!凄くないですか?流石の僕達もワクワクが止まりません。・・・・・・・いや!ロマンティックが止まらない!!!」




<コメント>


■異世界きたぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!


■うぉぉぉぉぉぉぉぉ!すげぇ!マジですげぇよ!!!


■本当に観れるんだ!!!


■トップニュースでもやってたけど、すげぇ!!!


■一億人超えてるwww おめw


■異世界だもんなw 古参の俺達やファンだけじゃなくて世界中が観るわけだw


■こんにちYってwww 相変わらずふざけてんなw しかも面白くないしw


■ロマンティックが止まらないってwww 


■ソラ、お前いい加減にしろよ?


■久しぶりに言いますけど!オリジナルなギャグを所望します!!!




「さて皆さん!この大きな【ゲート】をくぐる前にですね!まずは紹介したい事が二つあります!まず一つはこのカメラ!エイセイがオリジナル魔法でアップデートしてくれました!!!何と!異世界の言語を自動で翻訳できる様になりました!なのでこれから行く異世界では、通訳しなくても普通に聞き取れます!それともう一つですが、【異世界探索】の許可を貰いに一回だけ『ファイン帝国』に行った時にですね。この子を保護しまして・・・・・・・一緒に旅します!さっ、僕の前に来て!」



可愛い幼女が、横からカメラの前に現れる。


ねずみーランドのキャラが入った、薄ピンク色の可愛いパーカーを着て、付いているフードをかぶっている。




<コメント>


■すげぇ!マジで?


■本当に?異世界語が私達でも分かるの?


■【深層】の時は、エイセイが通訳大変だったもんなw


■エイセイマジで器用だなw 


■それでいて俳優だし、モデルだし、カッコいいし。・・・・・クソッ!!!


■エイセイィィィィィィィィィィィィィィィ!!!素敵!!!


■エイセイィィィィィィィィィィィィィィィ!!!カッコイイ!!!


■ちょっ!ちょっと待て!この可愛い幼女は誰だ???


■異世界で保護した?どういう事???


■初異世界人だ!!!


■何だろう。この子凄く可愛い!!!幼女だけど!!!




フフフフフ。まだ驚くのは早いぞ。



「さて、この子の名前はテルミと言います。何とぉぉぉぉぉぉぉ!何とですねぇぇぇぇぇぇぇ!この子はぁぁぁぁぁぁぁぁ!この子の種族はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ・・・・・・・はいっ!!!」


僕は撮影しながらテルミに近づくと、右手を伸ばしてフードをとった。



とても綺麗な金色の髪。宝石の様なエメラルドグリーンの瞳。そして特筆すべきは耳が・・・・・・・尖っていた。




<コメント>


■はっ???


■えっ???


■へっ???


■ちょっ!ちょっと待て!!!


■ちょっと待てぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇい!!!


■あれ?耳が尖ってるぞ???


■あれ?何か見た事あるぞ???


■あれ?マンガで見た様な???


■あれ?アニメで見た様な???


■耳がぁぁぁぁぁぁ!!!耳がぁぁぁぁぁぁ!!!尖ってりゅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!!!


■エルフだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!


■うひょぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!


■エルフきたぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!


■エルフ幼女きたぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!


■きゃわいいィィィィィィィィィィィィィィィィィ!!!


■凄い!凄い!凄い!凄い!凄い!凄い!凄いぃぃぃぃぃぃぃ!!!




コメントがパニック状態だ。



僕はテルミにカメラをアップすると言う。



「テルミ。今、このカメラを通じて世界中の人達が君を観てるんだよ。」


「えっ!そうなんですか?」



少し驚いた顔をした後に、カメラに向かって笑顔でお辞儀をする。


「えっと・・・・・・・【異界】の皆様。お初にお目にかかります。私はエルフ族のテルミといいます。ソラ様に助けられて、この【異界】へとやってきました。よろしくお願いします。」




<コメント>


■何も言えねぇ。


■すげぇ。


■本当にエルフっていたんだ。


■感動!!!


■可愛いすぎ!!!


■もうすでに胸がいっぱい!!!


■ソラ、いきなりぶっこんできたな!!!


■何かさ、最初にエルフって表現した人ってヤバくね?もしかして異世界人だったりなんかしてwww


■すでに異世界人がいた説!あり得るな!!!


■リアルエルフぅぅぅぅぅぅぅ!!!可愛い!!!


■可愛いエルフ幼女きたぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!




よし!掴みはオッケーだ。


でも視聴者さんは鋭いな。考えもしなかった。本当に昔、異世界人がこの世界にいたのかもしれないな。



「それでは皆さん。テルミを紹介した所で、今回の探索目標を発表したいと思います!細かい説明は後でしますが、まずはテルミを故郷へ送り届けるのが目標です!そして送った後は、出来るだけ【異世界】にある国々を探索できればと思っています。なので【深層】の時の様な、一週間位のライブ動画じゃなくて、数ヶ月の超ロングライブ動画となります!【異世界】です!全て見る物が新鮮ですので、出来るだけライブ動画配信していこうと思います!皆さんも無理のない様にお付き合いお願いしますね!」




<コメント>


■うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!


■きたぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!


■超ロングライブ動画きたぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!


■安心しろソラ!俺はずっと付き合うぞ!なんてったってニートだからな!!!


■ソラ!俺も付き合うぞ!大学休学するわ!!!


■ソラさん!私も旅が終わるまで観続けます!休職します!!!


■もしかしたら、異世界を観れるのはこれが最後かもしれないから、出来るだけ観ます!!!


■暫く仕事以外はこもります!!!


■学校以外はこもります!!!


■観るでごわすぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!!!




「さて!これから長旅になるので、メンバーの皆にも意気込みを聞いてみましょう!・・・・・・それでは、まずはアカリさん!」



アカリにカメラを向ける。



「私達に立ち塞がる者は全て・・・・・・・斬る!!!よろしくね♪」




<コメント>


■アカリちゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!!!


■俺を斬って! 好き!!!


■僕を斬り刻んで! 好き!!!


■もうずっとファンです! 好き!!!


■天然だけは気を付けてねw




「次はクウガさん!」



クウガにカメラを向ける。



「おう!皆よろしくだ!・・・・・・・黙って俺についてこいやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」




<コメント>


■きたぁぁぁぁぁ!!!クウガの叫び!!!


■熱い!熱いぜ!!!


■頼もしい!!!


■異世界でも頼むぜ!クウガ!!!


■変な事はするなよw




「お次はココセさん!」



ココセにカメラを向ける。



「・・・・・・・ブイ(V)。」




<コメント>


■V頂きました!!!


■よっ!スピードスター!!!


■めっちゃ可愛い! 好き!!!


■冷たい顔がいい! 好き!!!


■なるべく消えないでねw




「エイセイさん!」



エイセイにカメラを向ける。



「皆。応援よろしく♪」


爽やかな、優しい笑顔で言う。




<コメント>


■イヤァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!


■エイセイィィィィィィィィィィィィィィィィィ!!!


■ずっと!ずっと付いて行くわぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!


■クソッ。カッコよすぎて何も言えねぇ。


■戦闘狂w




「最後にスピカさん!」



スピカにカメラを向ける。



「フンッ。・・・・・皆!ちゃんと応援してよね!」




<コメント>


■スピカちゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!!!


■天使ィィィィィィィィィィィィィィィィィ!!!


■ツンデレ属性きたぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!


■もう一生追い続けます!!!


■後でネコ属性も見せてねw




全員にカメラを向けた後、最後に巨大な【ゲート】を映しながら僕は叫ぶ。



「さぁ皆さん!新しい世界の探索です!・・・・・・・行っくどぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!!」


「「「「「 オ~!!!!!!!! 」」」」」




<コメント>


■オ~!!!


■オ~!!!


■オ~!!!


■オ~!!!


■オ~!!!


■オ~!!!


■オ~!!!


■オ~!!!


■オ~!!!


■オ~!!!






メンバー全員と、ライブ動画のコメント欄が綺麗にシンクロした。





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― 新着の感想 ―
[一言]  ここまで読んでいてソラの言動が小学生にしか見えないけど、まぁ現実で二十台だろうが三十代だろうが四十代だろうが飛んで六十代だろうが小学生みたいな人っていますからね……。
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