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49話 深層攻略5日目 2


目が赤い。



白い毛で覆われている手には、何でも切れそうな鋭い爪が光っている。


5m位あるだろうか。


昨日倒した白いサルやゴリラよりも大きかった。



突然現れたその大きなサルは、黙って僕達を見つめている。


その後ろには、ずっと僕達の周りを囲んでいたモンスター達が集まっていた。



僕はその大きなサルにカメラを向けながら話す。



「あのサルだけ、他のモンスターと比べて雰囲気が違いますね。この森のボスか何かかな?」


「ハッ!こいつは・・・・・・。」


クウガはニヤリと笑いながら大楯とハルバードを構えた。



「ほう。」


「ハハッ!」


「・・・・・。」


「フンッ。」



他のメンバーも同じ様に戦闘態勢に入る。



これは珍しい。


みんな本気モードだ。


それだけ、あの大サルは強いのだろう。



「ソラ。・・・・・・・少し下がってて。」



スピカの言葉に従って、僕は大サルを撮影しながら後ろへと下がる。



「花火・・・・・花雷はならい。」



ビシャァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!



雷の様な音と共に、強い光が大サルに落ちた。



大サルがいたところに雷が落ちたが、そこにはすでに大サルはいない。


そしてフッとクウガの前に現れると、大楯ごと蹴りを入れる。



ドンッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッ!!!



どんなモンスターの攻撃も、全て耐えていたクウガが、簡単に大楯ごと吹き飛ばされた。



入れ替わりに懐に飛び込んだアカリ。


横薙ぎの一刀を入れるが、左手の鋭い爪でそれを防ぎながら、右拳をアカリの左わき腹に打ち込む。



ボールの様にアカリは血を吐きながら吹き飛ばされた。



ドンッ!ドンッ!ドンッ!ドンッ!ドンッ!



それを見ていたエイセイが、アサルトライフルを大サルに向けて連射する。



しかし、弾が当たる瞬間に大サルは消えた。



「ちっ!速いな!」


アサルトライフルの銃声が響き渡るが、もの凄いスピードでそれを躱す。



ギィィィィィィィィィィィィィィィィン!!!



徐々にエイセイの方へと近づいてきた大サルだったが、その途中で現れたココセにダガーで斬りつけられる。


爪でダガーを防ぐが、そこで動きが止まった。



「・・・・・ここまで。今度はこっちの番。」


そう言うと、ココセがフッと消えた。



同時に大サルも消える。



カメラを向ける。・・・・・何も見えないが、火花と鉄の衝突音が所々で聞こえた。



暫くすると、フッとココセが現れ、その上から振り下ろされる大サルの右拳。


あたる瞬間にまた消え、大サルの首にダガーを斬りこむ。



ザッッッッッッッッッッッッッ!



斬った。・・・・・・しかし瞬間に避けたのか、血は出たが切り傷程度のかすり傷だ。



すぐにココセは追撃をしようと、木を蹴って反動を利用して飛び込んだが、それに合わせる様に右の裏拳がココセの肩を殴る。



ドンッッッッッッッッッッッッッッッ!!!



そのまま回転しながら木に激突した。



「こいつ!」



スピカが右手を前に出すと瞬時に大サルは目の前に現れて、左蹴りをスピカの体に蹴り込んだ。


サッカーボールの様にあっという間に遠くへ吹き飛ばされる。



そこで、一旦大サルは動きを止めた。



僕のカメラの前には、数メートル先にエイセイだけがいて、他のメンバーは全て吹き飛ばされて誰もいない。



「こいつは・・・・・・今まで戦った中で一番強いですね!」




<コメント>


■なにこれ???


■映画のワンシーン???


■息を吸うのも忘れて見入ってしまった。


■オイオイオイオイ!!!ヤバくないか???


■何だよあのサル!!!


■今までと全然レベルが違うじゃん!!!


■嘘だろ?エイセイ以外みんなやられちゃった???


■ヤバい!!!ヤバいぞ!!!


■ヤバい!ヤバい!ヤバい!ヤバい!!!


■ソラ!!!普通に実況している場合じゃないだろ!!!


■ソラ!!!お前じゃどうにもならない!!!


■ソラ!!!お前だけでも逃げろ!!!


■逃げて!!!ソラさん!!!


■頼む!!!逃げろ!!!


■お願い!!!逃げるでごわすぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!!!




僕はコメントを見ながら答える。


「心配ありがとうございます。・・・・・でも大丈夫ですよ。」



大サルがこちらを見ると同時に、吹き飛ばされたクウガとアカリ、ココセが数メートル先のエイセイの所へと現れた。



「「「 ペッ! 」」」


三人同時に口に溜まった血を吐き捨てる。



僕は四人とその先にいる大サルが映る様に調整しながら言う。


「そう言えば、チームで戦った所は皆さんに見せてなかったですよね。今までのモンスターはソロで問題なかったんですけど、このサルは今まで戦った中で一番強い。・・・・・これから皆さんに、チーム【星空】の戦いをお見せしましょう!」



ココセがステップを踏んで、一瞬で消えた。



そして、大サルの周りを駆け巡りながらダガーを斬りつける。



同時にアカリとクウガが飛び込み、刀とハルバードを振るう。



大サルの動きは速いが、ココセの方が数倍速い。


ココセは大サルの周りを駆けながら、いたる所を斬りつけたが、頑強な皮膚に阻まれて致命傷を負わせる事が出来ない。



大サルは多少傷ついてもいいので、ココセの攻撃は諦めた。


その間に斬りつけてくるアカリとクウガの攻撃に重点を置いた。



刀とハルバードを両手の鋭い爪で防ぐ。



同時にエイセイが、隙を見てアサルトライフルで撃ってくる銃弾を大サルは躱す。



躱すとどうしても隙が出来る。


大振りのクウガの攻撃は躱すことが出来たが、アカリの隙の無い一刀は防ぐことが出来ず、頑強な皮膚は、その刀に斬りつけられ負傷する。



その攻防が暫く続いた。



いつの間にか大サルは防戦一方になっていた。



僕はその様子を撮っていると、吹き飛ばされたスピカが下を向きながら歩いて来た。


スピカは吹き飛ばされたが、心配はしていない。銀のネックレスを付けているからだ。


しかしシールドが間に合わなかった様で、三回までどんな攻撃も防ぐことができる銀のネックレスが発動したみたいだ。



スピカは腰に巻かれている青と白の大きなリボンを大事そうに触りながらブツブツ呟いていた。






-------------昔---------------



「スピカ!誕生日おめでとう!」


そう言いながらソラは、笑顔で大きなリボンをスピカに手渡した。



「えっ?・・・・・これ私にくれるの?」


「うん!スピカは何でも似合うから喜んでくれるか心配だけど、僕が一生懸命選んだんだ!」


「・・・・・フッ、フンッ!しょ、しょうがないから付けてあげる!」



------------------------------------






触っている大きなリボンの一部が、ほんの少しだけ切れていた。



さっきの大サルの攻撃だ。



私の一番・・・・・・・一番大切な宝物。



「・・・・・許せない。・・・・・絶対に許せない。」



エイセイの所まで来ると、スピカは戦っている大サルに向かって両手を前に出す。



すると、紫色の魔力が体全体から噴き上がった。そして両手の周りが赤い蜃気楼の様になり・・・・・空気が歪む。



徐々に大サルを削っている三人は、スピカの雰囲気に気づき、すぐにそこから離れた。


防戦一方になっていた大サルは、突然攻撃が止んだのを見て、一瞬動きが止まる。



「・・・・・避けられるなら避けてみなさい!!!・・・・・最強の五大魔法の一つ!!!・・・・・花火・・・・・『千輪』(せんりん)。」




光と轟音が響き渡った。




大サルを含む何もないその一帯が、一斉に花火の様に突然、爆破した。



大サルは動こうにも動く事が出来ない。


辺り一帯が爆発している為に、どこに移動しても当たるからだ。


そして延々と爆発が繰り返される。・・・・・ランダムに。



スピードとか関係なかった。


そもそも避ける場所がどこにもないからだ。


後ろで見ていた、白いサルとゴリラも巻き込まれて、吹き飛ばされて黒い灰となっている。



その爆発の威力はあまりにも強力だった。


頑強な皮膚をもつ大サルの右耳が吹き飛ぶ。そして左腕が吹き飛ぶ。そして脇腹が。左足が。



血が舞い、立っていられずに膝をつく。



それでも延々と爆発が続く。



血を吐いているその大サルと僕は目が合った。



「・・・・・・ごめんなさい。・・・・・・お願いします。・・・・・・助けて。」


「スピカ!!!」



突然。



ピタリと爆発が止まった。



光と轟音で響き渡っていた森が、一瞬で静寂に包まれる。



僕はカメラを片手に大サルの方へと歩きながら様子を見る。


腕や足が吹き飛ばされ、白く綺麗だった毛は、自分の血で赤く染まっている。


肩で息をしていて、今にも死にそうだ。



僕は大サルの目の前まで来て止まった。


エイセイが通訳の為に、黙ってついてくる。


そして僕の後ろには、残りのメンバー全員が大サルが動いた瞬間に攻撃できるようにスタンバイしていた。



「・・・・・何かな?」


「・・・・・突然襲ってごめんなさい。・・・・・私はこの森を守るのが役目。・・・・・お願いです。どうか助けてください。」



僕は通訳をしてくれているエイセイを見た。


エイセイは僕を見て、ため息をつくと、大サルの前に手をかざして魔法を唱える。



「ヒール。」



大サルの体が緑色のオーラに包まれた。


すると、吹き飛ばされた耳や腕、足や脇腹がみるみるうちに元に戻っていく。




<コメント>


■すげぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!


■マジですげぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!


■何だこの強さぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!


■星空つぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!


■全員で戦うとこんなにつぇぇのかよ!!!


■この戦いを見て分かった。日本で最強は我々ではないな。


■認めるしかないわね。私達じゃ・・・・・いや、世界トップランクの探索者でさえ、あのモンスターを倒す事は出来ないわ。


■スピカちゃんの魔法はエグすぎる!!!


■五大魔法って言った!五大魔法って!!!


■おいソラ!!!何やってんだよ!!!


■まさかモンスター助けるんじゃないよな???


■いくらなんでもそれは!!!


■おい!ソラ!マジでやめろって!!!


■おぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉい!!!


■あっ。回復したwww




大サルは、治った腕や足を見ると、突然大声をあげながら飛び跳ねた。



「キィ!キィィィィィィィィィィィィィィィ!」



目の前で、5mもある白い大サルが飛び跳ねているのは凄い迫力だ。



喜びのジャンプみたいだ。



暫く飛び跳ねていた大サルは、落ち着くと、僕の前で座って大人しく僕を見つめる。



「僕はソラ。君は?」


「ソラ。・・・・・私の名前はない。」


「う~ん。そうかぁ。それじゃ呼びづらいから、そうだなぁ~。それじゃ僕が名前をつけるよ!・・・・・今日から君は『さる吉』だ!」




<コメント>


■えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ???


■モンスターを助けやがったwww


■何やってんだよwww


■ホントある意味凄いよな。ソラってwww


■あんだけ星空が苦戦したモンスターの前に、一般人が普通に近づいて行ったもんなwww


■お前どんだけだよwww


■しかも、さる吉ってwww


■ないわ〜www


■ネーミングセンスの欠片もねぇなwww


■何か大サルが可哀そうに見えてきたwww


■私もw


■さる吉。めげるなよw




何かディスられてないか?まぁいいか。



「・・・・・さる吉。・・・・・私はさる吉!」



また大サルは飛び跳ねて叫んでいる。



喜んでいるみたいで良かった。



すると、さる吉は僕の前に跪いた。


爆発に巻き込まれなかった白いサルやゴリラも、さる吉の後ろに集まり同じ様に跪く。



かなりの数だ。



僕の前に跪くその光景は圧巻だった。



「・・・・・ソラ。襲ったのに私の命救ってくれた。・・・・・ソラと仲間は歓迎する。・・・・・この森に好きなだけいてくれていい。」


「本当に?それは助かるよ!・・・・・それじゃ、湖がとても綺麗だから、ここにキャンプを張ろうか!」


「「「「「 オッケー♪ 」」」」」



皆で喜びのジャンプをする。



つられて、さる吉や他のモンスター達もジャンプした。




迫力満点だった。




エイセイが、親友達が戦闘で負傷した所を全て治す。


それが終わった後に、買っておいた釣り竿と餌を転移してもらう。



「さて!まだ夕方になるまで時間があるよね!折角こんな綺麗な湖に来たんだ!・・・・・ならばやろう!やってみましょう!釣り大会ぃぃぃぃぃぃ!!!」


「「「「「 おぉぉぉぉ~!♪ 」」」」」



またまた皆で喜びのジャンプをする。



つられて、さる吉や他のモンスター達も同じ様にジャンプした。




迫力満点だった。

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