42話 深層攻略2日目 2
クウガが叫んだと同時に、トリケラトプスがもの凄い勢いで突っ込んでくる。
頭にある二本の角がクウガを襲う。
ドンッッッッッッッッッッッッッッッッッッッ!!!!!
衝撃音と共に、土煙が舞った。
クウガは一本の角を左脇に挟み、トリケラトプスの顔を右手で抑えて踏ん張るが、四倍以上ある体格の圧力で数十メートル後ろへと押される。
踏ん張る脚で土煙が舞い、土が削れていく。
そしてゆっくりとトリケラトプスの動きが止まった。
「ハッ!中々の突進だが・・・・・・・まだまだだな!」
そう言うと、クウガの腕に血管が浮かび上がる。
すると8mもある巨体が、徐々に後ろ足から宙に浮き始めたのだ。
クウガは右手で顔を掴み、左脇に挟んだ角をそのまま上へと持ち上げていく。
そして、トリケラトプスの巨体が綺麗に垂直になった。
「オラァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!」
クウガは叫びながら後ろへと倒れた。
何もできないトリケラトプスは、そのまま背中から地面へと叩きつけられる。
巨体を地面へと叩きつけた衝撃で、近くにいる僕達の地面が揺れた様に感じた。
トリケラトプスは暫く何が起きたのか理解が出来ないのか、仰向けになりながら硬直している。
「よし!さて、とどめを刺して・・・・・・・ってあれ?」
クウガは周りをキョロキョロしだす。
「チッ!そうだった!武器を置いて来たんだったな!じゃ、しょうがねぇな!」
独り言の様にそう言うと、仰向けになっているトリケラトプスの後ろへと回り込み、短い尻尾を右脇に挟み、左手で掴む。
そして今度は、そのままゆっくりと回り始めた。
8mの巨体がクウガを中心にグルグルとまわる。
撮影している僕の方まで、その遠心力で風が吹いた。
そしてクウガは、最後に尻尾を離しながら叫んだ。
「グォラァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!譲るぞ!アカリィィィ!!!」
トリケラトプスの巨体が綺麗に宙に飛んだ。
トリケラトプスは、そのまま僕達の方へと飛んでくる。
8mの巨体が空からどんどんと近づいてくる。
「うぉっ!結構な迫力ですね!!!」
カメラで飛んでくる巨体を撮影しながら僕は言う。
「はぁ。・・・・・まったく。武器を置いて行くなんてバカなの?」
アカリはため息をつきながら左腰にある刀の柄を握ると、飛んでくるトリケラトプスに向かってジャンプした。
・・・・・・・チンッ。・・・・・・・
ジャンプしたアカリと、飛んでくるトリケラトプスが交差した瞬間。
トリケラトプスは頭から真っ二つに分かれて、僕達の左右へと落ちていった。
斬った時に出た大量の血が、遅れて雨の様に振ってくる。
スピカが魔法防壁で、その血がかからない様に防ぐ。
<コメント>
■うひゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!
■すげぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!
■なんじゃこりゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!
■マジかよ!!!恐竜相手にブレーンバスターしたぞ!ブレーンバスター!!!
■トリケラトプスが綺麗に一直線になったなwww
■しかも!!!しまいにはジャイアントスイングだ!!!ジャイアントスイング!!!
■トリケラトプスが綺麗に宙に飛んだなwww
■どんだけ重さがあると思ってんだよ!意味わからねぇ!!!
■プロレス技ってw クウガお前何やってんだよwww
■遊びじゃねぇんだぞ!!!
■いい加減武器使え!武器!!!
■何度言わせんだよ!!!
■とどめにアカリちゃんが瞬殺!かっけぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!
■真っ二つに綺麗に斬ったな!!!
■あの巨体を真っ二つってwww
■もうあまり驚かないと思っていたけど、【星空】があまりにも凄すぎて驚きの連続だわwww
コメントがめちゃめちゃ盛り上がっている。
空から降ってくる血の雨が、スピカが作ったドーム状のシールドに当たって、僕達を避けながら地面へと流れていく。
僕は更にウケを狙ってみた。
「見てください!スピカさんが魔法で作ったシールドです!トリケラトプスの大量の血が僕達にかからずに、透明のシールドに当たって地面へと流れてます!流れていく赤い血・・・・・綺麗ですね!」
<コメント>
■怖ぇよ!!!
■怖ぇよ!!!
■怖ぇよ!!!
■怖ぇよ!!!
■怖ぇよ!!!
■怖ぇよ!!!
■怖ぇよ!!!
■怖ぇよ!!!
■怖ぇよ!!!
■怖ぇよ!!!
めっちゃツッコまれた。
☆☆☆
恐竜に襲われてから結構な時間が経った。
僕達は変わらず草原を森に向かって歩いている。
少し離れた所には、モンスター達(これからは恐竜と呼ぼう。)があちこちにいるのだが、先程の恐竜と戦ってからというもの、ピタリと襲ってこなくなったのだ。
僕は歩きながら、遠く離れている恐竜達を撮影している。
「何か、襲ってこなくなったね。」
「本当ね。」
「何だ!つまらねぇな!」
「・・・・・クウガとアカリのせい。」
「クウガとアカリが派手に戦うから、怖くて襲ってこなくなっちゃったじゃない!」
「ハハハ。まぁまぁ。」
歩きながら二人に文句を言っているココセとスピカ。
それをなだめているエイセイ。
僕は空を見る。
日がそろそろ沈み始めてきていた。
「ココセもスピカも、恐竜が来ない代わりに結構距離を稼げたんだからさ!よしとしとこう!日も沈んで来たから、そろそろお楽しみのキャンプにしようか!」
「「「「「 オッケ~♪ 」」」」」
カメラをスピカの方へと向ける。
「まずは、スピカさんにここ一帯に強力な結界を張ってもらいます。・・・・・スピカさん、よろしく!」
スピカは頷くと、右手を上げる。
右手の掌から濃い紫色の玉が現れると、そのまま真っすぐに空へと上がり、そのまま弾けた。
「これで100m位は結界が張られたから、誰も近づけないわ。もちろんモンスターもね。」
「流石スピカさんですね!」
「とっ!当然よ!ソラが頼むから、しょうがなくやってあげただけだからね!」
スピカの白い顔が赤くなる。
<コメント>
■きた♪
■きたきた♪
■きたきたきた♪
■ご褒美来ました!!!
■ソラ!ナイス!!!
■ありがとう!ソラ!!!
■ナイスフリ!!!
■ご馳走様です!!!
■ご馳走様でした!!!
■お腹いっぱいです!!!
■最高です!!!
■これから一週間近くキャンプするんですよね?大丈夫なの?
■お風呂とかはどうするの?
■女の子もいるのに、体を洗わないの?
■同業者だけど確かにそうだな。俺達は一日か長くても二日で帰還してたから、あまり考えた事なかったわ。
そんなつもりじゃなかったんだが、喜びのコメントが流れている。あと、女性からは心配のコメントもちらほら。
「心配ご無用です!昨日は、好意に甘えないといけない状況だったので我慢しましたけど、夜はお楽しみのキャンプですよ?準備は万端にしてきました!スピカさんに結界を張ってもらったので、次はエイセイさん!よろしく!」
エイセイは笑顔で頷くと、次々に遠征機材を転移させた。
まずは、大きなテントを皆で二つ張る。
一つは皆で寝る用。そしてもう一つはお風呂用だ。
エイセイが、遠征の為に特注で依頼した、とても大きな桶を出すと、それを軽々とクウガが持ち上げて、お風呂用のテントに設置する。
一緒に、三人分の洗い用の小さい桶と、シャンプーにリンス。ボディソープも置いた。
最後に大きな桶の前でスピカが小さく呟くと、桶の中央から温かいお湯が出てきて、すぐに満タンになった。そこに、市販で売られている温泉用の白い入浴剤を入れる。
日が沈む夕日に照らされて、白い湯気が立ち上る。
そしてお風呂用のテントの四隅に、エイセイが光魔法の玉を浮かせ、中を明るく照らした。
僕は完成したお風呂を撮影する。
「どうですか皆さん!雰囲気があって、結構良くないですか?」
<コメント>
■何これ?
■すげぇ。
■うそだろ?
■魔法でお湯だしたw
■私も光を照らす魔法は使えますけど、お湯をだすのは初めて見ました!
■湯気出てるw
■入ったら、めっちゃ気持ち良さそう。
■家のお風呂より大きいんだがw
■俺も。
■私も。
■もうこれ即席の温泉じゃん!
■こんなの俺も入りたいわ!
■いや、マジで入りたいw
「よし!次は、夕食の準備ですね!あっ!その前にみんな探索装備なので、ちょっと楽な服に着替えてきます。数分だけお待ちください!」
そう言うと、カメラを沈む夕日に向けて固定する。
その間に皆で【星空】オリジナルパーカーとスウェットパンツに着替える。
そしてすぐにカメラを持つと、着替えた皆を映す。
「はい!お待たせしました!どうです?これ、チーム【星空】のオリジナルパーカーとスウェットパンツなんですよ!デザインはエイセイさん作です!ここの夜はちょっと涼しいので、このスタイルが丁度いいですね!」
黒のパーカーの胸にカッコよく英語で『starry sky(星空)』と流れ星のイラストが入っている。
<コメント>
■パーカーに着替えちゃったよwww
■何やってんだよwww
■大丈夫なのか???
■モンスターは平気なのか???
■その前にそのパーカー。めっちゃカッコイイんだがwww
■欲しい!
■マジで欲しい!!!
■これ売ったら、かなり売れんじゃね?
■ソラ!売ってくれ!!!
■いや!マジで売れるぞ!!!
■エイセイ流石だわ!センスもピカ一!!!
■アカリちゃん似合ってる!!!
■ココセちゃん似合ってる!!!
■スピカちゃん可愛い!!!
■エイセイ!カッコイイ!!!
■クウガ!カッコイイ!!!
概ね、【星空】オリジナルパーカーは好評だ。
良かった。
「モンスターですか?スピカさんが強力な結界を張りましたので大丈夫です!それでも破ってくるモンスターがいたら、スピカさんが気づきますので対応できます。まぁ、そんなモンスターは存在しないと思いますけどね。・・・・・次に夕食の準備をしましょう!」
盛り上げる為にカメラに内蔵されているミュージックを絡ませる。
「さぁ!それでは始めましょう!・・・・・【星空クッキング】~!!!ドンドンドン!!!」
「「「「「 イェーイ♪♪♪ 」」」」」
みんなでカメラの前でジャンプした。
そして、楽しそうな声が夜空に響いた。




