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39話 深層攻略1日目 3


ザザザザザァァァァァァァァ・・・・・・



ローレットの拳をまともに受けたクウガは、195cmある体が一瞬宙に浮き、そのまま吹き飛ぶ・・・・・が、すぐに片足でこらえた。



吹き飛ぶのを堪えた足跡が、地面に一直線に出来ている。


数メートル後ろへと下がったクウガは、殴られて横向きになった顔を元に戻す。


「ペッ!・・・・・中々いいもん持ってるな。」


クウガはニヤリと笑うと、地面に口の中を切った血を吐きながら言う。



ローレットは驚いていた。


全力の打撃を放って普通に立っているからだ。


今まで己の肉体が最強と信じ鍛えてきた。血反吐を吐くほどに。


そうして鍛え上げられた肉体は、今までどんな物も一発で破壊できる程の破壊力を持つようなった。ヒューマンの頭など、簡単に吹き飛ばす位には。



「ハッ!こいつは面白いな!俺様の拳をまともに受けて、普通に立っていられるのはお前が初めてだ!」


首をコキコキ鳴らしながら、ゆっくりとローレットの方へと近づく。


「さて。大体はお前の実力は分かった。・・・・・今度は俺の番だな?」


「ほう?わざと受けたというのか。フフフフフ・・・・・ハ~ハッハッハッ!面白い!面白いぞ!!自分の武器を捨てて攻撃を受けたその心意気。気に入った!いいだろう!俺も受けてやる!」


そう言うとローレットは構えを解いて、両足を大きく開いて踏ん張る。




<コメント>


■はい?


■何だこれ?


■何やってんだ?


■バカ?


■バカなの???


■ここ深層だよな???


■深層モンスターの攻撃を受けて、ピンピンしてるんだが???


■あれ?確かトップクランが相手にならなかった相手だよな???


■しかもあいつ、あの中で上の方なんじゃね???


■何か青春の殴り合いみたいになってないか???


■いや、マジで何やってんの???


■理解不能。


■つ~か。クウガは相変わらずだけど、あのローレットとか言うモンスターも大概だなwww




クウガは踏ん張っているローレットに近づくと、目の前で大きく振りかぶる。


ふと、振りかぶりながらクウガは僕の方を見た。



僕は頷く。・・・・・・本気を出して殴るなっていうサインだ。多分クウガが本気で殴ったら、相手の首から上が吹き飛んでしまうだろう。




ドゴォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォン!!!!!




クウガの拳が当たった瞬間。


ローレットは大空を舞った。






☆☆☆






「隊長!隊長!!!」


「・・・・・ハッ!」



ローレットは目を開ける。


部下が心配そうに大の字に横たわっている自分を見つめていた。


ゆっくりと部下に肩を貸してもらいながら、ローレットは立ち上がる。



「・・・・・負けたか。」



見ると、数十メートル先にクウガが腕を組んで待っていた。


ローレットは、一人でフラフラになりながらクウガの前まで歩く。



「まだやるか?」


「いや。気絶していた時に追撃を受けたら死んでいた。・・・・・俺の負けだ。」


「そうか。」



クウガは、大楯とハルバートを拾うと、僕の方へと近づいて、親指を立てながら笑顔で言う。



「どうだ?」




<コメント>


■うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!


■つえぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!


■深層モンスター相手にソロで勝ちやがったぁぁぁぁぁ!!!


■マジかぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!


■クウガつぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!


■かっけぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!


■クウガ様ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!


■宙に舞ったぞ!宙に!!!


■踏ん張るとかそういうレベルじゃねぇなw


■当たった瞬間吹き飛んだw


■もの凄い音したなwww


■強いでごわす!!!




僕はカメラをクウガから、鎧を着たモンスターに移した。



「彼には勝ちましたが、まだやりますか?」


「フッ。約束はローレットと私に勝つ事だ。まだ私がいる・・・・・ところで、お前がここにいる六人の代表か?」


「代表というか、リーダーをやっている『ソラ』といいます。貴方は?」


「私は【魚人族】の将軍をやっている『アーミット』だ。」


「・・・・・はい?魚人族?モンスターとは違うんですか?」


「モンスターだと?そんな者と一緒にされるとは心外だな。まぁ、お前達【異人】からしてみれば一緒か。まぁいい。私の相手は誰がするのだ?」



アーミットは剣を抜きながら前に出る。



「・・・・・私かやる。」


いつの間にか僕の前にココセは出ると、屈伸を始めていた。


アーミットはココセを見た後、剣をアカリに向ける。


「フム。私は海の王者『バング』を倒したのを見てな。是非、貴殿と剣を交えたかったのだが・・・・・まさか少女が相手とは。我が王女とそんなに変わらんではないか。」


「・・・・・不満を言うのは戦ってからにして。」



僕達と魚人達は二人を残して、後ろへと下がる。


僕はココセとアーミットが両方映る様に、少し前に出てカメラを回していた。




<コメント>


■えっ?今何て???


■何か、新しい情報来たぞ!!!


■新情報!!!


■魚人族って言ってなかった?


■魚人族って何だよ???


■モンスターとは違うのか???


■モンスター図鑑見ましたが、やっぱり載ってないです!


■アニメとかマンガに出てくる魚人と違うなぁ。肌が青いだけで普通の人間みたいじゃん。


■ココセちゃん大丈夫か?


■将軍って言ってなかった?


■何か一番強そうじゃね?


■ココセちゃん!無理しちゃだめだよ!!!


■ここは深層だぞ!ヤバかったら助けを求めるんだよ!!!




ココセは両腰にぶら下げている二本のダガーを抜いた。



「・・・・・来ないの?」


「フン。私は将軍だ。まずは先手を譲ってやる。かかってくるがいい。」


「・・・・・・そう。」



瞬間。



ココセが消えた。




キィィィィィィィィィィィィィィィィン・・・・・・




金属が衝突する音だけが響き渡る。



見ると、アーミットは持っていた剣を自分の前に防ぐ様に構えていた。



ココセがどこにもいない。


アーミットもそのまま動かない。



すると、すぐに元いた場所にココセがフッと現れた。




バッッッッッッッッッッッッッッッッッ!!!




同時に、アーミットの体全身から血が舞った。


鎧がない場所を、ココセは的確に切り裂いたのだ。



「・・・・・何だこれは?」


茫然としながら、思わずアーミットは呟く。



目の前から消えた。



消えたのだ。



私はどんな素早い敵でも反応し、斬り捨てる技量を持っている。


目で追えさえ出来れば。


だが、そんな次元ではなかった。



アーミットはすぐに理解した。


目で追えない程のスピードで相手が動いたのを。


体が防衛本能で勝手に動いて、正面の攻撃は防いだ。


しかしそれだけ。


後はどう斬られたのかも分からなかった。


反応出来なければ、どうしようもない。



「・・・・・・まだやる?」


「凄いな。こんな少女がここまでの事が出来るのに、どれだけ壮絶な修練をしたのだ?・・・・・私の負けだ。」


「・・・・・ブイ。」


ココセは僕の方へと振り向くと、氷姫らしく、冷たい感情のない顔でピースサインをする。




<コメント>


■うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!


■すげぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!


■将軍倒しちゃったよ!!!


■見えねぇ!マジで見えねぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!


■ココセちゃんパネェぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!


■何だこりゃw 凄すぎて草。


■消えたと思ったら、敵の血が舞ってたwww


■まるきり見えなかったわ!!!


■同業者だけど、俺も見えなかった!!!


■どんなスピードだよwww


■ココセちゃん最強!流石、水の上を走れるだけある!!!


■えっ?マジで???


■信じられんだろうけど、マジだwww


■これでレベル6って何なん?www




僕は敗れた魚人の二人に近づく。


「良かった。二人とも手加減してくれたみたいだね。え~と、アーミットさんとローレットさんでしたっけ。見た感じ軽傷ですから、これ使ってください。」


二本の青色ポーションをアーミットに差し出した。



アーミットは驚いた顔をした後、ため息を吐きながらポーションを受け取り、ローレットに一本渡すと飲み干す。


見る見るうちにココセに斬られた傷が癒えていく。



「フゥ。まだあの二人は本気じゃないという事か。しかも負傷した我々に情けをかけるなど。君には完敗だな。」


「ハハハ。そんな堅苦しくしないでください。僕達が怪しい者じゃないって分かってくれたらそれでいいんです。・・・・・それで、聞きたい事は教えてくれるんでしょうか。」


「あぁ。約束だ。我々魚人族は、約束は絶対に違わない。私が答えられる事は全て答えよう。」


「ありがとうございます!」



「・・・・・アーミット将軍?」


後ろの魚人達をかき分けて、一人の少女が現れた。



青い肌に薄緑色の髪。


肌の色が違えど、とても可愛らしい少女だった。



アーミットとローレットは振り返ると、片膝をつく。


「レミリア様。すみません。我々は勝負に負けてしまいました。約束の為、聞かれた事は答えようと思います。」


「お二人が敗れるなんて初めて聞きました。・・・・・挨拶が遅れましたね。私は『レミリア』と申します。」


「それはご丁寧に。僕は『ソラ』と言います。」



僕は返答をしながら、この中で偉そうな二人が片膝をついてるのを不思議に思いながら見ている。



「フフフ。気になりますか?」


片膝をついていた二人は立ち上がると、僕に説明する。


「この御方は我々魚人族の王女様だ。」


「えっ?そうなんですか?あっ!僕達はこのままでいいんですか?」


「お気になさらないでください。皆様は今までの【異人】とは違うみたいですね。特に貴方は、とても優しい空気が漂ってます。・・・・・そうですね。もうすぐ夜になります。お約束もありますし、折角ですから一晩こちらで泊まりませんか?歓迎いたしますよ?」


「えっ?いいんですか?」


「はい♪」



僕は振り返って皆を見る。



「任せるぞ!」


「そうだね。」


「うん。」


「・・・・・任せる。」


「この流れじゃ、断れないからいいわよ。」



「それじゃ、お言葉に甘えさせて頂きます!」




<コメント>


■オイオイオイオイ!!!


■何か凄い事になってないか???


■泊まるってw モンスターの住処に???


■大丈夫なの?


■ソラ、お前コミュ力すげぇなwww


■異文化じゃなくて、モンスターコミュニケーションwww


■それを信用している仲間も凄いなwww


■あの要塞に泊まれるとは。同じ探索者として凄いな。


■同業者が感心してるwww




僕達は要塞の中に入って、夕食の歓迎を受けた。






☆☆☆






深夜。


要塞の中にある一室。



この部屋は客室なのかは分からないが、とても広い。


ちょっとしたベットの様な物も人数分ある。


ここに僕達は、食事が終わると通された。


夕食に出された魚人族の料理。


様々な焼き魚のフルコースで、意外とうまかった。



僕達男性陣は全員18歳で、実はお酒が飲める。


なので、クウガとエイセイは美味しそうに出されたお酒を飲んで、すぐに寝てしまった。


僕は、高校を卒業するまでは飲まないと決めているので、まだまだ元気だ。



女性陣が談笑しているのを見て、僕はコソコソと外に出る。


レンガ造りの通路を歩き、階段を登って、屋上らしき所に着いた。



夜の潮風がとても気持ちいい。


僕は周りを見て誰もいないのを確認すると、カメラをスタンバイ状態からオンにした。



「どうもソラです!まだ眠くないので再開します!先程はすみませんでした!流石にお呼ばれで料理を頂くのに、カメラを回すのはマナーに反すると思いましたので、一回切らせて頂きました!」




<コメント>


■おっ!きた!!!


■まだやるのね!!!


■良かった!!!


■待ってたぞ!ソラ!!!


■それはしょうがない。気にすんな!!!


■ちょうど俺も飯食いに行ったからオッケー!!!


■飯食いながらスタンバってたから大丈夫だぞ!!!


■私も!!!


■俺も!!!


■私もでごわす!!!


■魚人族の飯はどうだった?w




「料理ですか?何とですね!色々な魚が出てきましたね。焼き魚のフルコースでした!意外と美味しかったですよ!」




<コメント>


■へぇ~。魚料理だったんだ。


■魚人が魚料理ってwww


■共食いにならないのか?www


■まぁ見た目人間だから、ある意味納得www


■旨かったんだw


■ソラはホント、チャレンジャーだよなwww


■俺だったら絶対無理。


■私も。




視聴者と夕食の話で盛り上がっていると、女性陣がやってきた。



「・・・・・いた。」


「いつの間にかいなかったから心配したぞ。」


「ソラ!あなた弱いんだから一人で出歩かないの!」



「すみません。」




<コメント>


■怒られたw


■ソラ怒られるw


■深層一人歩きw


■確かに。一般人のソラが一人歩きしていい場所じゃないなw


■俺達に気を遣ってくれてるのは嬉しいけどなw


■俺も怒られたい。


■僕も怒られたい。


■私も怒られたい。


■スピカちゃんに殴られたい。




何か変なコメントになってきたので話題を変える為に、僕は屋上の手すりがある方まで歩く。


親友達もその後に続いて、僕の左隣に来ると、並ぶ様にして空を見上げた。


僕は夜空を映しながら、そのまま海の方へと向ける。



夜空は、星が沢山きらめいていて、月がとても大きく見える。


その月明りで、海が綺麗に照らされていた。



「見てください。めっちゃ綺麗ですね!」


「「「 綺麗~♪ 」」」




<コメント>


■おぉ!


■うぉぉぉ。


■凄いな。


■とても綺麗。


■深層なんだよな?


■何で海があって、こんなに夜景が綺麗なんだよw


■ホント。不思議だ。


■エイセイと一緒に二人っきりで見たい。


■あの三人に挟まれたい。


■ソラ!お前マジで羨ましいぞ!!!




「ソラ様。」



僕は夜景をカメラで撮っていると、後ろから声が聞こえる。すぐに左隣にいるスピカが気を利かせて通訳する。


振り向くと、いつの間にかレミリア王女が立っていた。


後ろにはアーミット将軍が控えている。



「レミリアさん。」


「ソラ様。私を呼ぶ時はレミリアでいいです。それで、どうしたんですか?」


「まだ眠れなくって。夜風にあたろうと外に出たんですが・・・・・・月や星がとても綺麗ですね。【深層】とは、とても思えませんよ。」



レミリアは僕の右隣に来ると、手すりに手を置いて、一緒に空を見上げながら言う。



「・・・・・確か、ここはダンジョンで、最下層の【深層】という所だと、ソラ様は食事の時に言っていましたね。明日ゆっくりお話ししようと思いましたが、まだ眠くない様でしたら、ここでお約束を果たしましょう。まず先に、ソラ様が言っている【深層】ですが・・・・・・・。」



レミリアは、撮影している僕の方を見て言う。


「ここはダンジョンでもないし、ましてや【深層】でもありません。・・・・・・・・ここは・・・・・・・・。」








「『ファイン帝国』です。」


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