38話 深層攻略1日目 2
チンッ。
アカリは刀を鞘に納める。
ズズンッッッッッッッッッッッッッッッッッッッ!!!!!
真っ二つに斬られたタコは、地面へと崩れ落ちた。
<コメント>
■はいぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ???
■はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ???
■何じゃこりゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!
■いやいやいや!ちょっと待て!ちょっと待てぇぇぇぇぇ!!!
■あの化物みたいな巨大なタコを真っ二つに斬っただぁぁぁぁぁ???
■あり得ねぇ!サイズの差がありすぎるだろ!刀でどうやって斬ったんだよ!!!
■斬れる大きさじゃないだろ!!!
■深層のモンスターだぞ!深層の!!!
■深層のモンスターを簡単に一人で倒しちゃったよwww
■つ~か何だよあのジャンプはw もう飛んでるじゃんw そのまま着地したけど、完全飛び降り自殺並みの高さ何だがwww
■もう意味が分からんwww
■絵面が怪獣対少女。もう何なの???
■ちょっと斬ってくるって言ったぞ!ちょっと斬ってくるって!!!
■ちょっとって何だよwww
■はい終わりってwww 余裕な感じでマジで草。
めっちゃコメントが盛り上がっている。
戻って来たアカリに質問してみた。
「アカリさん、お疲れ様です!ところで、どうやってあの巨大なタコを斬ったんですか?」
「ん?いつも通り、斬っただけよ?」
「いや!それじゃ多分視聴者さんが納得しないと思うので、もっと分かりやすくお願いします!」
「そう?えっと・・・・・まずは、こう振ってから、ジャンプしてこう斬ったの。」
アカリはちょっと考えてから、刀を抜いて実演する。
<コメント>
■でたwww
■いや。それじゃ分からんわwww
■アカリちゃん。もしかして天然?www
■さすが天才の思考。感覚で説明されても分からんwww
■どうやって斬ったのかが知りたいんだがw
■刀の長さとモンスターの大きさが違いすぎるから、どうやって斬ったのか知りたいんです!!!
■アカリちゃん。やっぱり可愛い!!!
■可愛いから何でもオールオッケー!!!
■ソラ!もっとアカリちゃんアップで!!!
アカリは実演した後に、僕の方へと来てカメラを覗き込む。
コメントを見たアカリは、少し顔を赤くして恥ずかしがりながら答える。
「あっ、ああ。そういう事ね。刀のリーチが足りない相手には、刀身に『オーラ』をまとわせて、素早く振り抜いて斬るの。そうする事でどんな相手でも、刀が当たれば、『オーラ』の強さによって数十メートルは斬れる。・・・・・分かった?」
<コメント>
■分かりません!!!
■すみません。分かりません。
■すみません。マジで分かりません。
■いや、意味が分かりません。
■オーラ?よく分かりません。
■アカリちゃんが可愛いからそれでいいです。
■アカリちゃんが赤くなった。超可愛いぃぃぃぃぃぃ!!!
■流石レベル7!!!天才という事でオールオッケー!!!
■凄いでごわす!!!
「よし!タコだから食べられると思いますので、せっかくだから少し持って行きましょう!アカリさん!タコの足!少し斬っといて!あっ、そうそう!ミニ知識ですが、下層までのモンスターは全て倒すと黒い灰になってドロップ品を落とすのですが、【深層】になると同じ様に黒い灰になってドロップ品を落とすモンスターと、このタコみたいに、そのまま死体となって残る二つのパターンがありますよ!」
<コメント>
■ほぇ~。
■へぇ~そうなんだ。
■不思議ですね!
■同業者だけど、深層に行ったことがないから初めて知った。勉強になるわ!
■ねぇ、今、持っていくって言った?持っていくって言ったよね???
■それ食べるの?・・・・・マジで???
■深層のモンスターって食べられるのか???
■聞いた事ないわ。私のクランもそんな事したことないわよ。
■ソラすげぇなwww
■さすがソラwww
■チャレンジャーwww
■ソラさんって意外とワイルドですよね!!!
アカリが最初に斬ったタコの足を、さらに小分けして斬っている。
僕はエイセイに言って、星空オフィスから今日の為に用意したクーラーボックスを転移してもらうと、小分けしたタコをメンバー全員で入れる。
入れ終わった後に、スピカに魔法で凍らせてから、また転移させて星空オフィスに戻す。
こうすれば、いつでも食べたい時に新鮮な状態で食べられるのだ。
僕はコメントを見ながら、いいギャグを思いついたので言ってみた。
「フフフフフ~。ワイルドだろぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ♪♪♪」
<コメント>
■古いわ!!!
■古いわ!!!
■古いわ!!!
■古いわ!!!
■古いわ!!!
■古いわ!!!
■古いわ!!!
■古いわ!!!
■古いわ!!!
■古いわ!!!
普通にツッコまれた。
☆☆☆
「おいおいおい。海の王者『バング』を倒したぞ。どうします?将軍。」
「・・・・・今までの【異人】とは違う様だ。こっちに向かって来てるな。フッ。少しは体を動かせる・・・・・か。レミリア様。【異人】が向かって来ておりますので、出陣します。」
将軍と呼ばれた鎧を着た青い肌をした男は、少女の前で跪くと頭を垂れる。
「アーミット将軍。お気をつけて。必ず戻ってくるんですよ?」
「ハハッ。いくぞ、ローレット。」
「おっ、行くんですか?いいねぇ。久しぶりに骨のある戦いが出来そうだ。」
将軍と呼ばれたアーミットは立つと、ローレットと部下を引き連れて要塞の外へと出て行った。
☆☆☆
「あれ。中から何か出てきましたね。」
大型のタコを倒した後、僕達は要塞へと向かっていると、その中から人型のモンスターらしき者が続々と現れた。
僕達は、そのまま要塞の入口へと近づく。
近づくにつれて、モンスターの様相が分かる。
僕達と同じ人間に近い。
違うのは、肌が青く、髪は薄緑色。耳の下あたりにエラの様な物が付いている。
30人以上はいるだろうか。
その集団の先頭にいるガタイのいい二人。
一人は鎧を着て腰には剣を。もう一人は、動きやすそうな皮の胸当てをしている。
僕達がその集団の前まで来ると、鎧を着たモンスターが何かを喋りながら腰から剣を抜いた。
「φδμЁЙξρШ」
<コメント>
■うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!結構出てきたぞ!!!
■初めて見るモンスターだ!!!
■深層モンスター!!!
■やっぱりモンスターの根城だったか!!!
■ん???
■何だ???
■何かモンスターが喋ったぞ!!!
■モンスターが喋った!!!
■何を言ったんだ???
■何かモンスターというより人間に近くね???
■喋ってる!!!
「あっ!そうか!分かりませんよね!ちょっと待ってくださいね!」
コメントを見て答えると、僕は目の前の集団に向かって叫ぶ。
「ЙξЖИ!」
?????
先頭の剣を持っているモンスターは、驚いた顔をして動きを止めた。
「視聴者の皆さん。実は僕達【星空】メンバーは、全員モンスター語?と言うんでしょうか。なんと喋れるんですよ!凄くないですか?なので、僕は彼らと会話をしたいと思いますので、視聴者さんにはエイセイさんに通訳してもらいます!エイセイ!いいかな?」
エイセイは、僕の隣まで来る。
「フフッ。インドダンジョンのモンスターから教えてもらった言葉がいきるとはね。いいよ。僕が通訳しよう。視聴者のみんな!よろしく。」
インドダンジョンの【深層】で出会ったモンスター。
殺さない条件で教えてもらった言葉がここでいきるとはね!ホント、分からないもんだ。
せっかくなので、隣にいるエイセイの横顔をアップにする。
<コメント>
■えっ?マジで???
■言葉分かんの???
■モンスター語を???
■意味が分からんわwww
■キャァァァァァァァァァァァァァァァァ!エイセイィィィィィィィィィィィ!!!
■エイセイが近い!近いぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!
■あぁ!もう幸せ過ぎる!!!
■ソラさん!グッジョブ!!!
■ソラさん!暫くこのままで!!!
僕はカメラを持ちながら、メンバーの前へと歩み出た。隣にはエイセイが視聴者に聞こえる様にカメラの近くに控えている。
「すみません。待たせてしまいました。」
鎧を着たモンスターに言う。
「・・・・・『少しだけ待ってくれ』と言われた時はビックリしたぞ。我々の言葉が分かるのか?」
「えぇ。前に違う島で教えてもらいました。」
「・・・・・そうか。して、どうしてここへ来た?」
「この島に来たのは初めてでして、何か情報が聞ければと思って来ました。もし、この島の事を知っているのでしたら教えてもらえますか?」
「フン。お前達は平気で我々に攻撃を仕掛ける。そんな者に教えると思ったか?・・・・・そうだな。ならば、実力で示してみろ。」
「実力?」
すると、隣にいる大柄のモンスターが前に出る。
「この者と、そして私と戦ってもらおう。もし勝てたら、分かる事は全て教えてやる。だが、負けたらどうなるか・・・・・・分かっているな?」
「ハッハッハァ~!たったの六人か。つまらんな。いいぞ!全員でかかってこい!」
そう言うと、そのモンスターは右手で手招きをする。
「・・・・・おい。今、全員って言ったか?」
後ろを見ると、クウガがニヤリと笑っていた。
あっ。
これ、結構キレてる。
「ソラ。みんな。俺が行く。離れててくれ。」
僕達はクウガを残して、数十メートル後ろへと下がった。
去り際に、僕はクウガに相手を殺さない様に小声で囁く。
あっちのモンスター達も、大柄のモンスターを残して後ろへと下がった。
<コメント>
■クウガ!!!
■クウガ出た!!!
■1対1!!!
■タイマンだ!!!
■モンスターって理性があるんだな!知らんかったわ!
■【未知の旅人】のメンバーだが、会話が出来るとは知らなかった。ネタバレになるから言わなかったが、あいつらは強いぞ!俺達はまったく相手にならなかった。だから深層に着いたら、あの要塞は無視して先に行ってたんだ。
■私は【魔女の集い】のメンバーだけど同じ意見よ。何人病院送りになったか。魔法も効かないし・・・・・あのモンスターは強すぎるわ。
■トップクランが勝てないモンスターに挑むクウガ。大丈夫か???
■流石に全員で行った方が良くね???
■クウガ!俺は信じる!頑張れ!
■クウガ様!頑張って!!!
応援コメントが流れている。
「クウガさん!視聴者さんが応援してます!頑張ってください!」
クウガはカメラを回している僕を見ると、笑顔で親指を立てる。
「おい。良かったのか?全員で来てもいいんだぞ?」
クウガはモンスターに向き直る。
「そっちこそ、全員でかかってきていいぞ?」
「ほう。気に入った!お前、面白いな!名前は?」
バンバンと両こぶしをぶつけながら嬉しそうにモンスターは叫ぶ。
「俺の名前は『クウガ』だ。そっちは?」
「俺か?俺様は『ローレット』だ。」
ローレットはゆっくりと構える。
それを見てクウガが聞く。
「・・・・・武器を使わないのか?」
「あぁ?俺様の武器はこれさ。今まですべて己の拳で倒してきた。」
ローレットは自分の拳を前に突き出す。
「そうか。」
するとクウガは持っていた大楯とハルバートを地面へと投げ捨てた。
<コメント>
■へっ???
■はっ???
■ほっ???
■ちょ、ちょっと待て???
■この流れは???
■あれ?何かデジャヴしたぞ???
■マジで???
■まさか???
■うそだろ???
■クウガ!ここは深層だぞ!!!
■トップクランが勝てないって言っているモンスターだぞ???
■やめろよ?マジでやめろよ???
■前にも言ったけど、フリじゃないぞ!フリじゃないんだからな!!!
クウガはローレットと同じ様に、両こぶしをぶつけると・・・・・叫んだ。
「かかってこいやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
ドンッッッッッッッッッッッッッッッッッッッ!!!
ローレットはクウガの顔面を思いっきり殴った。




