11話 クウガの下層ソロ攻略 3
「きっ君達は確か・・・・・。」
リーダーっぽい人が僕を見て言う。
「はい。僕達は【星空】です。撮影中に悲鳴が聞こえたので、駆けつけました。あっ、カメラまわしてますが大丈夫ですか?」
「それは構わないが、そうか君達が・・・・・。」
「宗太!ひまり!しっかりして!!!」
悲鳴に近い大声が、リーダーの声を遮る。
地面に横たわっている二人を、懸命に救命処置をしている仲間達。
だが、一人は太ももから下を。もう一人は肩ごと食われてなくなっていた。
血が大量に出ていて、あと少ししたら出血多量で死ぬだろう。
<コメント>
■うわぁ・・・・・これは酷いな。
■キモッ!!!
■マジか。
■足も、腕も元から食われてる。
■これは流石に助からないんじゃないか?
■忘れてたけど、これがダンジョンか・・・・・。
■うっ。吐き気が。
■これ、どうにかなんないのか?
■何とか助けられないの???
■何とかしてほしいのでごわす!!!
「どいてください!」
僕はすぐに横たわっている二人に駆け寄ると、リュックサックから緑色の液体の入った瓶を取り出した。
それを一本ずつ、二人に飲ませる。
すると、すぐに血が止まったと思ったら、欠損した足や腕がニョキニョキと生えてくる。
「・・・・・皆?」
「・・・・・あれ?私腕を食べられて・・・・・手がある。」
女性の方が驚いた顔で、生えた腕を見て手を動かしている。
「「「「「「 宗太!ひまり! 」」」」」」
仲間が一斉に二人に駆け寄って抱き合っている。
僕は立ちあがると、成り行きを見ていたリーダーが僕に近づきギュッと手を握る。
「あれは『緑ポーション』!!!そんな高価な物を我々の仲間に使ってくれるなんて・・・・・ありがとう!本当にありがとう!!!」
「いえいえ。探索者は助け合うのが基本ですから。たまたま僕達が通りかかかっただけですので、お気になさらず。でも、元に戻っても流した血は戻ってないと思うので、早く病院へ連れて行ってあげてください。」
リーダーとその仲間達は後で必ずお礼をさせてもらうと言ってから、僕が止めるまで、何度も、何度も頭を下げて、そして下層から撤退した。
<コメント>
■ソラぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!
■ソラさん!!!
■ソラ!!!
■お前かっけぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!
■ひょぉぉぉぉぉぉぉ!!!見た?みんな見た???
■生えたよ?ねぇ!足と腕が生えたよ!!!
■どうなってんだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!
■あれは緑ポーション!売りに出したら数億の代物だぞ!!!
■億???マジで???
■数億をポンと使うってwww
■ソラ、お前マジでカッケェなwww
■でも、そんな高価な物勝手に使って良かったのか???
■ありがとうでごわす!!!
僕はコメントを見ながら答える。
「折角ですから、これからも使うかもしれませんので、皆さんにポーションの解説をしますね。」
そう言うと屈みながらカメラを地面に向けて、リュックサックから色の違う五本の瓶を並べる。
「ポーションは全部で五種類あります。探索者の方は見た事があるポーションもあるとは思いますが、色によって効果が変わります。水色は簡単な傷だったり体力を。青色は大きな傷を。緑色は欠損レベルを。赤色は欠損や回復、一部のデバフを。そして最高級のこの虹色は全てを。心臓が少しでも動いていればすぐに全回復します。首を斬られてもすぐにかければ治ります。」
<コメント>
■ほぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!
■へぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!
■首斬られてもってwww
■初めて知った!!!
■すげぇな!!!
■俺もポーション欲しい!!!
■あのな。水色なら中層で手に入る事があるから売りに出る事が多いけど、それ以上のポーションはあまり市場には出ないぞ。
■だな。特に緑以上のポーションは滅多に出ない。たしか深層でドロップするんだったか?
■緑で数億って。それ以上は幾らになるのよwww
■流石に虹色は見た事はないが、確か赤がオークションに昔二回だけ出た時は、100億超えて話題になってた。
■100億!ファァァァァァァァァァ!!!
■そりゃそうだろ、腕や足がない人や病気で苦しんでいる人からすれば、喉から手が出る程欲しい代物だ。
■だな。市場に出れば、どんなことをしても欲しいだろうな。
「あっ、そうそう。勝手に使っていいかもコメントありましたね。それはですね・・・・・。」
並べたポーションを撮っていたカメラを、クウガが手で自分の方へと動かすと言う。
「それはな!俺達【星空】は、全ての決定はリーダーのソラに任せているからだ!だから俺達はそんな事に対しては何も言わねぇよ。」
<コメント>
■そんな事ってwww
■どんだけ【星空】メンバーは心が広いんだよwww
■それだけソラを信頼してるって事か。
■ソラ一般人なのにリーダーwww
■おい!!!さっきの奴!!!これ以上やめろよな!!!
■でも、普通に全部のポーション並べたけど、赤と虹のポーションがあってて草。
■それな。何で普通に持ってんだよwww
■これ。全種類売ったら、時価総額いくらになるんだよwww
■流石【星空】って事か。
■クウガ様のお声カッコイイですぅぅぅぅぅ!!!
■いい勉強になったわwww
僕はポーションを片付けてリュックサックを担ぎ直す。
「さて!ちょっとトラブルがありましたが、これで二階層は終わりですね。最後の三階層へ下りましょう!」
歩き始めて僕は思い出した様に付け加える。
「所で、何でこんなにポーションを持っているかといいますと・・・・・クウガだからです!!!」
<コメント>
■納得。
■納得。
■納得。
■納得。
■納得。
■納得。
■納得。
■納得。
■納得。
■納得。
また同じコメントが並んだ。
☆☆☆
三階層へと降りると、水の音が聞こえる。
少し進むと見えてきた。
川だ。
しかも結構大きい。
前の滝と同じ様に、ダンジョンの薄明かりと相まってとても幻想的だ。
僕はアングルを川へと向ける。
「皆さん。川です。何と言うか・・・・・綺麗ですね。」
<コメント>
■確かに。
■これは綺麗だわ。
■カップルで行ったら最高だな。
■デートスポットにいいねwww
■下層だけどなwww
■俺には無縁だけどwww
■僕も無縁ですw
■分かるでごわすw
僕は隣にいるクウガと一緒に川辺で撮影しながら言う。
「そういえばクウガさんにあまり質問してなかったですね。前回と同じ様に、良さそうな質問は拾っていきますのでお楽しみに!」
<コメント>
■身長はどの位あるんですか?
■どの高校に通ってるの?
■どうやったらそんなに強くなれるんですか?
■クウガ様!携帯番号を教えてください!!!
■クウガ様!大好きです!付き合ってください!!!
■クウガ様!一緒に旅行に行きたいです!!!
■私も!!!
■俺も!!!
だんだんまた変な質問になってきている。
僕は川から隣にいるクウガにカメラを向ける。
「クウガさん。視聴者さんからです。どうやったらそんなに強くなれるんですか?」
クウガはカメラを見た後、また川へと視線を戻して答える。
「俺と同じ様にか・・・・・そうだな、一言で言うなら、より多くの強いモンスターの攻撃をくらう事だな!!!」
<コメント>
■はっ???
■何???
■何言ってんのこの人???
■攻撃をくらえってwww
■言ってる意味が分からんwww
■同業者ですが、流石にそんな事やろうとはしませんよ!!!
■死んじゃうじゃんwww
■死ぬわ!!!
■まるきり参考にならなくて草。
■俺達とは次元が違いすぎて草。
出来ないコメントが流れる。
気持ちは分かる。僕だって無理だ。・・・・・痛いし。
でも、クウガは小さい頃からそれを実践していた。
ずっと。
皆を守る為に。
何度も何度も、数えきれない程、死ぬ思いをして。
まぁ、うちのヒーラーが大変な思いをしていたけどね。
「・・・・・ソラ。ちょっと下がってろ。」
クウガが、僕の肩を掴んで優しく後ろへと押す。
そのまま僕は、後ろへと下がり、距離をとる。
カメラ越しに見ると、川の水面から泡が辺り一面に出ている。
暫くすると、そこからモンスターが川辺へと上がって来た。
何匹も、何匹も。
体長は1m60cm位か。そこまで大きくはない。
魚の格好をしているが、手も足も付いている。
両手には鋭い爪が光っていた。
「あれは・・・・・『ディープ』ですね。下層に生息している魚人です。」
<コメント>
■きたぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!
■うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!
■新しいモンスターきたぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!
■オイオイ!何匹いるんだよ!!!
■あいつらの爪はヤバいぞ!全部ナイフだと思った方がいい!!!
■あいつらは集団で行動するから、囲まれて全滅するチームが多い。逃げて一匹ずつ引き付けて戦うのがセオリーだ!
■でも行くんだろうなwww
■クウガ!今度こそちゃんとやれよ!!!
■ちゃんとやれよ!!!
■マジでフリじゃないからな!!!
■クウガ様!頑張って!!!
すでに、『ディープ』は数十匹、いや百匹以上はいるか。川辺に上がり、クウガに近づいて囲もうとしている。
クウガはハルバードを肩でトントン叩きながら言う。
「今回は数が多すぎるか。俺一人ならいいけど、ソラに万が一にも危険にさらせるわけにはいかねぇからな!」
右手に持ったハルバードを横に広げた。
「さぁ・・・・・かかってこいやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
「ギャ!ギャ!ギャ!ギャ!ギャ!ギャ!ギャ!」
数十匹のディープが一斉にクウガへと襲い掛かる。
フォン。
風が舞った。
その風が僕の方にも届き、砂がかかって目をつぶる。
目を開けると、飛び上がったり、懐に飛び込もうとしていた数十匹のディープは、一瞬にして倒されていた。




