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ハーレム終了③

 ハーレムを解体したリュカたちは、帝都の城に間借りすることになった。

 ハーレムの一番の目的である「子作り」のは一旦停止状態なので他の男を排除する理由がなくなり、もう一つの目的である「外部からの干渉を無くすこと」はできなくなるが、それでも大きな問題にならなかったのである。

 他にも「豪華なハーレムを作る事で、帝国にそれだけの力がある事を属国に見せつける事」など、その他の細かい理由は最初から考慮の外である。


 城にはハーレム以上に厳しい基準で揃えられた侍女が詰めているが、残ったハーレムの侍女と城勤めの彼女たちの助けを得て、リュカたちは何とか生活をしていた。





「まぁ、魔法が使えるだけの平民生まれじゃ、この結果も仕方が無かったかな。

 俺が一番輝くのは、やっぱり戦場だからね」


 ハーレムが解体となった一番の理由は、リュカのカリスマ不足である。

 リュカが侍女たちに軽んじられる隙のある人間だったから、ハーレムは維持できなかった。リュカはそのように分析している。


 実際、一兵士時代のリュカも、自分たちの部隊の隊長を見て様々な感情を抱いた。

 「この人に任せておけば安心だ」と思わせてくれないと、部下は行動に迷いを持ち、能力を発揮できない。

 部下に舐められる、軽くみられる隊長が率いれば部隊の動きは悪くなり、部下から尊敬される隊長が率いる部隊の動きは良くなる。


 「どれだけ駄目な上司の下についても、部下は任された仕事は全うしなければいけない」と言ってしまえばその通りなのだが、それを言うなら「どんな駄目な部下が下に来ても、上司は部下を使いこなさなければいけない」と言い返すこともできる。

 他人に言われれば腹も立つだろうが、リュカは問題が起きた時には自主的に内省する習慣をつけていた。


 リュカは自分が尊敬される上司ではなかったのだと反省するのだった。



 リュカの分析だが、そこまで大きく間違っていない。


 貴族に生まれれば、どうしても平民を下に見てしまう者が多くなる。

 純粋に教育水準が大きく違う。求められる資質が違う。幼い時から上流社会のマナーを叩き込まれた者とそれ以外では、纏う雰囲気そのものが違うのだ。


 無論、貴族の中にも平民未満の残念貴族が存在するのだが、リュカの周りは侯爵・公爵といった上級貴族の方が多いため、その割合は低くなる。

 貴族の中でも上澄みの者たちばかりだったので、求められる水準が高くなり、ハーレムの秩序が破綻したのだ。

 これは才能次第で埋められなくもないが、リュカにその才能は無かったのである。



 リュカが認められる一番の部分。

 これは魔法能力の凄さだが、これは実際に見る機会が少なく、凄いとは分かるが実感を伴わない。

 平民として粗野な部分は、善意で見れば率直な物言い、裏表のない態度と見る事もできるので、人によっては新鮮さを感じただろう。生まれや育ちが全く違う男女が惹かれ合う恋愛物語など珍しくもない。


 ただ、ここ数年は大きな戦争もなく、国同士の揉め事はセレストやディアーヌが主体となって解決していたため、リュカの出番はあまりなかった。

 リュカの存在が地味になっていたのである。

 リュカの凄さは何も変わらないのだが、リュカの価値は変動する。

 “本当にこの人は凄いのか?”と思うようになるのだ。



「戦争など無くとも、治水などでは大きく活躍しているのですが……目に見える分かりやすい功績の一つでもなければ、人は付いてきてはくれないのですよね」

「抑止力としては最高なのにね。分かる人にしか分からないわ、リュカの価値って」


 嫁たちはリュカの価値を正しく認識しているので、リュカを軽んじる様子はない。

 だが、侍女たちは嫁たちほど高い視点を持っていなかったため、どうしてもリュカの評価が感情的になる。好きと嫌いで、その価値を見誤るのだ。だから馬鹿な事も仕出かす。





 失敗を思い出すと、場の空気はどうしても悪くなりがちだ。

 他人の悪い部分ばかり口にしては、良い空気は生まれないのである。


「反省は一旦止めにしましょう。これからについて話し合いませんか?」


 そこで、ディアーヌは場の空気を換えるために反省を打ち切り、今後の相談をすることにした。


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