ハーレム終了④
「ハーレムは、これで終わりにする」
今後の話を、そう切り出したディアーヌに、リュカは最初に前提を提示した。
「外部の干渉はディアーヌやマリアンヌが上手く押さえてくれている。今後も苦労を掛けるが、俺では手を貸せないからな。そこは頭を下げるしかない。
ただ、男子禁制の後宮は、もう作らない。
維持の人員がああなってしまうし、今後は子供たちのために、他の同年代の子供らとの交流を持ちたい」
リュカは、そもそもの予定として、ハーレムの解体を考えていたことを明らかにした。
ハーレムは、必要があったから、維持していただけ。
その必要性が薄れたこともあるし、維持が困難になったのだから、解体するのが自然な流れだとリュカは言う。
これに一番反応したのは、コレットだ。
彼女は心情的にハーレムが維持されていた方が都合が良いため、喋れないので無言ではあったが、明確に否定の意思を示した。
だが他の3人は、リュカの言葉に同意した。
ディアーヌ達はハーレムに明確なメリットを見出だせなくなっていたからである。
ハーレムにおける嫁たちの目的は、各々で違う。
ディアーヌは、リュカが好きだから。
マリアンヌは、政治基盤の強化。
セレストは、商売で返り咲くため。
コレットは、身の安全。
違うからこそ協力もできたが、今では色々と前提が違う。
ディアーヌは、外に出たリュカと一緒にいたい。子供もできたので、公私に渡るパートナーとしての地位を、より強くしたい。
マリアンヌとセレストは、既に目的を果たしている。リュカのバックアップが無くとも、2人は自分の力だけでもやっていける。
身の安全、穏やかな世界が欲しかったコレットの願いは、ある意味では一生もので、こんな、たった数年で手放せるものではなかった。
そこに、意識の差があった。
コレットにとって、ハーレムはいつまでも続いてほしい揺りかごだったのだ。
こんな終りは考えていなかった。
「安心していいぞ。ちゃんと、守るから」
リュカはコレットの不安を感じとり、笑いかけるが、コレットは安心などできない。
見知らぬ誰かが簡単にやってこれる場所など嫌なのだ。数が多かろうが、見知った人間だけの世界の方がいい。そうすれば、傷つけられずに済む。怖いことなどない。
とは言え、それは無理な話だ。
今回のリュカのハーレム終了宣言は唐突であったが、ハーレムはずっと維持されるものでもない。世継ぎの子がある程度育った時点で解散されるものである。
嫁たちも、子供を産むのが危険な年齢になれば、出ていくのが普通だ。
コレットであれば、あと5年かそこらで追い出される。この帝国の常識では、それが女性が出産に耐えられる年齢であるからだ。
もっとも、リュカのハーレムは事情が特殊なので、そういった話は無かったのだが。
子供を作る予定がなければ、ハーレムは不要。
リュカの言葉は、何も間違ってはいない。
これを起点に、話し合いは進むことになる。




