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ディアーヌ④

 リュカが考えた事は、若返ったディアーヌがリュカの知るディアーヌと同一人物かどうかだ。

 結婚したとき17歳だったので、15歳となると、その2年前から名が売れていたリュカの話を知っているはずである。

 その時に結婚の話が出ていたかどうかは知らないが、そういう話もある、その程度に言われていた可能性が高い。


 そしてリュカとの結婚に対し、前向きであればリュカの知るディアーヌと同じと考える。

 そうでなければ、別人だと考え、その意思を尊重する。


 リュカが結婚する前に皇帝と交わした約束では、「リュカとの婚姻は嫁の側が望まない場合、いつでも破談にできる」という項目がある。

 ディアーヌがリュカとの別れを望めば、リュカの側にはそれを引き留める手段が無い。

 当時のリュカはハーレムの人数が減るならその方が良いと考えていたため、自分が引き留めるという事は考えていなかったのだ。

 子供ができた後まで意識していなかった事は、痛恨の失態である。





「髪の毛と同じなんだよ。髪を切ったところで、体の欠損や怪我とは認識されない。それと同じなんだ」

「では、怪我などで記憶を失った場合は?」

「ああ、あれは怪我のショックで記憶が混乱しているだけで、怪我が治れば元通りだよ。今のディアーヌの状態とは違うから、同じには扱えない話だね」

「……こうして、自然に呼び捨てにされると、少し照れますね」


 リュカはディアーヌとの話し合いに挑戦してみた。

 ディアーヌとの話し合いを持たずに、結論が出ないからだ。


 記憶をなくしたディアーヌは、現状への不安からより多くの情報を求めており、リュカと魔法談義をする事で気を紛らわせていた。

 気が付いたらいきなり人妻になっており、子供が二人もいると聞かされた時のディアーヌはまともに思考ができないほど混乱していた。

 こんな状況になって冷静でいられるほどの落ち着きを持っている人間の方が希少だろう。混乱したディアーヌに非は無い。

 落ち着くために必要な手順を理性的に踏んているので、15歳としてはよほど心が強い方だろう。


 そんなディアーヌを、リュカは冷静に観察する。



 リュカの見立てでは、ディアーヌは「必要だから」リュカに対して好意的に振る舞っているが、心からリュカに何かを感じている様子はなかった。

 感情の揺らぎが小さく、「重要人物である事は分かるが、個人的には全く関係の無い他人」を相手にしているのだと理解した。

 これが元のディアーヌであれば自分の感情の揺らぎすら制御し、相手に本心を悟られないように振る舞えるのだが、今はまだそこまでの技術を持っていなかった。


 リュカから呼び捨てにされた時は、違和感を感じ気分を少し害したような反応を見せていて、照れた振りでそれを誤魔化していた。

 未来の話を、事実としてまだ受け入れてはいない。

 そういった事もあり、目の前の若いディアーヌを、リュカは自分の嫁だったディアーヌと結び付けられない。



 リュカはジェラールの魔法の残滓からディアーヌの記憶をいつでも元通りにできるように状態を覚えておくと、もう少しだけ雑談をして、一つの判断をする。


 ディアーヌはその翌日、結婚前にいた皇城へと送り返された。

 落ち着くまではハーレムに戻らなくていいと、一言添えられて。


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