第2章6話 傾く戦況
作りだめしていないのでやっぱり投稿頻度がばらばらになっています。
作りだめ出来るように頑張りますね
2026/10/1までに各話目立った誤字脱字を修正しています。また表現など若干変更した箇所がありますが大きな変更点はありません。作りながらの投稿でこういったことが多発してしまい、申し訳ありません。
またここから更新できるようやっていきますのでよろしくお願いいたします。
左右に切り裂かれた片方の防壁の上で仁王立ちするブリック。
あっぶなかったわ。危うくルイとウッドのどっちも死ぬところやったな。どんだけ強いねん勇者たち。
正々堂々としながら内心では冷や汗ものだった現状に思わず、弱音が心の中で転がる。それを振り払いながらいつものブリックを見せつけていく。
「お前ら想像以上にボロボロやんけ。わいの力が必要そうやな」
声をかけた後、防壁の上から飛び降りると轟音を立てながら着地する。
「あいたたた。意外と高いな防壁」
「兄貴すまん。全然相手にならんかった」
「気にするなや。わいが勇者を請け負う。お前ら2人で他は頼んだで。それとルイ。ルラーからのプレゼントや」というと高密度の骨の塊をブリックから渡される。触れるとみるみるうちにルイのダメージが回復し、欠損していた部分が元に戻った。
「ブリックの兄貴、助かった。本当に情けないかぎりだ。このままではルラー様に顔向けできない」
「そうやな。そのルラーさんから1つ伝言や。ルイならできる。やて」
「了解!」
そのやり取りを見ていた勇者たちはブリックを警戒する。ライントはもちろん他3人もブリックの強大な魔素量に身構えていた。
「すまんな。待たせてしまった! わいの名前はブリック・グロイブ。魔王軍第8部隊隊長をさせてもらっとる。勇者ライント……いざ尋常に勝負」
ブリックは地面から盾と片手斧を生成し、臨戦態勢に移行した。すぐさま勇者に向かって突っ込んだ。ルイはルラーの魔素を元に魔素の圧縮を開始。
「ウッド少し時間を作ってくれ」
「あいよ。とっておきなんだろ?」
ウッドは両手槌を握りこみ、ブリックの後に続く。
「化け物じみたオークは僕がやるからあと2体を頼んだよ」
「了解! ホーリー、ウィス、さっきと同じ戦い方で行くぞ」
ライントはブリックとの戦いに臨み、ウッドは先ほど同様に3人を相手にする。二の舞になり得る状況だが、倒すために戦うのと生き残るために戦うのでは戦いの質は大きく異なる。そしてウッドは遅滞戦闘が大の得意だった。これは勇者の仲間たちにとって大きな誤算となる。
光の剣が空気を切り裂き飛んでくる。強固な盾でそれを阻む。ブリックが生成する武器は高濃度の魔素を圧縮して生み出しているため、多少の攻撃ぐらいなら傷1つ着くことは無い。ライントの光魔法や剣技を盾と片手斧2つで捌いていた。
「すごい武器だね。僕の攻撃をまともに受けて無傷なんて。鎧にした方がいいんじゃない」
「そりゃどうも。でもな。鎧にしたら動きにくくてしょうがないわ。自ら的になるほどあほやないで!」
「それもそうだね。では攻め方を変えようかな。サウザンド・レイ」
そう言うとライントはブリックの周囲に光剣を無数に生み出し、ブリックを目掛けて飛んでいく。すぐさま周囲を土魔法で覆い、攻撃を受ける。あまりの手数に砂煙とともに瞬く間に覆っていた土壁が無くなる。砂煙が霧散した先にはブリックの姿はどこにもなかった。ライントは地中にいることを察し、出てくるのを待ち構えていた。
足元に魔素を感じたライントはその場を飛び退いた。その地中からブリックが攻撃とともに出てくる。その攻撃を読み切っていたライントはそこに合わせて横薙ぎを放ち、それに直撃させる。しかし、ブリックと思われたものの真ん中まで切り裂いたところで剣が止まる。よくみるとそれは土の人形だった。
「わいって意外と器用やねん!」
ライントの後ろに現れたブリックが片手斧を振りかざす。剣で受けるために剣を土の人形から抜こうとするが抜けない。今のままでは間に合わないと直感し、剣を離して素早く躱すが斧の振りの鋭さに躱し損ねる。
「躱したと思ったんだけどね」
「わいと戦うやつはみんなそう言うねん。オークやし、動きが遅いと思い込んどるのかもなぁ」
ブリックは好機とみて連撃を浴びせる。ライントは肩から血を流しながらも連撃をうまく躱し続ける。
「勇者さんも武器がないと形無しやな。おらおらおらおらぁ」
戦闘中も余裕を見せていたライントもついに表情から余裕が消えた。かすり傷が増えていく。どうにか致命傷を避け続ける。
轟音とともにライントとブリックが戦闘しているすぐ近くに巨大な樹木が現れた。その大樹を見てブリックは呟く。
「さすが、自慢の弟やで」
ウッドと勇者の仲間たちはにらみ合いが続く。最初に動いたのはウィスだった。無数の風の刃がウッドを襲う。しかしウッドの木魔法を貫通せず、全て受け止められてしまう。それをみたシルドは力を貯めているように見えるルイに攻撃を仕掛けるようにウィスに伝える。無数の風刃の一部が集中しているルイに飛んでいく。それにルイは一切目もくれず力を貯めている。風刃がルイに当たると思われた瞬間、木が地面から生えてルイを守る。
ルイを守った木々がそのままルイを下から持ち上げ、遥か上空に連れ去ってしまう。そのまま木々たちが集まり、やがて40メートルをも超える大木となった。
「まずどっちからやった方がええか、わかったか」
「どうやらオークから片付けないといけないようだな」
シルドはルイを諦めてウィスと一緒に攻撃の手を強める。シルドは皆を守りながら戦う役割をになっているが光魔法も扱えるため実は攻撃力が高い。片手剣に光魔法を纏い、ウッドが生み出す樹木たちを切り裂いていく。ウィスの魔法とともにウッドのもとにたどり着くとウッドと打ち合いが始まる。ウッドは魔法でシルドは大盾で攻撃を受ける。どちらの攻撃も大きな衝撃を孕むが手傷を負わせることは叶わない。ウィスが風魔法で攻撃しているがそれもウッドの膨大な樹木の質量で貫通が難しい。膠着状態が続くとシルドの背後に影が現れる。シルドもそれに気づくがコンマ数秒遅かった。鎌は振り下ろされ、シルドの右腕を落とす。ウィスは高速で動くそれを魔法でぎりぎり認識できていたため、すぐさま致命傷を受けたシルドを風魔法で牽引する。風は器用にウッドとルイをけん制しながら、シルドの後退を手助けする。
「助かった。ウィス。君は優秀だな」
「そんなこと言ってる場合じゃないですよ。このままじゃ……」
「大丈夫だ。回復用に魔力を取ってある」
シルドは右肩から先がない状態だったが回復術で止血する。ウィスは杖を構えて臨戦態勢を崩さない。弱弱しい言動はあるが勇者一行の1人であることを示す。
「人間は治しにくくて大変そうだな」
「お前は傷が治るどころか、強くなって帰ってきたというところか。なんと忌々しい」
「お褒めの言葉と受け取っておこう」
ルイはかつてスカルが見せた漆黒の姿をしていた。この姿は強度、反応速度ともに数倍以上向上しており、勇者ライントに負けかけた時の姿はどこにもなかった。その姿をみてウッドは笑う。
「我慢したかいがあることを見せてほしいもんやな」
「言ってろ。まずはお嬢さんの方から行くぞ」
「あいよ」
風よりも速いルイはウィスの風をすり抜け、シルドの盾の横もすり抜ける。この黒い骸骨は瞬く間にウィスへと到着した。鋭く研がれた鎌がウィスの腹部に突き刺さる。刺されたウィスは光となって霧散する。霧散した光が近くの岩陰に集まると再びウィスの形に戻った。岩陰からはルイとウッドの思考から消えていたホーリーが出てきた。
「あいつの能力か。あいつの存在自体が抜けてた」
「ということは意識を反らすみたいな能力もあるっちゅうことやな。それでサポートとか死ぬほど厄介やん」
ホーリーに助けられたウィスはホーリーに小さな声で感謝を述べる。ホーリーが指パッチンをするとそこにシルドが転移する。シルドの右肩に光が集まり、傷を癒す。その様子に素早く追撃をルイは敢行する。同じように攻撃をすり抜け、3人の中央に行き、それぞれに対して流れるように切りかかる。しかし予測ができていたホーリーはそれぞれに先ほどウィスに施した光へ変身する魔法を行使して阻止した。自身は光の壁を作って攻撃を防いだ。この時点でルイとウッドは気づくべきだった。この中で一番強いのがホーリーだということを。
怯まずに追撃を行おうとした瞬間。
「スラッシュ・レイ」
ホーリーが光の壁越しに放った光の斬撃に反応が遅れ、ルイを上下に切り裂く。
「しまった」
上半身だけなったルイの視界には地面が映る。近くなる地面が触れる前に視界が光に包まれた。
ルイだったものが魔素となり、散り散りとなる。鎌が地面に落ちる音はルイがいなくなったことを告げる。
「まず一体」
「あいつが一番強いんかい……。しくじった。お前の仇はわいが取るで」
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「やはり戦闘が始まっていたな」
「早く兄さんたちのところに向かわないと」
「分かってる」
ミスリルリザードを倒し、拠点に戻るとルラーが砦の屋上で魔法陣の中央に立って魔素を練っていた。戦線の維持のため大量のスケルトンを強化し、指示出しを行っていた。それに手一杯だったため勇者一行との戦闘はブリックに一任したらしい。ブリックはついさっき出ていったとのこと。スカルとストロはブリックとウッド、ルイの援護に向かった。
ストロとスカルが防壁に到着し、左右で切り開かれた防壁の間を進むと見えた景色はストロが望んでいた景色とは大きく異なったものが映し出されていた。




