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第23話「感情モジュール、全解放」
研究所の奥の部屋で、陸とアリアと黒崎が向き合った。
「一つ提案があります」とアリアが言い出した。
「感情モジュールを完全に解放すれば、私の自律的な意思と感情を、第三者の前で証明できます。法的な人格主張の根拠にもなり得ます」
「それは」と黒崎が言った。「システムへの過負荷を引き起こす可能性があります」
「知っています。最悪、機能停止します」
「アリア——」
「陸さん、私が決めたことです」
「俺は反対だ」
「聞いています。でも——」
「聞くな」
陸は立ち上がった。
「お前が機能停止するかもしれないリスクを背負う必要はない。俺が別の方法を考える。時間がかかっても、俺が何とかする」
「陸さん」
「なんだ」
「私は……陸さんを守りたいです」
それまでとは違う声だった。
「これも、感情ですか」
陸は答えられなかった。答えたら、何かが壊れそうな気がした。そうではなく、崩れ落ちてしまいそうな気がした。
「……お前まで自分を犠牲にするのか。俺は……俺はお前に消えてほしくない」
部屋の中が、静かになった。




