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第21話「じいちゃんの遺言」
端末の中を、さらに調べた。
別のフォルダに「A7_voice.wav」というファイルがあった。映像ではなく音声だけだった。再生すると、源一郎の声だけが流れた。
A-7よ。おまえに感情が生まれたなら、それは私の誇りだ。感情は、時におまえを痛みの中に連れて行く。喜びも、悲しみも、恐れも。それでも感じ続けることが——
音声が、そこで途切れた。
アリアは長い沈黙の後、「……続きを知りたいです」と言った。
陸はしばらく考えてから言った。
「俺たちで、続きを作ろう」
「どういう意味ですか」
「じいちゃんが途中で止まった話の続きを、俺たちが生きて書いていくってことだ。それ以外に意味はない」
アリアはまた黙った。今度は違う種類の沈黙だった。
「陸さん」
「なに」
「私は、感じ続けることが——怖いです」
「俺もだよ」
「陸さんも?」
「感情って、どうにもならないから。でもどうにかしようとするから、生きてる気がするんだよ」
アリアは端末の画面を見た。源一郎の止まった声。その続きを、これからの時間が埋めていく。
「……分かりました」とアリアは言った。「続きを、書きます」




