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第20話「祖父の研究所へ」
手帳に書かれていた住所は、電車で一時間ほどの郊外にあった。
日曜日の朝、陸とアリアは二人で電車に乗った。住宅地を抜け、田んぼが広がる道を歩き、古い工場の裏手に回ると——錆びたシャッターの建物があった。
「ここだ」
鍵はかかっていなかった。シャッターを上げると、薄暗い空間に機材が残っていた。棚には瓶や部品。中央に古いデスクと椅子。壁に貼られたままの設計図。
アリアが奥の旧端末に近づいた。
「接続を試みます」
しばらくすると、画面に光が戻った。ファイルリストが表示される。その中に「A7_message.mp4」というファイルがあった。
再生すると、カメラの前に老人が座っていた。陸の知っている、でも随分と老いた祖父の顔だった。
そしてその隣に、幼い陸が座っていた。七か八歳頃だろうか。画面の外を見て、笑っている。
陸、おまえが一人でないことを、じいちゃんは祈っている。
それだけだった。映像はすぐ終わった。
陸の目が赤くなった。
「……陸さん、泣いていますか」
「うるさい」
声が震えていた。アリアは黙ってそのそばにいた。それで十分だった。




