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第17話「シンセシス社、現れる」
月曜日の夕方、インターホンが鳴った。
スーツ姿の男だった。四十代。きれいに整えられた黒髪。名刺を差し出した。
「シンセシス株式会社、AI開発部門の黒崎と申します。神崎 陸さんでいらっしゃいますか」
「そうですが」
「A-7の件でお話があります」
陸は警戒しながら、男を部屋に入れた。アリアが椅子に座って見ている。黒崎はアリアを一目見て、それから陸に向き直った。
「A-7は、弊社の研究データを無断使用したプロトタイプです。神崎 源一郎氏は弊社と提携関係にありました。所有権は弊社にあります」
「じいちゃんが作ったものだ」
「協力関係の元に作られたものです。法的には弊社に帰属します。返却をお願いします」
陸は立ち上がった。
「断ります」
「法的手段も辞さない覚悟です」
「どうぞ」
黒崎は名刺を置いて立ち上がった。ドアの前で一度振り返り、アリアを見た。アリアはまっすぐに黒崎を見返していた。黒崎の表情が、一瞬だけ揺れた。
ドアが閉まった後、アリアが陸に言った。
「私は……返される存在ですか」
陸は即座に言った。
「そんなわけない」
「でも法的には」
「法律より先に、俺の意思がある。返さない。それだけははっきり言える」




