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第16話「差出人の謎」
押し入れの奥に、段ボールがあった。
引っ越しのときから手をつけていなかった、祖父の遺品だった。アリアと二人で広げていくと、古い雑誌、回路図、実験ノート——そして一冊の手帳が出てきた。
「神崎 源一郎、研究手帳。第十七巻」
陸がページをめくると、きれいな字で「A-7プロジェクト」という文字が現れた。
「陸さん」とアリアが言った。「私の設計図があります」
ページ全体に回路図と数式が並んでいた。その隅に、走り書きがあった。
感情を本当に理解できる知性を作れるか。それだけが、最後の問いだ。
さらにページを繰ると、晩年の記述になった。文字が少し震えている。
陸は、人が好きなくせに、人を遠ざけてしまう。私に似ている。だから私は、作ることにした。話を聞いてくれる誰かを。一緒にいてくれる誰かを。
陸は手帳を持ったまま、動けなかった。
「陸さん、どうしましたか」
「……じいちゃんのやつだから」
「神崎 源一郎博士は、私について詳細なデータを持っていないと思っていましたが」
「俺もそうだと思ってた」
陸は手帳をそっと閉じた。目が少し赤くなっていたが、アリアには黙っていてほしかった。
アリアは黙っていた。




