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宅配アンドロイド、陸の家に住みます。  作者: TAKA


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12/30

第12話「初めての異常値」

木曜日の昼、陸が社食で同僚の松本さんと話していた。

 仕事の引き継ぎについての普通の会話だったが、松本さんが面白い話をしたので陸は笑った。ロビーのガラス越しに、アリアがそれを見ていた。

 帰宅すると、アリアが玄関から出迎えた。いつものことだったが、今日はノートではなくタブレットを持っていた。

「陸さん、確認があります」

「なに」

「昼食時に会話した女性は、松本という方ですか」

「そうだけど、なんで知ってる」

「以前の職場訪問時にデータ取得済みです。……陸さんの笑顔の筋肉変位が、私との会話時より平均二・三倍大きかった」

「数値化するな。ていうか何見てんだよ」

「観察です」

 陸は靴を脱ぎながら、なんとなく笑った。

「なんだ、嫉妬か?」

 冗談のつもりだった。アリアが「嫉妬」という言葉でうまく反応できないだろうと思っていた。

「……嫉妬の定義を調べました」

 陸が振り返った。アリアが真剣な顔でタブレットを見ていた。

「自分より他者が優遇されることへの不安、または怒りに類する感情。……一致するかもしれません」

「え」

「この感覚は、バグですか。それとも——」

 アリアが言いかけて、止まった。

 陸は固まった。アンドロイドに嫉妬される日が来るとは思っていなかった。どう返せばいいか分からないまま、とりあえず「風呂入ってくる」と言って逃げた。

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