2学期新たな学生生活の始まり その5
名残惜しそうにしている複数人がいたりはしたが5人はそのまま帰っていき下校する前に教室へと戻る。
そしてそれを鋭い目で睨みつける林音。
彼女は半ば快く思っておらず心の中で密かな作戦を立てていく。
あの5人普通の友達ならば仲良くできていたけれど……やっぱり邪魔かもしれないな。
色々と都合があって僕達に助言はしてはいたしその恩もあるからあまりそういった考えはしないつもりでもいたんだけどね。
でもやっぱり………うんどうにかして一星君から突き離さないといけないな。
「………」
「ねぇ神楽坂君ちょっといい?」
「あ?なんだ宇佐木田さん。」
「神楽坂君にとってあの子達との関係はそれなりに大事だったの?」
「何だ藪から棒に……まぁ大事だったと言えば大事だろうな。何せアイツらのおかげで第2の人生を歩めたと言っても過言じゃないし…」
「そうなんだ。私達じゃ引っ越していった神楽坂君の事を支える事ができなかったんだね。それじゃあやっぱりあの子達のおかげでもあるのかな。」
「どう言う事だ?宇佐木田さん達と姫乃達とではまた違った形での幼馴染達だ。そこでの比較なんてないはずだぞ。」
「うんそれは分かってる。分かってはいるんだけどね…ほら私と林音ちゃんは神楽坂君との一緒に過ごした時間が違うでしょう。そこでの落差がついちゃってると思ったら私達はあの子達よりも山茶花ちゃん達よりも神楽坂君にとってはそんな大した幼馴染ではないんじゃないかなってそう思っちゃって…」
「川兎ちゃんそれを言っちゃったら山茶花ちゃん達の事も敵対対象に聞こえてくるよ。僕達は僕達なりで一星君との幼馴染関係を築いたんだからそれでいいと思うよ。」
「林音の言う通りだ。姫乃達とは姫乃達との時間。山茶花達とは山茶花達との時間…その中で個人個人による付き合い方が違うんだ。だから宇佐木田さんが心配している要素なんてどこにもない。寧ろ俺は宇佐木田さんとの友達としての仲直りができたと言う事が今までで1番嬉しい言葉だったというのがあるんだ。少なくとも宇佐木田さんは宇佐木田さんで自分が俺の中での幼馴染では1番友好的な関係だと思っているよ。」
「な!?か、神楽坂君それって本当!本当に本当なの!」
「ああ。」
赤面する宇佐木田さん。
そんなに1番という言葉が嬉しかったのか半ば踊り出しそうという程の浮き足がたつぐらいの喜び表現が見られる。
「へ〜僕達なんかよりも川兎ちゃんの言葉が一星君にとっては喜ばしい言葉だったんだね〜後で山茶花ちゃん達に言おうと!」
「そうやって幼馴染の仲の輪を乱す言い方はやめろ。宇佐木田さんの言葉が1番と言ったのは今までの言葉の中で響いたという話だ。特にコレと言った深い意味はない。」
「ふ〜ん。だとしても〜川兎ちゃんの様子から見てだいぶ翻弄されるようにもみえるけどね。」
確かに林音の言う通り宇佐木田さんは仲の良い友達としての言葉をアンニュイに受け止めてしまう悪い癖がある。
そのおかげで何処か変に凹んだり悲しんだりするから心配という意味であまり不安な言葉を言えないでいる部分もある。
「まぁ川兎ちゃんが不安に思う気持ちもわからなくはないよ。何せ一回水泳を挫折した一星君を励ましたのがあの幼馴染達の誰かなんでしょう?なら僕達よりも彼女達が一星君を支えていたと言っても過言じゃないよ。」
「………そうだな。林音の言う通り俺は水泳を一回挫折してしまった。その事に関しては嘘偽りはない。アイツらのおかげでもう一度水泳をやってみたいと思ったんだ。その辺に関しては感謝しないといけないな。」
「むぅ!やっぱりあの子達が神楽坂君の支えになってるじゃないの。」
「僕達じゃ支えにすらならなかったのに僕達の言葉なんて最早紛いものの言葉にしかならないんだからどうしても卑屈に考えてしまうのは仕方がないよね。うんうん。」
「勝手に納得して勝手に決めつけるのはやめてくれないか…まだ話は終わってない。……さっきも言ったがアイツらのおかげなのは事実だ水泳としての道をもう一度導いてくれたからな。でもそれとは違って俺には何としてでも帰らないといけない場所があるというのを心の中で支えにしながらそう思ってこの学園にきたというのもまた事実…約束を破ってはしまったがまたこうやってお前達に会う事ができた。この事に関しては誰にも譲れなかったという気持ちでここまできた。」
「要するに?」
「お、お前な…わざわざそんな例えみたいな言い方をしなくても……」
「だって本心を聞かないと安心できないじゃん。それとも本当はここに来て後悔しているとか?残念だったとか思ったりしない?」
「するわけないだろう。単に言葉にするのが小っ恥ずかしいだけだ。……お前達との方が1番楽しかったからな。」
「ふふふ」
「!?」
1人はほくそ笑みながらもう1人は沸騰するように頭から湯気みたいなのが出てきたりして2人は俺が言わんし難い言葉にやたらと嬉しがってるようにみられる。
「くそ!だから言いたくなかったんだ。はぁ〜後の3人に聞かれなくてよかった。」
「ああ大丈夫大丈夫。この事録音しているから大丈夫だよ。」
「は!?お前何勝手に…」
録音したと言ってそのまま俺が喋っていた事を流す林音。
何とも腹黒いやつなんだ。
「因みにコレもう山茶花ちゃん達に送っちゃってるから。3人の顔がどうなってるのか楽しみだね。」
「……お前マジでやばいな。」
「褒めてるんだよね〜さっきの言葉の意味として〜」
「何が何でも全部が表面通りにだと思うなよ。今のは完全に皮肉だろうが。」
「もう恥ずかしがっちゃって〜コレから大変な一星君は僕達に感謝とあま〜い言葉を捧げるべきだと思うよ。」
「何でだよ。」
「1人だけだと不安はいっぱいあるからね。ちゃんと僕達の事を維持し続けないと困るのは一星君だよ。だよね〜木葉ちゃん。」
「何で私に聞くのですか。というより私があなた方の間に入る余地なんてないはずですよ。」
「そんな事言って〜生徒会長から言われてるんだよね。極力僕達に加担しろって…」
「!?あなたいったい何処からそんな事を…」
「僕の情報網を甘くみちゃ困るな〜ハッキングなんてお茶の子さいさいなんだから。」
「何当然と犯罪言葉を言っているのですか……しかしまぁあなたの言う通り私はあなた方をバックアップするように言われています。正直な所関わりたくないというのがありますがもう暫くは付き合わせていただきます。」
「……なぁ鳴神生徒会としての目的は俺への対策みたいな事なんだよな?」
「そうですね。勝手な事をされてこの学園がおかしな事にならないという抑止力という意味であなたを止めなければなりません。しかし友達の香澄ちゃんを助けてもらったという意味合いもありますので、幾ばくかは目を瞑ります。」
「………」
正直俺のせいでトラブルが起こってるとは言い難いんだよな。
向こうが仕掛けてくるものに対してやたらと範囲がでかいせいであってそれが周りを巻き込んでるだけにすぎないんだが……まぁ一応俺が関わってはいるのか……けどどうにも腑が落ちないんだよな。
「それでは私はコレで、何かあれば連絡を寄越してください。会長並びに副会長はあてになりませんから。」
そう言って鳴神もこの場から去っていき自分の教室へと戻る。
「ちょっと木葉ちゃん!さりげなく私の事ディスって行って去らないでくれる!」
「まぁ川兎ちゃんに副会長はちょっと荷が重いかもしれないよね。両立できた試しがないし。」
「林音ちゃんも酷くない!」
「まぁまぁこの際この話しはここでおしまいにして…」
「無理矢理終わらせて私への風評被害が半端ないよ。」
「コレから一星君は大変な事がいっぱいあるかもだけど僕達も手伝うからさ頑張っていこうよ。ね?」
「うん!私も頑張って神楽坂君のお手伝いする。今度はちゃんと支えてあげられるように。」
「………お前ら。」
林音と宇佐木田さん。
確かにこの2人との間での絆は薄い。
それでも2人は俺の事を待ってくれていて支えてくれると言っている。
そんな言葉を耳にするとは思いもしなかったが…一応1学期と夏の間で関係性がよくなったって事なのかもしれないな。
「でもお前達普通に俺への復讐をしていたのに対しての何も躊躇いもなかったよな。」
「うっ!」
「それは…」
若干心を抉るような形で突っ込んだ俺の言葉にどうやら2人は心が痛かったのか若干戸惑いをみせたり視線を晒す。
「まぁそれも前の事だしもういいじゃないの。」
「うんうん!僕達は主に一星君との関係性を確かめる為にした事であって別に復讐心が強かったとかそう言うのはなかったんだよ。特に僕はね!」
「あ!ズルい!林音ちゃんそれはないよ!ちゃんと林音ちゃんだって納得してやってたじゃない!」
「いやいや僕は単に個人的な問題で一星君との勝負をしていたわけだから川兎ちゃん達みたいに復讐心剥き出しにしていたわけじゃないからね。」
「だからその言動がズルいんだってば!」
俺が焚き付けた言葉で2人は揉め合いをして復讐での譲り合いみたいなのが始まった。
まぁ正直今となってはどうでもいいんだが…
「………」
今になって5人の復讐は寧ろ俺としてはありがたかった。
5人がどういった天才なのかと言うのが分かったからこうやって対等に話せる事になったんだから。
まぁ相変わらず俺のトラウマは直ってはいないわけなんだが……
そして後問題点としてあるものが俺にはどうにかして早く見つけなければならない事がある。
5人に天才としての力を与えたかもしれない黒いスーツの男。それが俺のここでの学園きた本来の目的なのだから。




