王宮騎士育成学校⑨
朝ごはんを食べ終わり、俺は寮を出たら、寮の門の前にターシャとリリムがいた。
「おはよう2人とも。」
「おはようウィータ。」
「おはようございますぅ、ウィータ君。」
ターシャの手には袋があった。
「この袋は?」
「え、えっと、う、ウィータのお弁当よ。はいどうぞ。」
そう言われ俺は袋を手に取った。
袋の中から美味しそうな香りがした。
「ありがとう。お昼ご飯が楽しみだよ。」
「ええ、楽しみね。」
俺達は学校に向かって歩いて行った。
「リリムもお弁当を作ったのか?」
「はいぃ。ターシャさんに作り方を教わりながら無事に作れました。」
「良かったな。」
「はい♪」
リリムはとっても上機嫌だった。
一方ターシャは、
「はぁ、まさかリリムがここまで…」
何故か頭を抱えていたのだった。
「どうしたんだターシャ?」
「い、いや何でもないわ!」
すごく態度が気になるのだった。
ターシャの態度が気になっていると、
「おはようウィータ君!」
そう言いながら、グレイは俺の方を叩いた。
「よう、おはようグレイ。素振りは?」
「さっきまでやってたよ。あ、もちろん朝ごはんを食べるから1回中断したけどね。」
「そりゃあそうだな。」
俺がグレイと話していたら、
「ちょっと、あの子誰よ。」
ターシャがジト目で俺に聞いてきた。
「あ、あいつはB組のグレイだ。朝素振りしていたのを俺が見たんだ。」
「へぇ、そうなんだ。」
ターシャはグレイの前に寄り、
「初めましてグレイ…君?ちゃん?」
「は、初めましてグレイです…ちょっと、ボクはれっきとした彡なんですけど。」
「あ、ごめんねグレイ…ちゃんでいい?」
「もう、慣れっこですよ…」
「そうなのね。私はターシャ・グランよ。よろしくね。」
「ぐ、グラン王家のお嬢様なんですか!」
「ま、まあね、一応そうよ。」
ターシャは少し変な顔…をしながら言った。
「うおおお!」
グレイはやけに興奮していた。
「グレイどうしたこんなに興奮して?」
「え!?ウィータ君は何も驚かないの?」
「?」
「だって王族と友達になれるんだよ!普通にすごいじゃん!」
「そ、そうなんだ。」
「別にボクはコネクションとかに興味はなくて、単純に王家の人と友達って言うだけで親に褒められるじゃん!」
グレイは有頂天になっていた。
「…私の王家なんて、そんなにすごいわけないのに。」
ターシャはぽつりと何かを呟いた。
俺は聞き取れなかった。
しかし、ターシャにもターシャなりの事情がある事くらいはわかった。
しかし、その場では聞かなかった。
▲△▲△▲
クラスのみんなは既に親しい友達を作り、みんなで話していた。
勿論ターシャもリリムも。
俺は…うん、何故だろう。
気にしたら負けだ、気にしたら負けだ、気にしたら負けだ。
ザイガ先生が扉を開け教卓の上に立って、
「よぉぉし、授業を始めるぞお!」
ザイガ先生の一声でクラスはワイワイ騒いでいたのが、一瞬で納まった。
「よし、いい子たちだ。昨日から魔術の勉強をしているが、今日から1、2時限は基本魔術の授業をする。
そして3、4時限で歴史、剣術、体術、騎士団のマナー・作法、そして週末には毎週模擬戦だ。
本来の教科書の歴史、騎士団以外は全て捨ててよし!」
突然の言葉にみんなは何もついていけなかった。
「あの、なぜ突然?」
1人の男子生徒が聞いた。名前はえっと…すまん覚えてない。
「ああ、上からの指示だとよ。それ以外は全く何も言ってくれねぇ。多分出資元のシルフィのお偉いさん方が何か考えがあるんだろうが、俺には難しいことは理解できないからな。」
「は、はぁ…」
つまり、ラファが本格的に実践訓練を今からさせるってことなのか。
世界の災厄が、徐々に近くなってるってことなのか。
その部分は分からないが、ラファにも何か考えがあるんだろうな。
「んじゃ俺は今日の剣術を教えるからな。本当は剣術なんて1ヶ月に1度しかなかったのを週に一回にしてくれただけでも感謝だぜ。なんせ、俺の教えたいことが沢山教えられるからな。」
ザイガ先生はニヤッと笑みを浮かべながら言った。
その顔からは歴戦の戦士の雰囲気が出てた。
みんなは色んな表情をしていた。
驚く人、半泣きになる人、同じ雰囲気になる人等…俺は同じ雰囲気になっていた。
心做しか、ザイガ先生はこちらを見ていた気がする。
「あ、やべぇもんこんな時間か、そろそろホームルーム終わるな、それじゃみんな今日も広場に集合だと、ガゼルの野郎が言ってた、みんな頑張れよー。」
そう言いながらザイガ先生は教室から出てしまった。
しかしながらザイガ先生って一体何者なんだ…
外見からすると20代…ぐらいだよな。
こんな平和な世界でよくあんな雰囲気を出せるのは、少し怖かった。
そんなことを考えていると、
「ほーら、みんな移動してるよ。ウィータもさっさと移動しよ。」
「あ、あーうん、わかったよ。」
ターシャにそう言われ、俺は広場に向かった。
ちなみに今日の魔術も昨日と同じだった。
▲△▲△▲
「よぉし、昼か…」
長かった。とにかく長かった。
別に昨日と同じだけど、魔術の授業なんてもんは俺には合わない。
そりゃあ基本的に魔術はほとんど使える俺にとってはだけど。
しかし昨日の授業とはひとつ異なった件があった。
それは、才能によって分けたのだ。
ターシャは魔術の才能が全般にあるので全般的に教えて、リリムなどは強化系、他の人は様々の魔術の基礎を教えて貰ってた。
そのお陰で昨日よりも有意義な授業になってた。
しかし、俺は基本学ぶことがないのでずっと女神様に連絡を取ろうとしていた。
しかし無理だったが。
そして昼休みだ。
「さあ、外に行きましょ。」
「ああ。」
「はいぃ!」
俺とリリムはターシャについて行って外に出た。
そして校舎の裏側に回った。
そこには草原が拡がっていた。
日光もいい感じで差している。
「どう!入学式前からこの場所で友達とご飯を食べたいな、ってずっと思ってたんだ。」
ターシャが満面の笑みで言ってきた。
この笑顔はとても可愛かった。
俺は顔を少し赤くしてしまった。
ターシャが、
「へぇ、ウィータでも照れるのね。」
「う、うるさい!」
「ふふ、いつもと立場逆転ね。」
と、上機嫌だった。
そのあと俺たちはシートを敷いた。
昼ごはんが食べる準備が整ったので、
「さあ、食べましょうか。いただきます。」
ターシャが言うと、
「いただきます。」
「ほえ?」
リリムが変な顔をしていた。
「どうしたのリリム?」
「ターシャさん、いただきますってなんでしゅか?」
リリムはいただきますを知らなかったようだ。
「いい、リリム。いただきますってのはね…」
ターシャが分かりやすくリリムに説明していた。
「わかったですぅ!」
「それじゃもう1回行きますわ。いただきます。」
「いただきます。」
「いただきます。」
いただきますを言って、俺はターシャから貰った弁当箱を開けた。
こ、これは…!
異世界人や東の国にあるおにぎり、やハンバーグという異世界人が作った肉のメニュー、ブロッコリーやプチトマト…など、見どころが満載だ。
「ターシャ。」
「ん、何?」
「すげぇ美味しそう。」
「なら食べてみては?」
「ああ。まずは…おにぎりから。」
俺はおにぎりから手をつけた。
お、美味しい…
言葉にならない美味しさだ…具は…
「具はなんだ?」
「鮭って言うらしいわ。こちらではサーモンね。」
サーモンなのか。サーモンがここまで美味しくなるとは…すごい異世界人は。
次にブロッコリーを、ぱく。
しゃ、シャキシャキしてる…だと!
「ターシャ、なぜブロッコリーはシャキシャキしている?」
「え、そ、それは弁当箱に入れとくと新鮮なままだから…かな?」
す、凄いぞ弁当箱…
異世界人すごいっす。
最後はハンバーグをフォークで刺し、頂いた。
お、美味しい…!!
出来たてとはまた違う味わい…うん、うん、噛めば噛むほど美味しい。
気がつくと俺はうまさのあまり泣いてた。
「ウィータ、大丈夫なの!?」
「いや、ターシャのお弁当が美味しくてつい…」
ターシャは顔を一気に真っ赤にした。
「あ、あ、うん、そう、ありがと…」
いつもはバカー!とか言いそうなのに、なんかよそよそしかった。
時々女子ってよく分からなくなるな。




