王女の護衛④
ライラの村が遠くに見えてきた。
「ここがライラの村ですか。」
と言ってイデルマ王女は馬車の中から見ていてそう言った。
「俺も来るのは実際初めてだな。」
と俺が言うと、
「確かにウィータ君はこの世界に来てすぐに冒険者学校に入っちゃったからね。ラ・ガマの町以外は行ったことないでしょ?」
とラナ先輩がそう言った。
「俺は何度もこの村に来てるぜ。まあ、基本はここには叔父が居るんだけど、叔父のお使い位にしか来ない場所だ。」
とファルコンは言った。
「あの、この村には何がありますか?」
とイデルマ王女がファルコンに聞くと、
「この村には何もないです。」
とファルコンが言った。
「え、特産物などは無いのですか?」
とイデルマ王女がもう一度聞く。
「何にも無いし、ここは平和そのものだ。」
とファルコンが言い切った。
「そう、なのですか…。」
とイデルマ王女は顔を下に下げてしまった。
「おい、お前ら!何を王女様に言ったんだ!」
と馬車を運転するガリエーが小窓を開けて言ってきた。
「ガリエー、別に何もないですわよ。」
とイデルマ王女はガリエーの方に顔を上げて言った。
「しかし、…。」
と口ごもったガリエーは小窓を閉じた。
「すみませんね。ガリエーは私のことになるとこうなるんです。」
とイデルマ王女は俺等に頭を下げた。
「いえ、大丈夫です。むしろ我々の方が怒られて当然なのです。」
と俺がイデルマを見てそう言った。
「どういう、ことですか?」
とイデルマ王女は聞いてきた。
「仮にもイデルマ王女はこの国で一番偉い人です。本来は王女様と言わなければいけないのにイデルマ王女はこう言うことを認めてくださってます。更に無礼な口を言ったとなれば、謝らなければならないのは当然のことなのです。」
と俺は言った。
「しかし、貴方達は悪いことは何も…。」
「こう言っておけばガリエーに信用されるからです。」
と俺は小さい声でイデルマ王女にそう言った。
「ええ、そうでしたのね。」
とイデルマ王女は小さい声で返事をした。
「ならば、こ先の無礼、許して使わそう。」
と大きな声でそう俺等に言った。
「寛大な処置、心より申し上げます。」
と俺が言って、
「「寛大な処置、心より申し上げます。」」
と先輩方もそう言った。
こう言った後、心なしか馬車の運転がさっきと比べて良くなったと思う。
▲▽▲▽▲
そしてイデルマ王女初めガリエーと俺等はライラの村に着いた。
ライラの村は全体的に見てみて、数十件のみの家しかなかった。
これでは名も無き村の方が人もいて、活気があるはずだ。
「これがライラの村ですのね。静かで、心地がいいです。ガリエーもそう思うでしょ?」
「はい、王女様。ここは静かで、気持ちが安らぎますね。」
とガリエーは心なしか少し気分が言いように言った。
本当にさっきのあの会話が好きだったのだろうか。
イデルマ王女が偉いのがそんなにガリエーは好きなのか?
と俺が考えていると、
「ウィータ君、そろそろ着いていくよ。」
とラナ先輩が肩を後ろからポンポンしてそう言った。
「はい、そうですねラナ先輩。」
と言って俺は歩き始めた。
すると、
「あれは、ファルコンじゃねえか!」
と少しおじさんの声が聞こえてきた。
ファルコンは、
「叔父貴!」
と反応した。
そしてファルコンの叔父貴はファルコンの元へと寄ってきた。
「何だファルコン、何でこんな偉いべっぴんさんが二人も居るんだ?」
とイデルマ王女とラナ先輩を見てファルコンの叔父貴はそう言った。
「あの、叔父さん?私だよ、ラナだよ?」
とラナ先輩は自分を指差しファルコンの叔父にそう言った。
「お、ラナじゃねぇか!久し振りにあったな。十年ぶりか?」
とラナ先輩と会話が始まった。
それを見てファルコンが不味い、と思ったのか、
「叔父貴、ラナと話しているところ悪いな。今日はここに仕事できているんだ。あまりゆっくりしてられない。」
とファルコンの叔父に言った。
「そうか、それは失礼したな。ところで、あのドレスの娘は誰だ。見た感じは、貴族っぽいのだが…。」
と、ファルコンの叔父はファルコンに耳打ちしていた。
「あの人はこの国の正真正銘の王女様、イデルマ・フラグナス様だ。」
とファルコンはファルコンの叔父にそう言うと、
「今すぐに村の人全員呼んでくるから、少し待っててくれ!」
と言って一目散に村の方へと走っていった。
「オーイ、みんな!皇国のお姫様が来たぞ!」
とファルコンの叔父は叫んで回っているようだった。
そして五分後。
村の人約五十名が揃った。
ちなみにこれで全員らしい。
「あ、嗚呼、貴方が我らがいる皇国を納める女神、イデルマ皇国王女ですか。」
と村長らしき人がそう言った。
村長らしき人は、とてもお爺さんで、髪を少ない感じである。
「はい、私は皇国王女のイデルマ・フラグナスです。本日はこの地域一体を回っておるのです。」
とドレスの裾を摘まんで一礼した。
ちなみにこれは貴族以降の基本動作なのだが村の人達には分かるわけもなく、
「ああイデルマ皇国王女様、頭を下げないでください!」
とむしろ村人がへこたれている感じであった。
「あの、これは貴族等の挨拶の一つなのです。どうか頭を上げてください。」
とイデルマ王女は村人達に言った。
こう言うと村人の中から、
「まさに女神…。」
「あの人こそが我々の道標だ!」
と若干変なことを言ってる人もいるが、崇められちゃったらしいイデルマ王女。
もしかして今までもこうして崇められてきたのでは無いかと思う俺。
口には絶対出さない。
これを口にするとこの村、いや色んな町村で俺が凄いことになってしまう。
これだけは避けたい。
そしてイデルマ王女はファルコンや村長らしき人の案内で村を回ることになった。
そして今日はこの村で一泊することになった。
更新ペースは一日1話が限度です。春休みが明けたので。夏休みまで待ってください。




