王女の護衛③
盗賊が押し掛けてきましたと聞いた途端、俺達は動き始めた。
「盗賊の数は何人ですか?」
と俺が聞いた。
「はいおよそ、四十は要るのではないかと思われます。」
とガリエーが執事らしい対応をした。
普段からこんな風で良いのに。
イデルマ王女もさっきまでの子供みたいな態度から一転、王女様の態度に変わった。
「はい、ではまず交渉を致してくれませんかと言って来てくれませんか?」
とイデルマ王女が言ってきたので、
「分かりました。出来るだけ相手へと交渉に望ませてみます。」
と俺が言って馬車の外を出た。
「なんだー男か?」
「男は興味ねぇーだよ!引っ込んどれ!」
と盗賊等の罵倒が飛んで来る。
俺はそれを無視して、
「盗賊のリーダーがいるか!いたら返事をしてほしい!」
と大声で言った。
「俺様がリーダーだ!」
と後ろから俺の二倍はありそうな身長の男が出てきた。
正直不清潔で臭かった。
「あなたがリーダーですか。馬車の中にて交渉したい人がいます。」
と俺が盗賊のリーダーの前で言うと、
「はっ!誰なんだその何かをやりたい人はよ!」
と交渉の意味すらも分かっていなかった。
「話し合いで決着をつけられませんか?」
と馬車の中からイデルマ王女が出てきた。
「なんだこのとびきり美人!」
と盗賊のリーダーが顔を喜ばさせて言っていた。
「私の名前はイルー。この馬車の持ち主の娘よ。」
と嘘をついた。
姫とはあえて言わないで、最後に言うつもりだな。
途中は殴って実力の差を見せつければいいのか。
「では話し合いをしましょうか。では貴方の名前は?」
とイデルマ王女が盗賊のリーダーに聞いた。
「俺か!俺の名前は、バンチョだ!覚えておけ!」
「そう、バンチョさんと言うのね。」
と多分バンチョは威嚇をして脅迫をしようと思ったのだが、イデルマ王女は驚かなかったらしい。
「なんだてめぇ、気持ち悪いな…。」
とバンチョが少し引いていた。
「はい、よく言われます。」
とイデルマ王女は笑顔で返した。
「これは俺の女にしてぇ…。気の強い女は好きなんだ、よ!」
とイデルマ王女に襲ってきた。
それをすかさず俺は止める。
「なんだてめぇ、邪魔するな!」
とバンチョが抵抗している。
しかし離れることはない。
「何で俺の体は動かないんだ!?」
とバンチョは動揺していた。
そして俺はバンチョを少し離れたところに投げた。
「うぐっ!」
とバンチョは転んでいた。
「この、糞舐めやがって!」
とバンチョは体制を戻して俺に襲ってきた。
「弱いな。」
と言って避けずに受け止めた。
そして俺はバンチョを離さない。
「この、離れろよ!」
と抵抗をするバンチョ。
しかし抵抗しても体は全く動かない。
それは俺が体を純粋な力で止めているからだ。
そして俺はまた投げた。
「ぐはっ!」
とごろごろと転がった。
「うぉぉぉぉぉぉ!」
とまたバンチョは襲ってきた。
投げる。
また襲ってきた。
投げる。
襲ってきた。
吹っ飛ばす。
そのやり取りを何度か繰り返すと不思議とぼこぼこになっていた。
「何でこの俺様が…。」
と下に踞ってバンチョは俺を見上げていた。
「では、話し合いましょうか。」
とイデルマ王女が言うと、
「何でこんな状況になって話し合いをしないといけないんだよ!」
とバンチョは切れたが、しかしイデルマ王女は冷静に対応した。
「それは貴方が襲ってきたでしょう。それがいけないのです。」
「何だとこのアマ!」
と言って最後の力を振りだしたように見える突撃をバンチョはしてきた。
「イデルマ王女どうします?」
「そうですね、気絶で良いでしょう。」
とイデルマ王女と会話をした後、俺は一瞬でバンチョを気絶させた。
それに見て盗賊等が驚いて、
「こんなの勝てるわけないよ…。」
「ボスをたった一瞬で、あいつは化け物か!?」
と言いながら逃げていった。
「俺の名前はウィータ!貴様らのボスを倒した男だ、覚えておけ!」
と言ってあいつらに俺は存在を示した。
▲▽▲▽▲
「本当にありがとうございます。」
とイデルマ王女が言った。
「いやいや、これが仕事ですから。」
と俺が言った。
「いや、驚いたのがまさか私の演技にすぐ対応してくる何て…。」
とイデルマ王女は俺を誉めてくれた。
「お褒めに頂き光栄です。」
と俺はイデルマ王女に言った。
「ええ、ならば馬車に戻りましょうか。」
とイデルマ王女が言ったので俺はイデルマ王女の後に馬車の中に入った。
馬車の中に入ると、
「流石ウィータ君!一瞬だったね!」
と俺に抱きついて来た。
すると、
「もう、はしたないわよ、ラナ。抱きつくと勘違いされるわよ。」
とラナ先輩にイデルマ王女が注意をした。
「勘違いって?」
とラナ先輩がこんな質問をした。
「貴方、こういうところは分からないのね。いい、勘違いとは言うのはね、好きな人って思われちゃうことなのよ。」
と俺らの長年の課題だった事をさらりと言うイデルマ王女。
流石同じ女の子。
「え、だって私ウィータ君のこと好きだよ?」
とラナ先輩が言った。
な、何だって!
俺のことが好きなのか!?
と俺の胸はドキドキし始めた。
「それは恋愛的な意味で好きなの?」
とイデルマ王女はそうラナ先輩に聞いた。
「うーん、まだわからないかな。」
とラナ先輩は言った。
これで俺の一瞬のドキドキは消え失せた。
しょぼんとした。
そして俺はこのままのテンションでイデルマ王女の護衛をしたのだった。
そしてキ・マラの町の領土の一つ、ライラ村に着いた。




