薬草探し②
町を出て一時間。
もう後ろには町の姿が見えない。
そして俺らは今ブルガリーの町に向かうための商業道を通っている。
両側には森が広がっている。
馬車の回る木のタイヤの音は、とても軽やかなもので聞いていると気持ちが良い。
馬車には俺ら三人が乗っている。
さて疑問だが、誰が馬車を動かしているのかって?
それはラナ先輩が動かしている。
ラナ先輩は、昔から冒険者に憧れていたため、冒険者に必須な火起こし、簡易テント、魔物の見分け方等が出来る。
俺とファルコンは出来ないことはないが、昔からやっていた人に負けるぐらいの腕前だ。
決して何も出来ないという訳ではない。
何も出来ないというわけじゃないんだ。うん。
「何にもないな、ウィータ。」
「そうですね。ファルコン先輩。」
と俺らはそんな会話をしていた。
ただし、ただだらけている訳でもなく、周辺の警戒は怠っていない。
ただ、何もないのだ。
近くに魔物の気配もないし。
暇なのでこんなことを聞いてみたりした。
「ファルコン先輩はどうしてラナ先輩を好きになったんですか?」
「それは…、一目惚れだよ。」
とファルコンは答えた。
「そうなんですか。」
「逆に問おう。お前はどうしてラナを好きになった?」
と聞かれた。
俺は別にラナ先輩が好きではないのだが…。
「うーん、やっぱり一目惚れですかね。しかし、会話をしていく内にそんなこと思わなくなりました。」
と答えた。
「そうか…。」
そしてまた馬車の中は静かになる。
外に聞こえる鳥や魔物の声しか聞こえない。
うん………魔物?
そう思ったとき、
「二人とも、前方から魔物が来たよ!数は三匹だよ。」
とラナ先輩が馬車の隙間から顔を出していた。
「分かったすぐやる。ウィータもやって来れ。」
とファルコンに指示されたので、
「分かりましたよ。」
と言った。
ラナ先輩は馬車を止めた。
荷物の出入口から俺とファルコンが出てきた。
「ギャギャギャギャギャ!」
と緑の人型の魔物が出てきた。
こいつらはゴブリンだ。
ゴブリンは一人では必ず行動せず、複数で行動する弱いモンスターだ。
しかし、性格は最悪で、一度捕まったら、男は縦に真っ二つにされ処刑される。
女はゴブリンに遊ばれ、そして忌み物にされてしまう。
ゴブリンは男しかいないので、子が成せない。
だから他種族、特に人間の女を狙う。
女性には天敵の魔物だ。
それにしても三匹か、偵察部隊か何かか?
「ギャギャギャギャギャ!」
と問答無用で襲ってきたので、横に切った。
「ギャンギャンギャンギワャン!」
と言って息絶えた。
他のゴブリンは逃げ出そうとしている。
その不意を突いてファルコンが一匹を倒した。
そしてゴブリンの一匹は逃げた。
多分全力だろう。
「おい、追うぞ!」
とファルコンが言ったが、
「追わなくていいです先輩。」
と言って俺は、
「古より存在する死を司る死神よ、今こそ我に力を授けたまえザ、魂の破壊!」
死の魔術を唱えた。
程なくして森の中からゴブリンの呻き声が聞こえた。
▲▽▲▽▲
「しかし、魔術ってのはスゲーな!」
とファルコンが馬車の中でそう言った。
「ファルコン先輩には初めて見せましたよね、魔術。」
と答えた。
「それを町に帰ったら教えてくれないか。」
とファルコンに言われたので、
「じゃあ、ラナ先輩と一緒に教えますね。」
と言って約束を交わした。
そしてある程度時間がたったら、
「今日の宿泊地が見えてきたよ!」
とラナ先輩が馬車の隙間から顔を覗かせ言って来た。
そして村が見えてきた。
この村の名前はルイル村と言うそうだ。
見たり聞いたりした限り、特に特徴がないのどかな村であった。
そして村の中に入っていった。
ファルコンは馬車から出て、
「ああ、では泊まりの支度をしよう。」
と言った。
その後は宿屋を取ったり、馬の寝床を取ったりした。
後は、宿屋の食事を楽しんだり、風呂に入ってスッキリしたりした。
そしてまた明日に備えて寝ることにした。
▲▽▲▽▲
翌日。
俺は朝一番に起きた。
顔を洗って身支度して少し外に出た。
先輩たちもいずれ起きるだろうから、書き手紙を残した。
内容は、少し町を散歩します。朝の食事の時に戻ります。
置き手紙は書いたから大丈夫、と思い俺は宿屋から出た。
勿論最低限の装備をして。
のどかな村であっても危険なときはいつ危険かわからないからな。
そして三十分かけて一周した。
幸いに魔物はいなかった。
本当にこの村は中継地点にしか使われてないような村だった。
何も特産品が無いとは、とガックリ肩を下ろした。
その後は宿屋に戻って朝御飯を食べて、出発した。
二日目は特に何もなく終わった。
殆ど会話はなかった。
初日に会話を飛ばし過ぎた。
そしてガマコ村という少し乳製品が有名な村の宿屋に止まった。
宿屋の料理が乳製品をふんだんと使った料理を楽しんだ。
そして昨日と変わらない行動をして普通に寝た。
明日は野宿だから気を緩みまくらないようにと思って俺は寝た。




