呪いのサテラが現れた!
「ふかふかのソファに身体を預け、お茶を飲みながら読書に興じる。ん~実に優雅な時間だ」
どうも皆さんごきげんよう。聖女の中でも「出来る側の」聖女ユーリちゃんです。魔王軍幹部によるテロ行為を見事に解決し、それだけに留まらず再発防止のために王都の守りをカチカチにした私は、後顧の憂いなくのんびりとした時間を過ごしています。しかもこののんびりとした時間がしばらくの間続くと考えたらもう……並大抵の事じゃ動じない程穏やかな気持ちになれますね。
「失礼しますユーリ様」
「ん~?どしたのミカエラ~」
「流行り病の解決並びに王都の防衛力強化に尽力した功績を讃えてパーティーを開きたいと陛下から提案がありました」
ちなみに私が魔力切れを引き起こしたのを良いことに、ミカエラが王都に結界を張ったことを国王に報告しやがりました。そのせいで私の名声は爆上がり、嬉しいことではあるけれどその分面倒事が増えたり、周りの視線を常に気にしないといけなくなったりと面倒事が増えました。しかもミカエラは俺に心酔しているため、どうせ報告する時も誇張に誇張を重ねているだろう。ありがた迷惑すぎる。
「あ、パーティーは断っといて~」
「えっ!?ユーリ様の素晴らしさをもっと国中の人間に広めなくてはいけないのにっ!」
「うん、やめてね?」
「どうしてですか!?ユーリ様の素晴らしさを広めるのが私の使命なんですよ!?ユーリ様ファンクラブの設立や劇団の皆様にユーリ様を題材にしたお話を公演、他にも様々な───」
「おい待てえええええ!」
俺は手に持っていた本を放り投げミカエラの方へと勢いよく身体を向ける。
「ミカエラ今なんて言ったの!?もっかい言って!包み隠さず説明して!」
「はい。ユーリ様の魅力を広めるために現在ファンクラブの創設に尽力しています。出資者や初期メンバーを募っている段階ですがもう少しで原型が完成しそうです。完成しましたら報告ともしよろしければユーリ様にご挨拶をお願いしようかと計画しています」
「しないよっ!というか私はファンクラブを作るなんて話聞いてないし認めてないんですけどっ!」
「まぁまぁ、落ち着いてくださいユーリ様。お紅茶のおかわりはいかがですか?」
「あ、うん。ありがとう」
丁度良い温かさの紅茶を飲み、ゆっくりと息を吐く。うん、やっぱり最高級の紅茶は香里香ら違うなぁ……って!
「認めてないけどね!?」
「では劇団についてですが」
「おいっ!誤魔化そうとするなっ!そっちの話も気になってるけどファンクラブの話をうやむやにしようとするな!」
「ご安心を。計画は順調に進んでおりますので」
「ちっがーう!!」
会話の通じなさに俺は頭を抱える。俺の事を慕ってくれているから放置していたが……これ以上好き勝手されると俺の預かり知らぬところでとんでもないことが起きそうな気配がする。というかもう既に起きてる。
善意で動いてくれているから少し申し訳ない気持ちはあるが、ここは今後のためにもミカエラに厳重な注意を───。
「し、失礼しますっ!」
ダンッという音共に鎧を身に纏った一人の兵士が勢いよく部屋へと入って来た。肩で息をしていること、そしてノックを忘れていたことからかなり焦っているのが伝わってくる。
「貴様っ!ユーリ様の前で失礼だぞっ!」
「も、申し訳ございませんっ!」
「いいよミカエラ。それで?そんなに慌てて一体どうしたの?」
「は、はい!王都正門前に魔王軍四天王、呪いのサテラが現れました!」
「……は?」




