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 誹りを恐れず、正直に書こう。同居人が殺人犯だろうが、娼婦が犠牲になっていようが、私にはどうでもいいのだ。


 私の心に暗雲をもたらしているのは、ダニエル・テイラーという男が警察に連れていかれることがないか、の一点のみだ。他は全て私の興味の外側を滑り落ちていく。


 罵るか。狂人、と。好きに言え。自分自身でもどうしようもないのだ。私の中に巣食う虚ろな洞は。


 しかし、私はダニエルがすることに口を出したりはしない。否定もしなければ、肯定もしない。ただ見ているだけだ。彼が記者にすっぱ抜かれる日が来ないことを願いながら、彼が帰ってくるのをただ待っている。


 それが悪か。犯罪か。悪だというのなら、私は喜んで断頭台に立とう。今でも、その気持ちは変わらない。


 ただ、あの夜だけは不安が勝った。路地裏を満たす暗闇に警察が潜んでいるとも知れない。娼婦の友人が、復讐にナイフを構えているかもしれない。安全に彼が帰ってくるという保証がない。


 そんな思いが頭の中を埋め尽くしていても、私の口は感情をそのまま表現する術を持たない。自らの想いを、表現を、ありのままに他者に伝えることは私にとって最も苦手なことの一つだ。

 時間をかけて言葉を選んだ。散々焦らした挙句、あの夜に私が彼に言えたのはこれだけだった。


「もし、今夜も君が誰かを殺すとして……警察に捕まっても、私は知らないからな」


 あまりにも薄情な言葉であった。内心後悔していたが、それ以外の言葉など到底思いつかなかったのだ。

 ダニエルは瞳をくるりと回した。何かを考える素振りをしてから、地面を睨んでいる私の顔を覗きこんだ。私としっかり視線を合わせて、甘い微笑みを顔にゆっくりと浮かべて、そして。


 薄情者。


 唇の動きだけでそう言った。


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