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 テ? 


 オリヴァーは眉をよせる。


 テってなんだ。テ……テ……テイラー? 

 

 エヴァ・ミラーの言葉を思い出す。ダニエルの苗字は確かテイラーだった。


 あいつを呼んでいるのか。よく考えれば、ここはダニエルの自宅のはずだ。それなのにこいつの部屋があるってことは、一緒に住んでいるのか。仲がいいどころじゃないな。


 窓から日光が差しこんでいた。ベッドに横たわるノアの体が淡く照らされていた。

 オリヴァーは窓から地面を見下ろした。ちょうどエヴァ・ミラーが見える位置だと思ったのだ。


 エヴァ・ミラーは、一人の男と話していた。

 顔はよく見えないが、金髪が風に揺れている。一目で高級だと分かるスーツをさり気なく着こなし、笑顔でエヴァ・ミラーと向かい合っている男はダニエル・テイラー、その人だった。


 オリヴァーはどきりとして、窓から離れた。やべえ、勝手に入ったなんて知られたら怒られる。


 早足で廊下を戻り、音を立てないように気をつけながら、外に繋がる扉を開けた。

 壁に沿った階段は、ダニエルの位置からちょうどよく見える。降りられない。


 そっと様子を窺うと、エヴァ・ミラーとダニエルは店の中に入っていくところだった。姿が見えなくなる直前、エヴァ・ミラーがオリヴァーに視線を投げた。

 どうやら、オリヴァーが置かれている状況を的確に理解したらしい。


 ありがうございます。


 声を出さずに口だけを動かして伝える。


 返ってきたのは美しい微笑みだった。




 大通りまで戻ったとき、オリヴァーはズボンのポケットを探った。

 透明な瓶を取り出す。太陽に翳すと、瓶の中で濃い色の液体が揺らめいた。


「癖で掏っちゃったけど、大丈夫かな」


 命を救ってやったんだ。宝石は我慢したのだから、これくらい貰ってもいいだろう。


 きちんと蓋が閉まっていることを確認して、瓶をポケットに突っ込む。掌を眺めた。包帯の隙間から覗く肌は、赤く腫れあがっている。


 鎮痛剤って言っていたからな。火傷にも効くだろ。


 口笛を吹きながら、店に戻った。


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