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 テイラー氏のもとで習った仕立屋の技術を、一層磨いていた時期だった。


 スラム街で一晩中娼婦と遊び、太陽の息吹が地上にかかり始めるそのときに、ナイフで喉を掻き切った。


 不思議と罪悪感はなかった。高揚感もだ。あったのは冷静な思考と、掲げる目標に一歩近づいたという微かな満足感だけだった。

 妙なものだ。人を初めて殺したにしては、僕はあまりにも冷静だった。他の人もそうなのだろうか。尋ねる手段などありはしないが。

 赤黒い血に塗れたその娼婦は、森に埋めた。客が滅多につかまらないために、日々の食事を楽しむ余裕もなく、がりがりにやせ細った三十代後半の女だった。

 それから十年ほど、全く方法を変えていない。夜、誰もいないときに、ナイフで、スラム街の娼婦の喉を掻き切る。腹を切り裂き、臓物を引っ張り出す方法も途中から覚えた。


 一旦目をつけた獲物を逃したことは、一度だって、ない。


 ――もし、今夜も君が誰かを殺すとして。警察に捕まっても、僕は知らないからな。


 ある晩にノアから言われた言葉が、不意に蘇った。あのときのノアの声はひどく震えていた。澄んだ瞳から今にも涙が零れそうで、僕はどうしようもないほどに彼を愛らしく感じたのだった。


 何て分かりやすい。こんな嘘、言葉を覚えたばかりの赤ん坊だって見破れる。


「今日、お前休業日だろ。だったら今晩、一緒に飲まないか。お前さんとはご無沙汰だからな」

「悪いが、その誘いには乗れないな」

「どうしたんだ。お前が誘いを断るなんて珍しい」

「僕は何ともないんだが、同居人のノア君が少し体調を崩していてね。ほら、覚えているかい。数日前に紹介しただろ。マックスの店の前で会ったときに、僕の後ろにいた」

「ああ、あの女みたいな奴か」


 苦笑した。確かに体の線が細く、自己主張も控えめなノアは女性に間違われることが多い。底なしの闇が宿る瞳や、滅多に変化しない表情から発せられる妖しい色香にあてられた者も過去にはいた。


「それ、本人の前では言わないでくれよ」


 ノアは、他者の視線を気にしながらも、実際自分が他者からどう評価されているかを正確に理解していない。後始末はいつも僕の役目だ。


「病人が家にいるんなら、これを持っていけ」


 ジェイコブが顎をしゃくった。カウンターの端に、軽食がまとめて置かれていた。僕は肉の塊が挟まったサンドウィッチを手に取った。

 ますます増えてきた客の応対をしながら、ジェイコブが言った。


「俺の昼食用に作ったものだが、ゆっくり食事を取る暇なんてねえからな。持って帰れ。病気には、たっぷり食べてたっぷり寝るのが一番効く」

「悪いね。心優しき巨人に、今度エプロンを一着進呈しよう」

「それは助かるな」


 ジェイコブは笑顔を浮かべた。彼は、ぼろきれを何枚も縫って補修しているエプロンで手を拭った。


 肉とサンドウィッチを入れた袋を抱え、果物市場で干し葡萄を買った。籠に盛られた果物は、どれも誘うような色彩を放っていた。小ぶりな紙袋を受け取り、来た道を戻ろうとしたとき、道行く人々の頭や肩の間に粗末な小屋が見えた。


 泥や埃で薄汚れた布切れが、悪夢の世界のように妖しく広がっていた。いつもはないものだ。ロンドンで今興行しているという、見世物小屋か。畸形の人々を集め、ショーを開くのだと噂で聞いたことがあった。何にせよ、気分のいいものではない。


 早足で通り過ぎた。


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